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    クリスタルの断章

    そのクリスタルは、無限とも思える情報を記録できる情報媒体だった。現代にこぼれ落ちた微細なかけらには、小説のようなものが記録されていた……。オリジナル小説ブログです。

    「ゲームの規則」見た

    映画の感想

     買ったり貰ったりしたフランス映画のDVDがかなりたまっている。もろもろの理由により、なんとなく、「フランス映画強化月間」に決めた。まず1枚めは、ジャン・ルノワール監督「ゲームの規則」である。上流階級を風刺したコメディ映画だそうだが、はたしてどうか。

     ……うん。わたしにはきつい映画だった。作者のやりたかったことは、ロッシーニ以前の喜劇のオペラがやっていたような「上流階級と下層階級のからむドタバタ喜劇」を戦前のフランスを舞台に再現することじゃなかったかな、と思うのだが、どうにもこの映画、登場人物が感情移入を拒む。これって、喜劇としては致命的なのではないか。

     まあ、登場人物がそれだけ複雑な思考をしているということで、現代的であるのだが、同じ複雑な思考なら、自分としてはフェリーニの「甘い生活」のほうを取るなあ。やたらと考えすぎ、しゃべりすぎ、オーバーアクションをしすぎ、というのが「舞台劇」ふうで面白い人には面白いんだろうけど、わたしはイライラするだけだった。とにかく、「こいつには無条件で味方しよう」と思うやつが一人も出てこない。登場人物の半数は、自分の下半身にはだらしないくせに他人の下半身には目くじら立てるやつだし、そうでないやつも、過剰に暴力的だったりして、素直にドタバタ劇を楽しめないのだ。挟まれる劇中劇も、「金持ちが遊んでますよ」という雰囲気を作りたかったのだろうが、骨の髄まで生まれついてのルンペン・プロレタリアートで、ちょっと主義に目覚めました系のわたしには腹立たしさしか感じられなかった。

     ラスト、心ならずも殺人者になってしまったある人物に憐れみを抱くが、お前が悪いんだろう、という気もしないではない。とにかく、見て思ったのが、「上流階級なんか全員ギロチンにかけてしまえ」ということで……うーん、こういう感想で、ごめんなさい、ルノワール監督! わたしはネオレアリズモのシンパです!
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    日本ミステリ94位 石の下の記録 大下宇陀児

    東西ミステリーベスト100挑戦記(ミステリ感想・やや毎週土曜日更新)

     大学在学中、どうしても見つからず、読むのを半ばあきらめていた本である。病気中退して実家に帰り、通っていた本屋で再刊された双葉文庫版を見つけて即座に購入して読んだ。感想はひとこと、「期待外れ」であった。どうにも地味でつまらないのである。それから20年ぶりに、気乗り薄のまま再読。

     再読してみた感想であるが、期待をまるでしていなかったせいか、意外と面白かった。そもそも、初読時は、「読み方」が間違っていたのである。あのときは、高木彬光「白昼の死角」の先駆的作品、として読んでしまったのだ。同じ「光クラブ」と学生高利貸をネタにした話でも、あの「悪の魅力」をギラギラさせながら語られる波乱万丈のピカレスク・ロマンとはまるで違う話なのである。その意味で、作者の大下宇陀児が、自分を「社会派」ではなくて「人間派」と呼んでいるのは正しい。この「石の下の記録」という話は、愚直なまでの「青春ドラマ」とみなすべきなのだ。戦後の混乱期に、不良学生たちが人生に悩みながら、ことごとく道を踏み外して悲惨な末路を迎える、裏バージョンの「青い山脈」みたいなものなのである。

     そう考えて読むと、この小説はリーダビリティの高い、優れた風俗小説であり、きちんとしたミステリであり、「刑事ドラマの元祖」でもある。過渡期の作品ゆえの面白さという面ももちろんあるが、それ以上に、終戦時に自殺を考えたほどの「戦前人」である作者の大下宇陀児が、戦後のアプレ世代に対して感じていた、反感と批判と、一種の憧憬というものが小説から透けて見える。それがなんともいえず「いい味」になっているのだ。第四回日本探偵作家クラブ賞は、仲間びいきだけで獲ったものではないのである。

     かといって、これを現代に読む意味があるかといわれれば、疑問なのも事実だ。これまで上げてきた要因にビビッとくるような人間でもない限り、本書は「古くさい」「お説教じみた」「謎のダイナミックさに欠ける」作品でしかあるまい。正直、この94位という位置も、「評価しすぎ」のような感じを覚える。大下宇陀児という作家を語るには外せない作品であることは間違いないが、いま語っても仕方のない作家であるのも事実なのだ。

     温故知新をしようとするミステリマニアでもない限り、あえて手を出す必要もないだろう。「人間派」としての大下宇陀児の問題意識と手法は、松本清張の諸作や大岡昇平の「事件」を通じて、宮部みゆきに至るまで脈々と受け継がれている。そちらを読んだほうが現代の読者には得るものが多いはずだ。「石の下の記録」は戦後ミステリの偉大なひとつの里程標ではあるが、あくまでも「里程標」にすぎないのではないかとわたしには思えてならないのである。

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    「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」見た

    映画の感想

     実際には見たのは先週の月曜日だから、もう10日も前の話になる。書かなかったのは要するにわたしの怠惰ゆえである。

     で、感想であるが。

     ものすごくスカッとする怪獣映画。

     その一言で済んでしまう作品である。

     怪獣が殴り合い取っ組み合い建物と自然物をボコボコのバキバキにぶっ壊しながらスクリーン狭しと大暴れ。

     ほかに何が必要なのか?

