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    【  2013年03月  】 

    愛を……

    SF

    2013.03.31 (Sun)

     「もう長くないのですね」 ハンカチで目元を押さえながらその老婦人はつぶやいた。「お気の毒ですが」 医者は、深刻な顔でうなずいた。「彼は偉大な政治家であり、芸術家であり、歴史家でした。史上、彼に比することができるのは、ひとり、かのユリウス・カエサルその人だけでしょう」「それでも、あの人は、こうしてベッドで死ねるのですね」「それも、彼が長年にわたり心血を注いで構築したこの平和ゆえですよ」 医者はきっぱ...全文を読む

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    あとがき「幻想帝国の崩壊の崩壊」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.31 (Sun)

     あとがき「幻想帝国の崩壊の崩壊」Q:はじめに、あれだけぶち上げて、作者としてのやる気もあった小説が、どうしてこのようになってしまったのかについてお聞きします。たしか一年かけて千枚の予定だったんでしたっけ?A:それが蓋を開けてみればだいたい四百枚というところだ。文章の量的にはもっと下だろう。しかし、こうなるしかなかったんだろうな、今のわたしでは。そうとしかいいようがない。Q:そう答えると思っていまし...全文を読む

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    断片XXX「はじめに」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.30 (Sat)

      はじめにことばあり、ことばはかみとともにあり、ことばはかみなりき。このことばははじめにかみとともにあり、よろづのものこれによりてなり、なりたるものにひとつとしてこれによらでなりたるはなし。 ……出力終了……参考文献スピノザ「エチカ」畠中尚志訳(岩波文庫)上野修「スピノザの世界―神あるいは自然」(講談社現代新書)鬼界彰夫「ウィトゲンシュタインはこう考えた-哲学的思考の全軌跡1912~1951」(講談社現代新書)...全文を読む

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    断片236「なにかがそこにはあった」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.30 (Sat)

      なにかがそこにはあった。砂と化して崩れ行くスヴェル・ヴェルームの残骸の中に、なにかがあるのだ。「羊膜……」 呆然として詩人はつぶやいた。 ルジェは駆け寄り、その「なにか」から砂を払いのけようとした。 顔が歓喜のそれに変わった。「殿下!」 殿下だと? それに、見えるのは、ひとりではなく、ふたりの身体だが……。 そうしている間にも羊膜のようなものは表と同時に中から破られた。中にいたのは、ふたりの少年少女...全文を読む

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    断片235「砂河鹿の歌声が聞こえる中」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.29 (Fri)

      砂河鹿の歌声が聞こえる中、詩人は砂の上にわずかな文章を書き終えた。「決まったかね」 詩人は立ち上がり、ルジェの目をまっすぐに睨み返した。「ぼくは詩人です。自由な詩人です。だから、スヴェル・ヴェルームの断末魔とやらは見ましょう。しかし、それに対して詩を作るかどうかは、自分で決めます」 ルジェはうなずいた。「かまわない。きみの自由だ。決定された自由だが」「スヴェル・ヴェルームの生きている部分はどこに...全文を読む

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    断片234「おっしゃる意味がよくわかりませんが」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.28 (Thu)

     「おっしゃる意味がよくわかりませんが……」 そういう詩人に対し、ルジェはどこか悲しげに答えた。「そうだろう。幻想帝国の崩壊は、文明の崩壊をも伴うものだったからな。きみはこの世界でも有数の教養人だ。そんなきみとですら、わたしは話すのに多大な労力を使う。そして、砂河鹿に詩を教えるのはさらに困難なことだった。聞いてくれ、きみ。わたしは幻想帝国でも知恵のある人間たちが力の限りを尽くし、生ける皇宮スヴェル・ヴ...全文を読む

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    断片233「それじゃ神の言語とはなんですか!」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.27 (Wed)

     「それじゃ神の言語とはなんですか!」 詩人は叫んだ。隠者は答えた。「きみがたどり着いた答えで間違いはない。神の言語は、われわれが使う日常会話の言語であり、きみも使える統制言語でもある。統制言語とは、傷ついたスヴェル・ヴェルームを再生し、再構築するために、すべての論理記号と、人間に判別可能なすべての発音を網羅して作り上げた人工言語だが、その基本は日常の言語と同じだ。そこには因果律がある。そして、もち...全文を読む

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    断片232「ぼくは信じません」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.26 (Tue)

