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    「エドさんとふしぎな毎日(童話)」
    探偵エドさん(童話掌編シリーズ・完結)

    作品解題

     ←あとがき →範子と文子の三十分的日常/八月・夏休み終わりといってもいつもと大差はない日
    作品解題(作品内容に触れる部分が多ですので、本編をお読みになった後でご覧ください)

    エドさんのプロフィール(イラストも)
     このシリーズをブログに掲載することを決定したときにまとめたもの。
     10話までの段階で書いたので設定が甘い。
     イラストを描いていただいたときには嬉しかったなあ。

    エドさん探偵物語:1 突然の依頼猫
     エドさんの事件簿のトップを飾る作品。
     もともと、某社の童話賞の応募作として書いたもの。応募の条件が、四百字詰め原稿用紙五枚以内だったので、収まるように書いた。それがある種のフォーマットになってしまい、自分の首を絞める結果になろうとは。
     当初は無国籍ものを狙っていたので、日本人としても読める名前になったが、成功しているとはいいがたく、後にどうでもよくなってしまった。
     エドさんのエドは、江戸川乱歩でもエドガー・アラン・ポオでもなく、エド・マクベインからいただいたエド。

    エドさん探偵物語:2 海賊たちが来た日
     これも、某社の童話賞の応募作として書いた。
     元ネタになったのは、P・スカイラー・ミラーの『瓶の中の船』についての、松田道弘先生の紹介記事。
     『瓶の中の船』自体は読んでいないため、どんな結末を迎えるのか未だに知らない。
     だからパクリにはなっていないと思う。

    エドさん探偵物語:3 鉄の城
     これも、某社の童話賞の応募作として書いた。
     原稿用紙五枚の中で、どれだけ本格ミステリができるかという挑戦のようなもの。しかも密室だ!
     粗が目立つが、本人としてはがんばったと思っている。

    ここまでの三作は、最初に書いた作品。どれを投稿しようかと、ネットの友人に見せたところ、なんと「どれも面白い」といってくれたので、自信をつける。
    そうかわたしの小説は面白いのかとハッスルし、三作投稿するよりは、十作投稿したほうが、入賞率も三倍だ、などと余計なことを考え、さらにシリーズを書く。

    エドさん探偵物語:4 赤い手袋
     これを書いたのは四月ごろだったので、まだちょっと寒かった。というわけで雪だるまを登場させてみた。
     雪から、「南極の氷で冷やしたウイスキー」という連想が働き、このエンディングになった。
     ある人から、このシリーズ最高傑作といわれた。嬉しかったが、そのときはまさか全五十話になるなどとは想像もしていなかった。

    エドさん探偵物語:5 恋する針金細工
     10までの作品は、磨きをかけようと、ネットでいろいろとお世話になっていた漫画家の先生にアドバイスをいただいたのだが、その中でも厳しくご指導いただいた作品。
     第一稿では、針金細工とスケッチのロマンスよりも、エドさんと栗色の髪の女性芸術家のロマンスのほうに重点がいってしまい、「二人のほうを仲良くさせちゃダメでしょ」とダメ出しを食らった。
     先生は、作品に関しては厳しいかたなので、非常に勉強になった。半分鉄拳制裁みたいなものだったけど。

    エドさん探偵物語:6 わたしを食べて!
     これはフィリップ・K・ディックの有名な作品が元ネタ。水木しげる先生も同じネタで傑作漫画を描かれているし、ほかにもネタにした人は多いのではないかと思う。
     第一稿では、いきなり、この「食われることにより増える」生物の親玉である異星生物が現れ、「人間はまずいから食うのをよした」というオチで終わったが、異星生物が唐突過ぎるということで没。
     でもいつか使いたいネタである。

    エドさん探偵物語:7 不可能を探せ
     「不可能犯罪」ものがやってみたくてその手の本を読んでいたら、頭の配線がどうつながったのか「不可能」自体を探すというのはどうだろう、というアイデアが湧いて書いたもの。
     シチュエーションだけで勝負している作品といえるかもしれない。
     この辞書の人物像は気に入っている。

    エドさん探偵物語:8 手を上げろ
     反戦ものが書きたかった。逃亡兵にすると五枚ではおっつかなくなるので、「拳銃」に集約させた。
     アイデアの元になったのは、おおのやすゆき先生と大滝よしざえもん先生の共著「深く静かに沈没せよ!」にある、「九四式拳銃」についての罰当たりなギャグ。