     そう考えてしまう。

     まあ、それには理由もあって、この映画、人間側が、「バカとキ○ガイと困った人」しかいないというトホホな作品でもあるのだ。

     主人公の科学者夫妻が、もう、頭の大事な線が十本くらい焼き切れてるんじゃないか、って代物で。

     怪獣たちは、ゴジラもラドンもモスラもキングギドラも、それなりに魅力と愛嬌があるのだが、それらをあの夫婦が全部ぶちこわしにしてくれるという、雑にも限度があるだろう、という脚本。

     伊藤和典先生なら呼んだらすぐ行くと思うぞ! ギャラも安く済むし!

     というわけで、怪獣の暴れっぷりだけを堪能すればそれでいいという心構えで行けば実に楽しめる面白い映画であります。

     あと、一部でひどい呼ばれ方をしているラドンくんであるが。

     「演技開眼、ひと皮むけた」

     といっておこう……。(怒られそうだな……)

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    日本ミステリ92位 スターリン暗殺計画 檜山良昭

    東西ミステリーベスト100挑戦記(ミステリ感想・やや毎週土曜日更新)

     大学のころ、文庫版を近所の古本屋で買って読んだ。それほど感銘は受けなかった。この位置は過大評価じゃないかなあ、と思って、知り合いに本をあげた。それから二十年ぶりの再読である。今回は、作者が加筆修正をくわえた「完全版」を読むことにした。図書館にはそれしかなかったからだ。

     感想だが、大胆で精緻な歴史ミステリの傑作である。新聞記事と書物の引用、それにインタビュー記事で大半が構成されており、それらをつなぐ形で作者のモノローグが入るのだが、それが実に決まっていて、自分が読んでいるのがドキュメンタリーなのか大嘘八百のこんこんちきなのかわからなくなってくるという寸法だ。読みながらもにやにやしっぱなし。大学生活に疲れていた当時のわたしには、その渋い妙味を味わうだけの精神的な余裕が欠けていたのだろう。

     だが、本書にも残念な点があり、その最大の点は、「スターリン暗殺計画」という諜報作戦の主人公であるリュシコフが、実に感情移入しにくい男に描かれていることだ。要するに、リュシコフ、『イヤなやつ』なのである。史実でそういう人物であるから仕方がないのだが。もうちょっと史実を曲げてでも、人間的魅力のある人物として描けなかったものだろうかなどとできるわけがないことを考えたりもする。誰にでもわかっているとおり、スターリンを暗殺する計画は失敗に終わるのだが、ここでリュシコフをクルト・シュタイナ中佐みたいな人物に描けていたら、本書の評価はもっと上がったであろう。

     などとぶつぶつ言いながら読み進め、旧版では、暗殺計画を頓挫させたソ連側のスパイの正体を指摘するところで終わっていたこの作品、完全版で作者の檜山良昭が加筆した部分にさしかかり、のけぞってしまった。

     こう来たか檜山良昭! ゴルバチョフ書記長時代のペレストロイカによって開示された情報として、さらに話を二転三転させ、結末におそろしいまでのツイストを決めてきたのには参った。これはもう別物である。読んで、渾身の右ストレートを二発、三発とくらって、読者であるわたしはもう完全ダウンしてしまった。

     これから読む人には「完全版」のほうを読むことをおすすめする。ここまで来ると、この「スターリン暗殺計画」という小説は、スパイ小説とか冒険小説とかを飛び越えて、「新本格ミステリ」の領域に達したといっていいだろう。「東西ミステリーベスト100」に選ばれてから、さらに化ける、という、とんでもないことをした小説である。昭和史に興味のある、歴史ミステリファンは必読だ。すごいよ。

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    日本ミステリ92位 友よ、静かに瞑れ 北方謙三

    東西ミステリーベスト100挑戦記(ミステリ感想・やや毎週土曜日更新)

     読んだはずなのにまったく記憶にない小説というのがあって、その筆頭がこれである。いま手持ちの85年版「東西ミステリーベスト100」にはたしかに撃墜マークが書いてあるから読んだのだろうが、「読んだ」という記憶すらまったくない。もしかしたら、自分は、読みもしていないのに「読んだ」と錯覚して撃墜マークをつけてしまったのか、などと考える始末だ。

     それはそれで、この本を完全に「まっさらな」気持ちで読める、ということではないか、ということかもしれないが、本書は北方謙三の小説である。北方謙三の小説なら、何度読んでもまっさらな気持ちで読めなくてはウソだ。これではわたしになにもトクはないではないか。