     「ぼくは信じません。ぼくは意思して、意思の通りに動いています」「きみが、自分をそう考えるのは自然だし、そう考えて行動するのは別に間違ったことではない。単に真実とは違うというだけのことだ。さて、どうして人間は、すべての物事に『原因』を探して、しかも見つけ出してしまうのか。『原因が存在しない』ということを考えることもできないのはなぜなのか」「考えたくもありませんね。もしかして、それが『生成文法』とやら...全文を読む

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    断片231「隠者はわずかに笑みを浮かべた」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.25 (Mon)

      隠者はわずかに笑みを浮かべた。「きみに聞こう。きみはなぜ、左手でなく右手を挙げたのかね?」「馬鹿にしているんですか! あなたが、右手を挙げろといったからではないですか!」 いきりたつ詩人を、隠者は軽く手で制した。「そうだ。わたしが右手を挙げろといったから、きみは右手を挙げた。すると、こういうことにはなりはしないかね。わたしが右手を挙げろといわなかったら、きみは右手を挙げなかった」「当たり前じゃあ...全文を読む

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    リングサイドにて

    ユーモア

    2013.03.24 (Sun)

     「いいか、相手は世界ランカーだからといって、呑まれるんじゃないぞ。お前には右がある。忘れるな」「はい、会長」「やつは左ストレートでくる。だが、それは罠だ。その後の右のジャブ、そちらに気をつけなくてはいかん。そこからアッパーに持っていくのがやつのやりかただ。だが、簡単にスウェイでかわせると思うなよ」「はい!」「やつの左をダッキングでかわしてから、ボディにぶちこめ。やつは腹が弱い。なぜならそこにフォー...全文を読む

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    断片136「そしてこれらの事実が」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.23 (Sat)

      そしてこれらの事実が、どこからともなく人々の口の端にのぼり、やがて『詩歌』としてひとつの芸術になるまでは、果てしない、果てしない時間が必要だった。 誰ひとりとして、教えられることもなく、ふと人々の心の中に、詩句は浮かび上がってくるのだった。 その詩句の「内容」なり「意味」なりとなると、理解するものはひと握りの人間に限られてはいたが。 少なくともふたりの人間が、時間を隔てて収集と分類にいそしむこと...全文を読む

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    断片135「産業化には時間がかかる」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.22 (Fri)

      産業化には時間がかかる。 続由美子の身体から摘出された癌細胞から、IPS細胞を爆発的に作り出すシステムが解明されたのが三十八年後。 IPS細胞を移植しても新たな癌を引き起こさないようにするための免疫システムが解明されたのが五十五年後。 それらが産業としてうまく軌道に乗るようになったのが七十一年後のことだった。 IPS細胞生成システムの解明に使用された癌細胞が、「続由美子」という日本人のものだとい...全文を読む

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    断片134「乾いた風が吹いている」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.21 (Thu)

      乾いた風が吹いている。もうそんな季節なのだ。 親友のいないキャンパスは、どことなく物寂しかった。高梨しずかは、学食でカレーを食べながら、「中島ラボ」からスパコンが運び出されるのを眺めていた。 スキャンダルもいいところだった。准教授ではあったが、指導教授と研究員が、不倫旅行の末、トラックとの衝突事故により死亡。車はめちゃくちゃに壊れ、中島准教授も、続由美子も、遺体が元の姿をとどめていなかったそうだ...全文を読む

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    断片133「中島准教授は」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.20 (Wed)

      中島准教授は、日本、いや、人類の将来がかかった貴重な検体が、頭から落下していくのを呆然と見ていた。「衛生班! あの女の身体を押さえろ!」 近くの通信用端末に叫んだときには、続由美子の身体は、情報媒体の山をすべるようにして、遥か下の床にまで落ちていた。 それは身体のすべてではなかった。首から頭の部分だけは、情報媒体の山に埋もれ、取り込まれていた。このコンピュータは、自分がそんなギロチンになったこと...全文を読む

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    断片132「続由美子の反応は」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.19 (Tue)

      続由美子の反応は、警備に当たっている人間や、その場の職員たちにとっても予想外なもののようだった。外部に通ずるエレベーターさえ押さえておけば、後は観念して、余計なことはしないだろう、というのがその判断だったらしい。 だが、続由美子は、中央へ、中央へと走っていた。どこにも逃げ場のない、中央の……一番高い階。「どこへ行くんだ!」 中島准教授の声が聞こえた。答えるつもりなどなかった。 続由美子は、小山のよ...全文を読む

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    断片131「続由美子もまた自失していた」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.18 (Mon)