    エドさん探偵物語:9 ペンは剣より
     社会派ものが書きたかった。例のネット友人からは、「正義感」があまりに露骨すぎると思われたらしいが、こういう「正義は必ず勝つ」みたいな話があってもいいのではという考えは変わらない。
     着想のもとは、ウィリアム・マッギヴァーン「緊急深夜版」。

    エドさん探偵物語:10 盤をはさんで
     これもP・スカイラー・ミラーの『瓶の中の船』で、怪しげな骨董屋の店主と主人公がするチェスの勝負のイメージからふくらませた。松田道弘先生は本の紹介で、わずかなあらすじでもストーリーを想像させるのが実にうまい随筆家である。
     もうひとつ元ネタがあり、今はなき「タクテクス」というゲーム雑誌のRPGのリプレイで、幽霊とチェス盤をかけてチェスの勝負をするというシーンからの連想。
     ミステリ的な話をすると粗だらけですぐに真相がわかってしまうが、この話を気に入ってくれたかたもいた。自分ではけっこう気に入っている作品。

    ここまでの十作を投稿したものの、全ボツという結果に終わる。人生の酸味を味わった一瞬だが、ここで、今は気鋭の評論家として活躍する某友人が、とんでもないことをわたしに焚きつけたのである。
    「百話書いて、乱歩賞に応募しろ」
    いわせてもらうが、こんなショートショートを百篇も書いたら脳神経が焼ききれて寝込んでしまう。
    「無理だよ書けて五十話だよ」
    と答えたが、まさかほんとうに五十話を書くことになるとは、そのときのわたしは夢にも思っていなかった。
    ここまでの作品を印字して、漫画家の望月三起也先生を囲むイベントに、名刺代わりに持っていくも、初めて顔を合わせる友人たちには渡せたが、肝心の望月先生には怖くて渡せず、偶然隣に座った人に渡す。
    後にメールで、「いま中学生の娘が、こんな短くてまとまっていて面白い話は初めて読んだ! と大騒ぎしている」という返事をいただき、嬉しさのあまり泣く。

    エドさん探偵物語:11 バッジを見つけろ
     ブログを始めて、なにを掲載するか迷って、最初のうちは「エドさん」から掲載するか、とやっていたら、どういうわけか一日一話のペースで更新をしてしまい、わずか十日で掲載するものがなくなってしまうことに気づき、慌てて書いたもの。
     トリックとしてはありふれているが、ある意味、盲点をついていて、この手のミステリにうとい子供たちはびっくりするのではないかと思って書いた。
     栗色の髪の女性芸術家再登場。この段階で、五十話か百話の結末では、二人の結婚式で終わろう、と決意する。ほとんど願望小説である。

    エドさん探偵物語:12 車窓の少女
     サブキャラクターのひとりにすると決めた以上、もう毎回のようにあの芸術家を出すぞ、と開き直って登場させる。
     エンディングの、ひまわりの中に無数の少女がいる光景は、タイトルは忘れたが、昔読んだ、ふきのとうの出てくる絵本のある意味恐怖を感じさせるようなラストシーンに触発された。

    エドさん探偵物語:13 一撃の理由
     たまに出てくる、「本格ミステリ書きたいよ」病により発作的に書いたもの。
     個人的には気に入っているのだが……。

    エドさん探偵物語:14 迷子の伝書鳩
     元ネタになったのは、「スカイキッド ブラック魔王」だといったらひっくり返る人も出てくるかもしれない。あれに出てくる根性悪の伝書鳩がモデルのひとつ。
     ここで「航空写真」なんかを出したために、時代背景がレトロフューチャーから現代になってしまった。

    エドさん探偵物語:15 地獄の国税局
     元ネタは、中学生のころに読んだ、水見稜先生の「夢魔のふる夜」に出てきたヘラ細胞。
     そこに悪魔と「国税局」を放り込んだが、けっこう面白くなったと思う。

    エドさん探偵物語:16 貧しきものに幸いを
     アイデアのもとになったのは、昔話で、貧乏神と福の神がケンカをして、勝った貧乏神が福の神になったという有名なもの。
     貧乏神もなんだなあ、と、記憶をたどって、プラトンの「饗宴」に出てくる「ペニアー」様に行き着いた。
     まだキエフ風カツレツ食ってない。