     などとぶつぶついいながら読んだ。読んで思った。たしかに、これなら読んだことすら記憶に残らなくて当然だ。金太郎アメというか、どこを切っても北方謙三な小説だからだ。北方謙三の小説をコンピュータでモデリングしたら、こういう小説になる、というような小説である。主人公のはみだし船医は「眠りなき夜」の滝弁護士のそれを思い出すし、縦糸としてからんでくる少年の竜太には、「逃がれの街」のヒロシを思い出す。それを「檻」の暴力的なトーンで語れば、この「友よ、静かに瞑れ」が出来上がるという勘定だ。「男のハーレクイン・ロマンス」だという評のまことに適切なことよ、と思わざるを得ない。

     乱暴にいえば、魅力的な女が出てきて、けなげな少年が出てきて、うさんくさい刑事が出てきて、輪をかけてうさんくさい地方都市の住民が出てきて、あとはヤクザとうさんくさい地元のボスが出てくれば、後は殴り合いと斬り合いとカーチェイスだけでも話が作れるという寸法である。一年間に何冊も書いてベストセラーになるためには、ここまでわかりやすくなければならない。

     「檻」でも「逃がれの街」でも「眠りなき夜」でも本書「友よ、静かに瞑れ」でも感じたことだが、これらの作品は、そうしたカチッと決まった世界を、世界に二人といないエンターテナーの北方謙三が、恐ろしいまでの気迫のこもった文章で、生き生きと描ききった極上の冒険小説なのだ。読んでいる間、わたしはその心地よい暴力の世界を満喫して、最後のページを閉じた。今は太い息をついてこの文章を書いている。まさに大人の贅沢な時間である。たぶん明日になったら、この本を読んだという記憶すら定かではなくなってすっきりした朝を迎えることだろう。かつての城戸禮や大藪春彦の小説がそうだったのと同様、北方謙三の小説は、読んでいる間の一瞬の至福さえあれば、それでいいのである。

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    日本ミステリ89位 薔薇の女 笠井潔

    東西ミステリーベスト100挑戦記(ミステリ感想・やや毎週土曜日更新)

     これを読んだのは、高校生の時のキャンプか何かのときだったように思う。当時、わたしの通っていた高校は、どういうわけか「修学旅行」というものが存在しなかった。どうやら先輩方が何かしでかしてしまったせいらしいのだが、何をしたのか恐ろしくて聞く気にはなれない。まあ、集団でバスに乗ったとき、図書館で借りたこの「薔薇の女」のハードカバーを携えていった覚えがあるので、たぶんそういうときではないだろうか。「バイバイ・エンジェル」と「サマー・アポカリプス」のあの衝撃が生々しい中で読んだので、それほど関心はしなかったように思う。さて、それ以来の再読だ。いくらか記憶は残っているが、はたして面白いか否か。

     感想であるが、まず、「ミステリ」としては面白い。残虐な連続殺人と、動機の謎とアリバイ崩しというポイントをきちんと押さえているので、エンターテインメント作品として読んでいて退屈はしなかった。だが、「笠井潔作品」となると、それだけでは足りないのだ。やはり、「現代思想の突き当たっている解決しがたい問題」とか、「その問題点を指摘した大思想家」とがっちり四つに組んで哲学的、思想的に戦ってくれないと、面白くないとはいわないが、全体的に散漫な印象を受けてしまうのである。そういった意味で、本書は、「戦う相手が絞り切れていない」うらみがあるのだ。「バイバイ・エンジェル」での「テロリズム」という敵や、「サマー・アポカリプス」における「シモーヌ・ヴェイユ」、そしてなんといっても笠井潔の本格ミステリにおける質量ともに最大の作品「哲学者の密室」における「ナチズム」と「マルティン・ハイデガー」のような「強大」で「わかりやすい相手(思想的にわかりやすい、ということではないのがつらい)」と丁々発止をやってくれないと困るのである。さらにいってしまうと、「オイディプス症候群」の「ミシェル・フーコー」や「吸血鬼と精神分析」の「ジャック・ラカン」のような相手と戦われても、なじみが薄いからやはり散漫になってしまうのはきつい。80年代か、遅くとも90年代に書かれていればまた違ったのだろうけれど。そういう意味で、笠井潔という人物はどうあがいても「20世紀」の思想家であり、ミステリ作家であった。別に「20世紀」の人間であって悪いことはない。20世紀という時代が引き起こして問題で、今すぐにでも解決しなくてはいけない未解決の問題は山ほどあるし、解決のめどすら立たない問題も山ほどあるのだから。

     それとは別に、本書では、笠井潔は、島田荘司の「占星術殺人事件」を意識していたんだろうな、と思えるところがあって実にほほえましい。占星術以上のインパクトのあることをやろうと考えたのか、笠井潔のほうはマジで「あれ」をやってしまうのがすごいというかなんというか。テーマ的にやらないわけにいかなかったんだろうけど、少々やりすぎじゃないのかな笠井先生。面白いからいいけれど。

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    自炊日記・その88(2019年4月)

    自炊日記(ノンフィクション)

    4月1日

     朝食のメニュー
     もりそば
     千切りキャベツ
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     千切りキャベツをコショウとポッカレモンだけで食べる。くそっ、見てろよ栄養士め。そうめんには塩分がかなり含まれているそうなので日本そばにする。くそっ、見てろよ栄養士め。
     いちおうめんつゆを大さじ1使い、つゆは飲まなかったから麺とあわせて1g程度か。

     昼食のメニュー
     会社でハードボイルドな弁当

     こればかりは会社で支給されるからしかたないが、3gは使ってるだろうなあ。

     夕食のメニュー
     バーミヤンで優雅な夕食
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     サラダの塩分が2.6g。スープが塩分たくさん。計算したくない。

     合計すればなんとか塩分10gに収まったと思われるが、栄養士の野郎は6g以内にしろと。

     どうやって?