      続由美子もまた自失していた。それほどまでに、このコンピュータが吐き出したとされる文書の内容は、彼女にとってショッキングなものだったからだ。 ディアは……。この世界で、コンピュータの向こうでクラッキングをしているディアとその仲間は、自分を、棄てたのだ。文書の中で書かれたディアを、皇子アヴェル・ヴァールを葬ることにより、自分、続由美子を救う意思を永遠に葬り去ったのだ。 あの文書に書いてあったとおり、自...全文を読む

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    原稿の書ける水

    ユーモア

    2013.03.17 (Sun)

     「ついにわしは突き止めたぞ」 鰓井恵来博士、人呼んでエライエライ博士が天才であることはぼくもよく承知していることだった。あの源発騒動の記憶はまだ新しい。少なくとも、博士の天才ぶりはぼくを退屈させることだけはしないことはわかっている。だからこうして研究所に遊びに来るというわけだ。「それで、なにを突き止めたんですか?」「ふふふ、知りたいか」 博士は愛用の椅子に座って、ふんぞり返った。器用な人だ。「聞い...全文を読む

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    断片036「足取りには臆するところはなかった」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.16 (Sat)

     (欠落。皇子アヴェル・ヴァールの?)足取りには臆するところはなかった。それはまっすぐ生ける皇宮スヴェル・ヴェルームを目指していた。 皇子アヴェル・ヴァールを迎えるように、その場には数多の皇子たちが、礼装して集まっていた。その中から、ひとりがゆっくりと歩み出てきた。「皇子アヴェル・ヴァール、これが望みか?」 フードで深く顔を覆った相手の皇子に対し、皇子アヴェル・ヴァールは胸を張って答えた。「無論」 ...全文を読む

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    断片035「淡々と語った」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.15 (Fri)

     (欠落。皇子アヴェル・ヴァールは?)淡々と語った。「帝国法に、反逆罪、という文言は存在せぬ」「御意にございます」 皇子アヴェル・ヴァールはさらに続けた。「帝国法に、皇子を裁く条文は存在せぬ」「御意にございます」 皇子アヴェル・ヴァールは従者の前で立ち上がった。「そうである以上、皇子たるものは帝国のためにもっともよきやりかたで、自らを裁かねばならぬ」「御意にございます……」 ルジェは涙を流していた。皇...全文を読む

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    断片034「信じぬぞ……」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.14 (Thu)

     (欠落)「信じぬぞ……」 皇子アヴェル・ヴァールは苦しげな声でいった。「我は信じぬ。かような世迷言……」「世迷言かどうかは、わが目を見て判じてくださりませ、殿下」 ルジェは寛衣をまとった皇子にいった。「我は信じぬ……」「殿下。何度真実を申せば気が済むのでございますか。それもこれも、殿下が行った軽挙がもとでございます」「軽挙だと。我は」「軽挙でございます。殿下は、生ける皇宮の内部でちらりと見た旧人の女に心...全文を読む

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    断片033「跳ね起きた」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.13 (Wed)

     (欠落。皇子アヴェル・ヴァールは?)跳ね起きた。身体にまとわりついた情報媒体が、ぬるりと滑ってぽたりと垂れた。 誰かがそんな皇子アヴェル・ヴァールの身体を支えていた。「……ルジェ。離せ。わたしは妃に迎える。あの続由美子という娘を、妻として迎えるのだ! 迎えねばならんのだ! ひとたび約束した以上は、帝国の皇子は誇りにかけてそれを果たすのだ!」 ルジェは静かな声でささやいた。「殿下。お気を確かに。殿下が...全文を読む

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    断片032「彼はその言葉を舌で転がすように味わった」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.12 (Tue)

      彼はその言葉を舌で転がすように味わった。ディア。どういう意味だろうか。 娘はそんな彼の思いを先読みするかのように答えた。「大事な人ってことよ、マイ・ディア」「わたしに名を授けてくれるのか」 彼は一瞬呆然とし、そして、娘を強く、思い切り強く抱きしめた。「痛い、痛いわ」 その言葉に備わった若干の苦痛に、彼は自分が力を込めすぎていたことを知らされた。「すまない」 彼は腕から力を抜いた。 娘は、はにかむ...全文を読む

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    断片031「どうしてこうなったのか」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.11 (Mon)