    しばらくここで間が空く。でもエドさんのことは頭から離れなかった。思い出したように続編を書く。

    エドさん探偵物語:17 縛り首の宿
     ホラー風ファンタジー。元ネタは、ジャック・リッチーの「ターンバックル部長刑事」ものの一篇。
     オチに至る流れを思いついたときには「やったぜ!」と思った。

    またもかなり長く間が空く。このままではいかん、と、また一篇を書く。

    エドさん探偵物語:18 依頼人は怪獣
     エドさんを放りっぱなしにして、悪いことをしたなあ、と思ってひさしぶりに書いた。このころになると、「四百字詰め原稿用紙五枚に抑える」という制約がもう固定された事実になっており、別な意味でひぃひぃいうことになる。
     怪獣を依頼人にしたのはいいものの、どうつじつまを合わせるか、大いに悩んだ。ここでまたしばらくエドさんは眠りにつくことになる。

    アルファポリスさんのところで童話のブログ小説のコンテストがあると聞き、「エドさん」で応募することを考える。とりあえず登録したところ、なんと紹介までしてもらった。本腰入れてやらねばいかん、と、自分を慣らすために再び書き始める。

    エドさん探偵物語:19 おもちゃの大戦争
     元ネタはミニチュアゲーム。ほんとうに人形の兵隊をつかって戦争を再現するゲームがあるのだ。
     兵隊たちに説教をするシーンは「天体戦士サンレッド」をイメージした。あのアニメは面白かったなあ。

    エドさん探偵物語:20 お願いだから
     相互リンクをしていただいている新進気鋭の漫画家である雨松先生の作品「ヒーローの娘」に触発されて描いた。
     あの漫画面白いので、早く単行本にならないかとじりじりしている。
     わたしのこの話では笑い話になってしまったが、雨松先生はまことにダイナミックな絵を描かれるかたである。ぜひご一読を。

    エドさん探偵物語:21 ぼくたち宇宙人
     堀江美都子さんの歌と、星新一先生のショートショートから。もしかしたら安倍公房先生も混じっているかもしれない。
     よく読み返してみたら、高橋留美子先生の「うる星やつら」の裏返しだということに気づいた。

    エドさん探偵物語:22 エドさんと人類絶滅の危機
     タイトルのもとが「スティーブ・マックイーンの絶対の危機」とは思えないほどシリアスな作品になってしまった。
     人間は、この「神界からの使者」の忠告をよく聞くべきだと思う。
     個人的には、小松左京先生の傑作ジュブナイルショートショート「宇宙人のしゅくだい」に対する回答のつもり。

    ここでまたひと月ほど休むことになる。いろいろと別口で書きたいことが溜まってきたので、その消化におわれたのだ。
    八月に入り、コンテストが始まったのを機に、勝手に「エドさん強化月間」と名付け、ひたすらエドさんを書くことにする。そうでなければいつまでたってもエドさんの続きが書けないだろうと思ったからだ。
    いわば、いしいひさいち先生の四コママンガのギャグに出てきた「書き出すきっかけとしてバケツをガンと叩く」みたいなもの。

    エドさん探偵物語:23 美人コンテスト事件
     モノポリーというボードゲームがある。そのカードの一枚からの連想。
     それに美しい女性が一堂に集まるというのは書いていて楽しい。
     ミステリにしてはやっぱり弱いだろうなあ。

    エドさん探偵物語:24 階段の声
     ネタが詰まってきたので、散策(というか徘徊)をしていて思いついたというのはほんとうである。
     最初はほのぼのファンタジーでいこうかと考えたが、新聞を読むと暗い想像しかできずにこんな反戦ものになってしまった。
     神経ガスがこんな効き方をするかは知らない。

    エドさん探偵物語:25 アリオとアリエット
     わたしの大好きなボードゲーム、「DIXIT」のカードの一枚に、山積みにされた金貨の上でアリ二匹が剣をふるって戦っている、という絵のものがある。
     印象深い絵だったので、それをふくらませて、「一進一退」というタイトルで書き始めたが、書き終えてから、「アリオとアリエット」に改題。
     悲劇じゃないのでロミオとジュリエットのファンに怒られるかと思ったが、気に入ってもらえたようで嬉しかった。

    エドさん探偵物語:26 影になった日
     ドラえもんの名作「かげがり」と、山根あおおに先生の「名たんていカゲマン」からヒントを得て。
     「影をなくした男」読みたいのだがどこで手に入るか……。