    4月2日

     朝食のメニュー
     もりそば
     千切りキャベツ
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     きのうはコショウのかけすぎで尻が痛かったので、今回はレモン汁だけで食べてみることにする。きつい。

     塩分はそばとつゆで1g程度と思われる。

     昼食のメニュー
     もりそば
     千切りキャベツ
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     千切りキャベツをいつも通りレモン汁だけで食べようとしたがあまりにきつくて。そばのつゆの残りを少々かけてみる。なんとかそれなりに食える味になったが、塩分は1.5gにはなってるだろう。

     夕食のメニュー
     麦飯
     味噌汁
     納豆
     キムチ
     生卵
     千切りキャベツ
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     千切りキャベツを食べるのに塩分がないとつらいということを学習したので、ドレッシングをレモン汁で割って使ってみることにする。これで同じ大さじ1のドレッシングが大さじ2に変化するのだ!(そうか?)

     納豆はたれなしを買ってきたので、キムチの塩味だけで食べてみる。まあ、物足りないけど、食えないこともないな。

     味噌小さじ山盛り1、キムチ25g、ドレッシング大さじ1で1.5+0.6+0.9で、それでも3gか。味噌とドレッシングをさらに削って明日には2gに抑える……くくく、見てろよ栄養士め。

     でも、今日は塩分5.5gの食物繊維360gを摂ったから、いちおう栄養士の無理ゲーのお題はクリアしたわけか。食べた感じでもかなり塩分を抑えていることがわかる。これを毎日やるのか。つらいなあ。

    4月3日

     朝食のメニュー
     もりそば
     千切りキャベツ
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     この2日間で調子をつかめてきた感じがする。キャベツにはポン酢(しょうゆじゃない、酢だけの、塩分のないやつ)でドレッシングを割ってかけてみた。干しそばをもどしたので、塩分はそば0.5g、つゆ半分食べたとして0.8g、ドレッシング小さじ1で0.3gの計1.6gでどうだ! どうだ、じゃないか。

     昼食のメニュー
     麦飯
     味噌汁
     納豆
     キムチ
     生卵
     千切りキャベツ
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     味噌汁に入れる味噌を、小さじすりきり1杯にした。これで塩分は0.6gである。具に使う切り干し大根の塩分……と思って調べたら、今回食べる量ではだいたい0.06gくらいだそうだから無視しても構うまい。よって塩分は0.6+0.6+0.3で1.5g。おお、なんとかなるのではなかろうか。

     夕食のメニュー
     麦飯
     味噌汁
     納豆
     キムチ
     生卵
     千切りキャベツ
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     昼食とほとんど同じ。だから1.5gというところだ。4.6g。おおっ、見事達成である! あとはこのメニューを、いつまで飽きずに続けられるか、であるなあ。食物繊維は、この山盛りの千切りキャベツのほかに、切り干し大根と麦飯のぶんがあるから、360gは突破しているに違いない、と思うのだが。

    4月4日

     朝食のメニュー
     もりそば
     山盛り野菜
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     昨日と同様の調味を決行。だから1.6gから変化はないと思われる。

     昼食のメニュー
     麦飯
     味噌汁
     千切りキャベツ
     納豆
     キムチ
     生卵
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     めんどうくさいので塩分計算はやめることにする。内容は前回以前と同じ。

     夕食のメニュー
     麦飯
     味噌汁
     千切りキャベツ
     納豆
     キムチ
     生卵
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    4月5日

     朝食のメニュー
     麦飯
     味噌汁
     千切りキャベツ
     納豆
     キムチ
     生卵
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     精神の糸が切れたのか、スパゲティが食べたくてどうしようもなくなる。

     昼食のメニュー
     スパゲティナポリタン
     千切りキャベツ
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     塩分のことは忘れる。

     実家に帰る。

     夕食のメニュー
     米飯
     味噌汁
     エビチリ
     しめさば
     大根の煮物
     れんこんのきんぴら
     どら焼き
     みかん
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    4月6日

     朝食のメニュー
     トースト
     ソーセージ
     野菜炒め
     ザワークラウト
     プルーン
     チーズ
     ミルクコーヒー
     ヨーグルト
     いちご
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     実家の両親が老人ホームに入るとかで、この朝食も食い納めだろう。

     昼食のメニュー
     スシローで楽しく回転寿司

     夕食のメニュー
     米飯
     味噌汁
     焼肉
     生野菜
     お浸し
     明太子
     大根の煮物
     どら焼き
     みかん
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    4月7日

