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    「ほら吹き大探偵の冒険(児童文学)」
    扇風機盗難事件(完結)

    扇風機盗難事件 2-2

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     我輩はシャーリー嬢を守るため、その身体に覆い被さろうかと思った。

     だが、レーザーサイトを当てながら発砲しないということは、即座に彼女の命を奪うつもりが賊にはないことを意味する。

     我輩は立ち止まり、息を止めたまま両手を上げた。

    「馬鹿じゃないだけじゃなく、話もわかるようね、諮問探偵さん」

     我輩はぱっとその声の方を見た。

     我輩は敗北を悟った。

     屋上のほうからロープを垂らして我輩の事務所の壊れた窓のところに足をかけている、都市迷彩服を着て顔を半ば隠した女が持っていたのは、引き金のひと引きで、この部屋の中にいる者のほとんどをひき肉かガラクタの山に変えてしまう、コンバット・ショットガンの中でも最悪の、散弾を連射可能なオートマティック・ショットガンだったのだ。

    「この煙の中で、どうしてマスクもなしに」

     我輩は、息を吸い込まないようにしながら発音した。慣れれば難しい技術ではない。

     女は、銃口を意図的に揺らしながら笑った。顔の半分を覆っていても、ぞくりとするような妖艶な笑みだった。

    「世の中には解毒剤という便利なものがあるのよ」

    「貴様がこの事件の黒幕か」

     女は笑った。

    「あたしはただの雇われの兵隊よ。さて、できれば、ちょっとつきあってもらいたいので、息を吸い込んではいただけないかしら?」

    「つきあう? どこへだ?」

     女はいつでもどこでも撃てるように銃口を揺らしながら答えた。

    「南極よ」

    「南極だと?」

     話が全く予想外の展開を見せたので、我輩は思わず息を吸い込んでしまった。

     我輩の目の前が真っ暗になり、次に気がついたとき、我輩は機上の人となっていた。

     最近のビジネスジェットは豪華になったというが、さもあらん。

     我輩は、狭いながらも趣きのある調度品で飾られた貴賓室に、シャーリー嬢と、得体の知れぬ中年男と、あのガンマンの女とともに、豪勢な食事の並んだテーブルにつかされていたのだ。

     我輩は紳士らしく、断固とした怒りを見せてこの事件の黒幕らしいその得体の知れぬ中年男に文句をぶつけた。

    「紳士とこの若き淑女をもてなすのに、いかに機上とはいえ、椅子にくくりつけるというのは非礼ではありませんかな、ミスター・ノーボディ(名無しの権兵衛さん)」

     そうだった。我輩とシャーリー嬢は、手こそ自由に使えるものの、溶接でもされたのか機内にがっちりと固定されたごつい金属製の椅子に、身体と両足を革ベルトと鎖でこれまたがっちりと固定されておったのだ。
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    ~ Comment ~

    Re: 矢端想さん

    どちらかといえばオートマティックが好きです。

    いちばん好きな拳銃は、ワルサーPPKです(^^)

    Re: ねみさん

    どちらかといえばサブマシンガンのほうが好きなのですが、わたしが書くとどちらかといえば「一般兵」に持たせようとしてしまうので……(^^;)

    ちなみにオートマティック・ショットガンはあまりの「使い道のなさ」にお蔵入りになってるそうであります。クレイモア対人地雷を抱えているようなものだもんなあ……。

    NoTitle

    そんなもんで挽き肉つくって、誰が料理するんだ?金属片除くだけで重労働。それか、ハンバーグ食べながらスイカの種みたくペッペッと吐きだすとか?

    火器はやはりシンプルに、男は黙ってシングルアクションリボルバー! 女も。

    NoTitle

    ショットガン大好きですね、ポールさん。
    サブマシンガンとかはあまりお好きでない?

    てか、オトマショットガンはやりすぎでしょう。
    普通のショットガンでいけるって、女さん。

    Re: 矢端想さん

    あまりのイカレ具合でわたしの大好きな武器です(^^)

    武器というよりはグリュエルチーズ製造機というか挽き肉製造機というか……(笑)

    ちなみにこの手の銃に一粒弾(スラッグ)を満載してフルオートでぶっ放す、というバカにもほどがある映像がYoutubeにあったはずです。プレデターとでも戦うつもりか!(笑)

    NoTitle

    > オートマティック・ショットガン

    コメントする前に一応ググってみました。
    そんなトンでもないイカれたもんが実在するんだ…

    Re: ぴゆうさん

    しょーもない理由です。はい。(^^;)

    しょーもない小説を目指しているので。(^^;)

    逆にいえば、しょーもなければしょーもないほど、作者の狙いに沿った作品になっているということで……。(^^;)

    書き終えた今になって思えば、ちょっとしょーもなさが足りなかったかなあ、と反省を……。(^^;)

    NoTitle

    家庭の扇風機から南極へ。
    結末はどないなるんや!
    しょうもない理由だったら、怒るデェーー
    沢山、ナニして帰るどーー
    v-389
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