    エドさん探偵物語:27 催眠術師
     ここまで来ると、ほんとにもうネタがない。毎日脂汗を流していたのは、単に暑かったからだけではない。
     RPG「ウォーハンマー」の職業のひとつに、「催眠術師」があったなあ、ということを思い出して、なんとか話をひねり出した。
     掟破りにパソコンなんか出したりして、かなり苦し紛れの作品。

    エドさん探偵物語:28 映らずの湖
     生きているものをなにも映し出さない湖があったらなにが映るか、ということから想像を拡げた。
     最近の機械がごろごろ出てくる戦争だろうな、と思ったときには反戦ものになっていた。
     波紋で湖が映し出す絵を消す、という発想は……例の国民的人気漫画である。

    エドさん探偵物語:29 パズル
     アレクサンドロス大王の有名な逸話がもとになっているのはすぐに見当がつくだろう。
     もうひとつのアイデアのもとがアニメ「黄金戦士ゴールドライタン」の一エピソードだということはいわれてもわからんだろうなあ……。

    エドさん探偵物語:30 囚われの歌姫
     さあ皆さん一緒に歌いましょう。懐かしいなザ・ピーナッツ。
     ここでGPSなんか登場させてしまったことで舞台がさらに現代になってしまった。
     妖精国の女王様なんか登場させたことでそれらしく喋らせるのに悪戦苦闘。もっと貴人に会うための敬語の勉強をしておくんだった。

    エドさん探偵物語:31 住み慣れた我が家
     かたつむり型宇宙人のマイペースなしゃべりは書いていて楽しかった。
     ラストシーンは、「地球をリフォームしようか」というオチにしようかとも考えたが、それをやったら侵略ものになってしまうのでボツにした。

    エドさん探偵物語:32 ハーモニー
     この作品も、ネタに苦しんだ挙げ句無理やりひねり出した感が強い。
     大宇宙の奏でるメロディーと現世の音楽をシンクロさせるという発想は、中井紀夫先生の大傑作「山の上の交響楽」からヒントを得たものだが……ほかにもありそうな気がする。

    エドさん探偵物語:33 飛んだか薔薇か
     初めは、「飛ばされないためにイカリをかついで生活する男」というイメージだけだったが、それだけでは弱いので相方を考えた。
     考えているうちに、ストックトンの「女か虎か」を思い出し、リドル・ストーリーとしてもじったタイトルを決めることにした。その時間がいちばん楽しかったように思う。
     純然たるリドル・ストーリーは嫌われるかと思ったらけっこう喜んでくれて胸をなでおろした次第。

    エドさん探偵物語:34 飛びたい戦車
     エドさんのアンティーク収集になにか風変わりなものを加えたいという思いつきが最初。
     そういえばソ連がとんでもない戦車を出していたなあ、と思い出したとたんにオチまで決まってしまった。
     稲見一良先生の「ダック・コール」を読みたくなった、というのもあるが。

    エドさん探偵物語:35 画聖最後の名画
     だまし絵や類するトリックアート大好きである。その描写に凝りすぎると果てしなくなりそうだったので泣く泣く削る。
     絵のイメージとしては、ルーブルにある彫像「サモトラケのニケ」を頭に置いていたので作中で触れようとしたが、エドさんの世界でその名前を出したらぶちこわしになりそうなのでよした。

    エドさん探偵物語:36 カタログ
     某同人誌即売会のカタログの分厚さや、家に送られてくる、百貨店だの旅行会社だのの分厚いカタログ、それとドラえもんのエピソードから思いついた話。
     書いている途中は、「デスノート」の発想はなかった。こっちのカタログのほうが、お金を取るだけ「デスノート」よりひどいのかましなのかはよくわからない。

    エドさん探偵物語:37 孤独なスポーツ
     タイトルは忘れたが、川原泉先生の漫画に出てきた「釣りは孤独なスポーツなのさっ」というセリフから発想をふくらませた。
     ギョエールという名前がどこから出てきたかを指摘できる人はある意味尊敬する。断っておくが川原先生からではない。
     スポーツの内容については、芥川龍之介先生の童話「蜘蛛の糸」をアレンジ。まさか芥川先生もあれが人気スポーツとして描写されるとは思わなかったに違いない。 