     朝食のメニュー
     トースト
     野菜炒め
     チーズ
     プルーン
     クラムチャウダー
     ミルクコーヒー
     ヨーグルト
     りんご
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     昼食のメニュー
     ざるそば
     野菜天ぷら
     プリン
     いちご
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     この部屋をなんとか片づけねばならぬ。悲壮な覚悟をする。

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     夕食のメニュー
     コンビニ弁当

     片づけていたら飯の写真を撮るのを忘れる。

    4月8日

     朝食のメニュー
     総菜パン
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     昼食のメニュー
     会社でハードボイルドな弁当

     夕食のメニュー
     カレーライス
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    4月9日

     朝早く起きて病院へ行く。手続きを済ませた後、ファミリーレストランがことごとく閉まっていることに気づき、唯一開いていたマクドナルドに飛び込む。

     朝食のメニュー
     フィレオフィッシュ
     オレンジジュース
     サラダ
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     昼食のメニュー
     麦飯
     味噌汁
     納豆
     生卵
     キムチ
     千切りキャベツ
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     図書館から相互貸借の本が入ったと報あり。仕事の後行く。めんどくさいのでそば屋で夕食。

     夕食のメニュー
     もつ煮定食
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     うーん、うどんが残念。もつ煮もちょっとなあ。

    4月10日

     朝食のメニュー
     麦飯
     味噌汁
     納豆
     キムチ
     生卵
     千切りキャベツ
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     棚を整理していたら期限寸前のカレーうどんを見つける。

     昼食のメニュー
     月見カレーうどん
     大根サラダ
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     大根サラダは、酢とわずかの塩味だけで食べるのはつらい、ということに気づいた。

     夕食のメニュー
     麦飯
     味噌汁
     生卵
     キムチ
     納豆
     千切りキャベツ
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    4月11日

     朝食のメニュー
     カレーライス
     大根サラダ
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     朝がつらかったのでカレーでごまかす。

     スーパーへ買い物。

     昼食のメニュー
     もりそば
     キャベツ千切り
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     一度実家に帰る。

     夕食のメニュー
     米飯
     味噌汁
     焼き鳥
     お浸し
     きゅうり
     まぐろ刺身
     れんこんのきんぴら
     どら焼き
     みかん
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    4月12日

     朝食のメニュー
     トースト
     ソーセージ
     野菜炒め
     ザワークラウト
     チーズ
     プルーン
     ミルクコーヒー
     ヨーグルト
     りんご
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     病院へ行く。帰りにスーパーで昼食を買う。

     昼食のメニュー
     鮭弁当
     キャベツ千切り
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     友人と待ち合わせて飯を食う。

     夕食のメニュー
     カラオケ屋でスクラブルをやりながら夕食

    4月13日

     朝食のメニュー
     惣菜パン

     実家に帰る。

     昼食のメニュー
     スシローで家族と回転寿司

     夕食のメニュー
     米飯
     味噌汁
     刺身
     手羽先
     お浸し
     大根の煮物
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    4月14日

     朝食のメニュー
     トースト
     ソーセージ
     野菜炒め
     チーズ
     プルーン
     ザワークラウト
     クラムチャウダー
     ミルクコーヒー
     ヨーグルト
     いちご
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     一度アパートへ戻り、スマホを忘れる。

     昼食のメニュー
     弁当

     アパートへスマホを取りに行ってまた実家に戻る。

     夕食のメニュー
     米飯
     味噌汁
     大根の煮物
     塩鮭
     牛すき煮
     お浸し
     どら焼き
     ぶどう
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    4月15日

     寝ぼけながら会社に行く。

     朝食のメニュー
     エビピラフ
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     昼食のメニュー
     会社でハードボイルドな弁当

     そば屋でそばの調子も見てみることにする。

     夕食のメニュー
     そばやでかつ丼定食
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     かつ丼がメチャクチャ残念だった。これなら値段的にすき家のほうがマシかもしれない。

    4月16日

     朝食のメニュー
     そうめん
     千切りキャベツ
    IMG_20190416_090245.jpg

     昼食のメニュー
     麦飯
     味噌汁
     生卵
     納豆
     キムチ
     千切りキャベツ
    IMG_20190416_122856.jpg

     夕食のメニュー
     米飯
     味噌汁
     キムチ
     生卵
     納豆
     千切りキャベツ
    IMG_20190416_172016.jpg

    4月17日

     朝食のメニュー
     そうめん
     千切りキャベツ
    IMG_20190417_080632.jpg

     昼食のメニュー
     麦飯
     味噌汁
     納豆
     生卵
     キムチ
     千切りキャベツ
    IMG_20190417_122639.jpg

     夕食のメニュー
     そうめん
     千切りキャベツ
    IMG_20190417_200226.jpg

    4月18日

     仕事直前にふらふらになって目を覚ます。時間的に完全に間違っているが朝食をとる。

     朝食のメニュー
     麦飯
     味噌汁
     生卵
     キムチ
     納豆
     千切りキャベツ
    IMG_20190418_122624.jpg