      どうしてこうなったのか、自分でもわからなかった。なにかに導かれるまま、彼は目の前の娘を求め、娘はそれを受け入れた。その間に、どんなやり取りがあったのか、彼はよく覚えていなかった。夜が来て、当たり前のように彼は「続由美子」と名乗る娘と交わり、朝を経てまた夜が来て、そして何度目かの朝を迎えた。 娘は、裸の身体に夜具を巻きつけただけの姿で、彼に尋ねた。「あなたは、どうしてそんな目をしているの?」「わた...全文を読む

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    鏡よ、鏡

    恋愛

    2013.03.10 (Sun)

     「……鏡よ、鏡。世界で一番美しいのは、だあれ?」 風呂上がりに、そんな言葉を鏡に向かってかけてみる。その答えはわかっている。『……それは、鏡に映ったあなたの姿』 そうなのだ。深層心理により、鏡に映った自分の姿は、自分の目にはいいところばかりがクローズアップされて見えるという寸法だ。だから写真などをまじまじと見ると、自分の思い描いていた勝手なイメージとはまったく違う姿に、がっかりするというハメに陥る。 ...全文を読む

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    オオサンショウウオ(仮名)さん千早イラスト!

    いただきもの

    2013.03.09 (Sat)

     わたしの交友関係の中でも、そのハングリー精神と才能とを高く評価するイラスト描きのひとりである「オオサンショウウオ」(仮名。本人希望)さんより、仕事が一段落するまでアイドルマスターの千早の習作イラストを一時預かって公開してくれとの頼みごとが。よござんす! UPしましょう!というわけで以下どーん!かわいいよかわいいよ千早ァッ!!というわけでみなさんも愛でていってくだされ。...全文を読む

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    断片230「王宮で生きるのは」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.09 (Sat)

      王宮で生きるのは並大抵の覚悟では勤まらなかった。その際にいちばん役に立ったのは、確かにあの衛兵がいったとおり、「一本筋を通す頑固な若者」としての自分の印象だった。本気で詩人はそう思っていた。 それにしても、人間の権力欲とは、いかに底知れないものか。なにかに突き動かされたかのように、人を裏切り、騙し、挙げ句の果てには死に追いやることが、こんな王国においてもごく当たり前のように行われているのだ。 王...全文を読む

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    断片229「園遊会は大成功だった」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.08 (Fri)

      園遊会は大成功だった。拍手の雨の中で、少年は頭を下げつつ、ほっとした気分になっていた。 少年は気がつかなかったが、拍手が鳴って当然だった。まだひげも生えていないような少年が、あどけなさの残る声で、王族も貴族もたしなみとしてしか知らない古詩を、正確無比に吟ずるのだ。それだけではない。ちょっとばかり統制文字と統制言語をかじったような、「知的で教養ある」人間を気取った一部の貴族からの、即興詩を作れとの...全文を読む

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    断片228「詩人は目を背けた」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.07 (Thu)

      詩人は目を背けた。それが自分のなしたことだということをよく知っていたからだ。もとはといえば、この役人がなしたことに原因があるということもわかっていたが、詩人には、その原因という言葉は今やまがまがしいものとしか聞こえなかった。「あのものの首はすでに送りました」 傷跡も痛々しいそのもと兵士は、意気揚々と詩人に報告した。「ゆるす」 詩人はそう答えた。早いところこの苦痛に満ちた対話を終わりにさせたかった...全文を読む

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    断片227「幻想帝国の為政者たちは賢明だった」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.06 (Wed)

      幻想帝国の為政者たちは賢明だった。一種エゴイスティックに振舞う『若き神』を、自らの帝国の外部に位置するものでなく、内部……そう、脳髄として取り込んだのだ。幻想帝国の臣民すべては、『生ける皇宮スヴェル・ヴェルーム』を中心とする生物組織の細胞ひとつひとつであり、その成長はスヴェル・ヴェルームの成長ともはや不可分のものであった。 臣民を害することは『生ける皇宮スヴェル・ヴェルーム』にとって自分を害するこ...全文を読む

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    断片226「詩人は苛立った」

    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    2013.03.05 (Tue)

      詩人は苛立った。「もし、ぼくたちの使っている言葉が神の言語だとすると、神はどこにいるのですか。ぼくたちが神だなんて、そんなことを信じているわけではないでしょう?」 隠者はうなずいた。「そう。わたしたちは神ではない。神の言語を使うことはできるが、神ではない」「ぼくが求めているものは、神の言語を神として使う存在です!」 いきりたつ詩人に、隠者は静かな声で答えた。「われわれにはそれを見出すことはできな...全文を読む

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