    エドさん探偵物語:38 ある日の車窓
     いろいろと人生に悩んでいたので、「善人として天寿を迎えるときはどういう心持ちでいれば楽だろうか」という自問自答をそのままショートショートにした。
     死もしくは自死を礼賛しているものと誤読してしまったかたもおられたのではないかというのが心残り。
     結末はちょっとひねったが、それくらいしないとミステリの神様に怒られてしまう。

    エドさん探偵物語:39 肩書き
     ここらへんから毎日が「ちっとも働かない脳細胞」との戦いになる。
     テレビで見た「赤チン先生」の身分詐称が引き金になったのだろうか。この話を書いたときになにを考えたのかはあまりよく覚えていない。
     息切れしてきたのだろう。

    エドさん探偵物語:40 考える人
     「変な教授」は書いていて楽しい。ぼんやりとした教授をネタにしたジョークを「アブセント・マインデッド・プロフェッサー」というとか聞いたが、そういう笑える作品を書きたかった。
     ワインの選定だけで五枚使ったほうが面白かったかもしれない。下敷きにロアルド・ダールの「味」を使おうと思ったが、よく考えたらフランスのワイン生産地やそういったものについての知識が皆無であることに気づきこうなった。
     ソムリエが出てくるタイミングもよくわからん。そんな豪勢なレストランで食事したことなんてないもんな。

    エドさん探偵物語:41 語りの石
     元ネタはもちろん「きき耳ずきん」である。「持っていたらください」といわれたが、持っていたら毎日の更新でこんなに苦労することもないのに。
     誰か持っていたらかけらでいいからわけてください。
     この話あたりから最終回へ向けての加速が始まるはずであった。

    エドさん探偵物語:42 願い事の花
     この話にでてくる花も「持っていたらください」といわれてしまった。だからそんな花があったらこんな苦労もしないですんだのだが。
     三つの願いを五枚で書くのはつらいと思われたのでふたつにした。なんとか五枚におさまったが、ちょっと安易だったかもしれない。
     とりあえずロマンスを一歩進めたが、アイデアはもう枯渇しきっていた。残り八話が天竺より遠く思えた。

    エドさん探偵物語:43 悩めるキューピッド
     この回も頭を酷使した。目の悪いキューピッドというアイデアがひらめいたときには、「天啓というのはたしかにある」と思ったものである。
     やつらほんとに眼が悪いんじゃないのかなあ。わたしにもひとりくらい……とほほほ。
      
    エドさん探偵物語:44 砂時計出世道
     これを書いたときには、埴谷雄高先生の「死霊」を読んだときの、あの宇宙的に広がるような議論と、たまたまどこかで流れていた「一円玉の旅がらす」とがロートレアモンのように融合したらしい。
     書き上げてから、「永遠を刻む時計」の置いていったものが今後の伏線として役に立つことを思いついた。転んでもただでは起きない性格らしい。

    エドさん探偵物語:45 魔術師の目
     昔読んだヒョーツバーグの「堕ちる天使」の暗さと救いのなさが頭にあったことは否めない。悪魔を安易に出すのは星新一先生の固く戒めることであったが……。
     非常事態だったのであります。すみません。

    エドさん探偵物語:46 クリップ
     「ネタがない」ことをこれ以上雄弁に語る話もないと思う。作者本人がいうのもなんだが作中ワーストではないか。
     このクリップ、欲しいという人がけっこういたが、肌で感じ頭に刻み込んでこそ、思い出であり知識ではないかなあと考えるのだが……。

    エドさん探偵物語:47 とある気持ちのいい朝
     最終回と、やがてあるかもしれない続編シリーズへの伏線。それ以外のなんでもない話。
     タイムパトロールであるらしい男たちは、藤子F先生の「T・Pぼん」をモデルに……って、どこまで藤子先生好きなんだわたし。

    エドさん探偵物語:48 午後の恐怖劇
     笑い話のネタを思いつき、そのまま一気に書いた。
     動けない中、耳元で正体不明のやつに作中出てきたようなセリフを聞かされたら、さぞや怖いだろうと思うのだが……。読んでくれたかたはごきぶりのほうが怖かったらしい。なかなかうまくいかないもんである。
     最後の二話は「強化月間」のはじめからストーリーが決まっていたようなものだったので、肩の荷が下りた思いだった。