     仕事を終えてから昼食を取りに近所のカレー屋へ。

     昼食のメニュー
     カレーライス数皿
    IMG_20190418_173326.jpg

     TRPGのセッションを終えてから、時間的に完全に間違っているが夕食を取る。

     夕食のメニュー
     麦飯
     味噌汁
     キムチ
     納豆
     生卵
     千切りキャベツ
    IMG_20190418_230838.jpg

    4月19日

     朝食のメニュー
     そうめん
     千切りキャベツ
    IMG_20190419_114111.jpg

     昼食のメニュー
     麦飯
     味噌汁
     キムチ
     納豆
     生卵
     千切りキャベツ
    IMG_20190419_122615.jpg

     夕食のメニュー
     米飯
     味噌汁
     筍の煮物
     煮魚
     お浸し
     生野菜
    IMG_20190419_182304.jpg

    4月20日

     朝食のメニュー
     トースト
     ミネストローネスープ
     ソーセージ
     野菜炒め
     チーズ
     プルーン
     ミルクコーヒー
     ヨーグルト
     いちご
    IMG_20190420_061237.jpg

     昼食のメニュー
     うどん
     たけのこご飯
     鶏肉
     レンコンきんぴら
     きゅうり
     ぶどう
    IMG_20190420_112250.jpg

     夕食のメニュー
     米飯
     味噌汁
     焼肉
     生野菜
     まぐろ刺身
     お浸し
     れんこんのきんぴら
     かまぼこの煮物
     いちご
     どら焼き
    IMG_20190420_172628.jpg

    4月21日

     朝食のメニュー
     そうめん
     サラダ
    IMG_20190421_092024.jpg

     昼食のメニュー
     スシローで楽しい昼食

     夕食のメニュー
     米飯
     味噌汁
     鶏足
     生野菜
     塩サバ
     ラッキョウ
     大根と里芋の煮物
     れんこんのきんぴら
     どら焼き
    IMG_20190421_172746.jpg

    4月22日

     朝食のメニュー
     そうめん
     キャベツの千切り
    IMG_20190422_083658.jpg

     昼食のメニュー
     会社でハードボイルドな弁当

     夕食のメニュー
     バーミヤンで本を読みながらの夕食
    IMG_20190422_173750.jpg

    4月23日

     朝食のメニュー
     もりそば
     キャベツの千切り
    IMG_20190423_102613.jpg

     昼食のメニュー
     麦飯
     味噌汁
     納豆
     キムチ
     生卵
     キャベツの千切り
    IMG_20190423_121350.jpg

     夕食のメニュー
     近所のファミレスそば屋で天丼
    IMG_20190423_185421.jpg

    4月24日

     朝食のメニュー
     もりそば
     キャベツ千切り
    IMG_20190424_090324.jpg

     昼食のメニュー
     麦飯
     味噌汁
     納豆
     キムチ
     生卵
     キャベツ千切り
    IMG_20190424_122710.jpg

     夕食のメニュー
     麦飯
     味噌汁
     納豆
     キムチ
     生卵
     キャベツ千切り
    IMG_20190424_173701.jpg

    4月25日

     朝食のメニュー
     ニンニクラーメン
    IMG_20190425_123546.jpg

     昼食のメニュー
     麦飯
     味噌汁
     納豆
     キムチ
     生卵
     キャベツ千切り
    IMG_20190425_194530.jpg

     夕食のメニュー
     麦飯
     味噌汁
     納豆
     キムチ
     生卵
     キャベツ千切り
    IMG_20190425_234947.jpg

    4月26日

     朝食のメニュー
     お好み焼き
    IMG_20190426_113330.jpg

     昼食のメニュー
     カレーライス数皿
    IMG_20190426_173556.jpg

     夕食のメニュー
     麦飯
     味噌汁
     キムチ
     生卵
     納豆
     キャベツの千切り
    IMG_20190427_003529.jpg

    4月27日

     朝食のメニュー
     ランチパック
     キャベツの千切り
    IMG_20190427_070718.jpg

     昼食のメニュー
     スシローで楽しく昼食

     夕食のメニュー
     トンカツ弁当
     味噌汁
     カキフライ
     鶏足
     生野菜
     かまぼこの煮物
     ぶどう
     和菓子
    IMG_20190427_165114.jpg

    4月28日

     朝食のメニュー
     味噌汁
     キムチ
     生卵
     納豆
     千切りキャベツ
    IMG_20190428_082334.jpg

     友人と映画を見に行く。

     古本屋を冷かしてから行きつけのとんかつ屋で昼食。

     昼食のメニュー
     トンカツ定食680円
    IMG_20190428_111612.jpg

     映画は素晴らしかった。そのままアパートへ帰ってボードゲームでの戦いになる。

     夕食のメニュー
     麦飯
     味噌汁
     キムチ
     納豆
     生卵
     千切りキャベツ
    IMG_20190428_193901.jpg

    4月29日

     仕事である。

     朝食のメニュー
     駅前の喫茶店でジャンバラヤ
    IMG_20190429_100901.jpg

     昼食のメニュー
     会社でハードボイルドな弁当

     夕食のメニュー
     駅前のそば屋で天丼セット
    IMG_20190429_172457.jpg

     この写真の姿で出てきたメニューを見てわたしは叫んだ「貧弱! 貧弱ゥゥゥゥゥ!」 この天丼はないだろうトホホホ。天ぷらはこの二つしか飯に載っていなかったのである。

    4月30日

     朝食のメニュー
     そうめん
     千切りキャベツ
    IMG_20190430_091659.jpg

     昼食のメニュー
     麦飯
     味噌汁
     納豆
     キムチ
     生卵
     キャベツ千切り
    IMG_20190430_123005.jpg

     夕食のメニュー
     バーミヤンで味噌ラーメンを食べてからひたすら本を読む
    IMG_20190430_175200.jpg

     いったい何をやってたんだ4月。こうして4月の日記も終わる。

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    ある設定野郎の話

    ユーモア

    「TRPG用の世界設定するんだって?」

    「うん、それで応援を頼んだわけだ。容赦なくツッコんでくれ」

    「いいけど、まず、なにをやるの?」

    「恒星系の設定をする」

    「恒星系……恒星系ね、なんでそんなこと」

    「これは重要だ。恒星からの距離と、冒険世界となる惑星の軌道を設定することにより、気温と、一年にかかる時間とが決まるわけだからな」

    「はあ」

    「それが終わったら、惑星の設定だ。まず、どれだけ地軸を傾けるかと、惑星の大きさ、そして密度と自転周期を考える」

    「なんでそんなことを!」

    「地軸の傾で、春と夏の気温変動が決定されるだろ」

    「それはいいよ。大きさもいい。でも、密度と自転周期なんて、何に使うんだよおい」

    「惑星の大きさと密度から、質量が分かる。質量と自転周期がわかれば、その惑星上の重力がどれくらいのものか決定される」

    「重力ね……ああ~はいはい」

    「次に大気組成と水界の有無だ」

    「大気組成って……普通に空気じゃいかんのか」

    「いいわけないだろう。酸素濃度がちょっと違っただけでも、世界の生物環境がまったく異なってくるんだぞ」

    「頭が痛くなってきた。水界ってのは」

    「惑星にどれだけ水があるかということだ。これまでの計算から、海の広さを算出する。ことによると、砂漠のような惑星になってしまうかもしれないからな」

    「…………」

    「なんだ、おれの顔になんかついているか」

    「目と鼻と口。それから、何を決めるんだよ」

    「気候区分を決める」

    「気候区分って、あれか。ジャングルとか、ツンドラとか」

    「そうだ。ここでも、大気組成と恒星からの距離、地軸や自転周期が問題になってくる」

    「自転周期なんて何に使うのか、きいてもいいですか?」

    「自転によってコリオリの力が発生し、それと気温差からの対流によって、風の強さが決まる」

    「聞いた自分がバカだったような気がする……それで。ほかには」

    「大陸の様相も決めなくちゃならない」

    「ようやく大陸か」

    「大陸の配置は、もちろん、プレート・テクトニクスの原理に従う」

    「プレート……テクトニクスって……」

    「プレート・テクトニクスがなければ、造山運動がないから、山なんかできるわけがないだろう。山ができてから、それに従うように川を作るんだ」

    「あーはいはい」

    「で、そこにさっき決定した気候区分を当てはめて、植生を決定する」

    「植生ねえ」

    「氷雪地帯に広葉樹が生えていたらおかしいじゃないか」

    「そうかもしれないけどさあ」

    「それが出来上がったら、動物の配置を行う」

    「動物か」

    「草食動物、肉食動物、そういったもののピラミッドを構築して」

    「そこまでする必要ある?」

    「なんだお前、動物がいない世界で冒険したいっていうのか」

    「そんなことは全然」

    「そこでようやく人間の配置だ」

    「ようやくだな、ほんとに」

    「まず、どこで発生して世界じゅうに分布したのかを決める」

    「あの、もしもし?」

    「その過程でどのように言語が発達したかを決めて」

    「おい、聞いてるか」

    「民族の動きとぶつかり合いから、いかに歴史ができたかを詳細に記述し」

    「だめだこいつ」

    「完成! ああっ、しまった」

    「なんだよ」

    「見てくれ、トールキンの指輪物語とまったく同じ地図になってしまった!」

    「いいかげんにしなさい」

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    日本ミステリ89位 非合法員 船戸与一

    東西ミステリーベスト100挑戦記(ミステリ感想・やや毎週土曜日更新)

     高校のころ、とりあえず手が届く船戸与一は何でも読んでやろう、まずは「東西ミステリーベスト100」にも挙げられていたこれだな、と徳間文庫版を入手し読んだ。「山猫の夏」の船戸与一の小説家デビュー作品である。「山猫の夏」や「猛き箱舟」には届かないものの、大満足で読み終えた。それ以来の再読。本は処分してしまったので講談社文庫版を古本屋で買い直した。

     感想であるが。大なり小なり小悪党しか出てこないうえにばたばた死ぬ登場人物、うだるように暑いアメリカ、一連の事件の背後にあるクソみたいな社会問題と国家的陰謀、時おり噴出するねじくれたブラックジョーク、誰も得をしないやりきれない結末、と、船戸与一らしさが炸裂した長編であった。本書の主人公であるCIAの非合法員(破壊活動に類する非合法活動、特に殺人を金で請け負う特殊技術者のこと)、神代恒彦とその相棒のハンス・ボルマンといい、ふたりから成功報酬を盗んで姿をくらましたベトナム人のグエン・タン・ミンといい、その他脇を固める人間たちが、よくぞこれほどうさんくさいやつらを集めてきましたな、といいたくなるほどの個性を主張してくれる。そして彼らの周りには、現代(といっても70年代末だが)のアメリカを中心とした世界の抱える深刻な病巣が、腹からはみ出してきた臓物のように異臭を漂わせながら鎮座ましましている。そんな中で強大な敵と戦う船戸与一の小説のヒーローは、自覚しているいないにかかわらず、全員が、敗北を宿命づけられたある種のアナーキストなのだ。誰にも束縛されない自分の自由を世界から買い取るために、彼らは「カネ」と「地位」を世界から得ようとする。ある者は星条旗や共産主義といった政治思想に忠誠を誓って「地位」を確立しようとし、ある者はひたすら「カネ」を求めて小悪党になったり非合法員のような後ろ暗い職業に身を挺したりする。

     そう。船戸与一の小説の源流は、「白土三平の忍者劇画」にあるのだ。「忍者武芸帳」や「カムイ外伝」の土壌から生まれた、最も優れた子孫のひとつが船戸与一の一群の冒険小説である。カムイやサスケたちがどうあがいても「身分制」やそのバックにいる「江戸幕府」にかなわないように、船戸与一の小説の登場人物も、どうあがいても「社会の不公正」やそのバックにある「アメリカ」に、「日本」に、「世界秩序」にかなわないのである。カムイやサスケたちがその「敗北の運命」を薄々ながらわかっていたのと同様に、船戸ヒーローも自分が生きていく先には破滅しかないことを日々イヤというほど感じ、それでいながら自分の生き方を変えるわけにもいかないことに諦めを感じながら生きているのだ。本書で逃避行を繰り広げる神代の前に次々と現れるそうした「なれの果て」たちに涙なんてかけてやる必要はないが、彼らと地続きの世界に読者もいることを頭にいれるべきだろう。高校生の現代社会の副読本にぴったりな一冊。ではないな。

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    日本ミステリ89位 誘拐作戦 都筑道夫

    東西ミステリーベスト100挑戦記(ミステリ感想・やや毎週土曜日更新)

     これを読んだのは高校三年の受験生の時だったか。当時入手困難だった文庫本を古本屋でゲットしてとてもうれしかったのを覚えている。あまりに嬉しすぎたせいか、内容については「ちょっといまひとつだったかな」と思ったのを覚えているが、さて現在読んでみてどうか。

     当時のわたしが物足りなく思ったのは、やっぱり天藤真「大誘拐」を読んでいたからだな、ということがよくわかった。古今東西の誘拐ものミステリを読むときには、「大誘拐」と比べちゃあかんのである。あの人を食った超巨大スケールの誘拐ものと比べると、どんな誘拐ものも小市民的で貧しく思えて仕方ないのだ。小市民的で小スケールで話が進むことを除いたら、本書「誘拐作戦」は実によくできた、誘拐ものの古典である。都筑道夫らしい、読者の想像の斜め上を行き続ける絶妙なプロットに、翻弄されっぱなしの読書時間だった。いや面白かった。

     しかし、身代金の額をつり上げる作戦において、相手が金満家の大富豪であるのにもかかわらず、「いきなり二千万じゃ相手がびっくりして、払わないと言い出す可能性があるから、まず五百万からじりじりつり上げよう」というのには、うーん、昭和37年だな、たしかに、と思ったのも事実。今の現金価値に換算すると、「二億円の身代金を強奪するのに、まず五千万円からだ」となるのだろうな、というところなので別におかしくはないのだが、なんともスケールが一段階下がって見えるから金の力とインフレは恐ろしい。「二千万円を五人で分けるとひとり四百万だぜ。あとはそれを持って、過去を隠して生きるんだ」となると、そんな、中古マンションすら買えるかどうかわからぬ程度でこんな無茶なリスク冒していいんですか、という気分になる。

     現金が絡むミステリというのもこう考えると難しいものだなあ。大正時代に書かれた「半七捕物帳」の某エピソードで、商家の大店をまるまる乗っ取り、根こそぎ奪って逃げる、という事件で、昔を振り返った半七老人が「二、三千両と云えばこの頃の十万円ぐらいに当るでしょうから」といったときのクラクラするような思いを考えると、誘拐ミステリを盛り上げるためには、「政府によるデノミネーション」が必要なのではないか、などとバカなことを考えるのであった。

     それと本書「誘拐作戦」だが、犯人の目的が意外なところにあるのは事実だが、お前、そんなことのためにこんな恐ろしい犯罪をやるのか? と思えたのもまた事実。それ以上話すとネタバレになるのでいわないが、やっぱりこういうところでも、昭和37年なんだなあ、と、ふと、妙な感慨に……。

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