    エドさん探偵物語:49 決断の日
     エドさんにプロポーズさせる、そのためだけの話。だからよくある話になってしまったが、後悔はしていない。

    エドさん探偵物語:50 そしてまたどこかで
     前にも書いたが、最終回は結婚式で締めようと思っていた。エドさんに探偵をやめさせるという決心をしたのは、これ以上「探偵もの」でやっていても、同じような話が続くだけだと判断したからである。
     いちおう、タイトルだけではあるが、田舎の村で便利屋としてのエドさんが活躍する続編の構想はある。「エドさんと緑の村の家」というものだが、まだ構想段階で、どうなるかはわからない。
     また、エドさんを主役とした、長編(といっても二百五十枚)の作品を書いて、それで計五百枚、という構想も、友人に「百話書け」といわれたときにはあった。今もないわけではない。
     それも含めての「そしてまたどこかで」である。
     ではしばらくの間、エドさん、花嫁とのふたりきりの時間を過ごさせてあげようか。いつになるかわからないが、助けが必要になったら、呼ぶから……。

    追記

    番外編として、二編あるのを忘れるところだった。

    食客は黒い猫 
     10001ヒット記念に花木蘭さんに書いたささげもの。何も考えずに書いていたらちょうど原稿用紙五枚で終わった。はじめての経験である。
     エドさんが本を見ながら作った薬膳料理を食べてそのまずさに悶絶する黒猫二匹は花木蘭さんの実際の飼い猫である。
     一人暮らしが長いエドさんは、料理もそれなりにできるはずだから、これは薬膳料理の入門書が悪いのだろう。

    芸術はマントヒヒ
     TAMAさんがアルファポリスのコンテストで15位に入ったことに対するささげもの。
     栗色の髪の女性芸術家とエドさんが登場する。この話ではエドさんは完全な脇役。
     ふたりがどうして外国、それも日本の動物園に来ているのかは誰も知らない。おそらく新婚旅行かなにかだろう。


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    ~ Comment ~

    Re: 椿さん

    さすがに「トラウマ」はいいすぎだったけど、みんな「インパクト」だけは強烈だったようで……(^^;)

    絵を見て「すごい!」と思うか「怖い!」と思うかのどちらかでしょうね、子供の感想としては。

    わたしも40年近く前に一度図書館で読んだだけなのにいまだに覚えているんですから、やっぱり名作なんだろうなあ。(「怪作」のような気がしないでもないけど(笑))

    NoTitle

    どうでもいいですが、「ふきのとうの絵本」発掘しました。
    「ふきまんぶく」 田島征三/作 偕成社 1973年、現在も販売中! でした。

    「ふきのとうの中から女の子」というショッキングなワードで検索してみたら一発でした(笑)
    そして、やっぱり「コワイ」「不気味」という感想が圧倒的に多かったです(^_^;)
    みんなのトラウマ絵本?

    Re: 椿さん

    あまんきみこ先生にはほんとこれを書くうえで影響を受けました。

    「ふきのとう」の絵本、トラウマ(笑)になっている人多いんですねえ……(笑) 作者もタイトルも忘れたのに表紙絵とラストシーンだけは覚えているという(^^;)

    NoTitle

    50篇もの短編のアイディアを出すのは本当に大変だったと思います。しかもどれもクオリティ高いって、尊敬いたします。
    「車の色はそらの色」いいですよね(^o^) 学校の教科書に載っていた「白いぼうし」で出会いましたが、正編・続編を一所懸命読みました。あれも、「すずかけ通り三丁目」とか、ちょっと異色な話が入っている作品でしたね。

    「ふきのとう」の絵本……なんか、ものすごく強烈な絵で、最後にふきのとうの中から女の子の顔が出てくるヤツじゃないですか?
    私もそれ持ってました! 幼心に意味不明と思ったのを覚えています。しかし絵のパワーがハンパなくて忘れられない一冊……。
    今、検索したけどヒットしませんね。何てタイトルだったかなあ。
    あの絵は思い出せるけどタイトルや話は全く思い出せない(笑)

    Re: YUKAさん

    もしかしたらわたしがアルファポリスの賞をしくじったのは、この「暴露的裏話」のせいだろうか、と悪い予感が(^^;)

    品行方正に行くべきだったか(^^;)

    でも書いてしまいたくなるのは芸人魂というやつか(^^;)

    こんばんは♪

    あとがきも読ませて頂きましたが
    やっぱり、このエドさんシリーズには
    こんなに苦労の跡が~~^^

    毎日1篇読ませて頂いていたので
    1話でさえ、まだまだ記憶に新しい話なので
    この暴露的裏話は、かなり興味深くて楽しかったです。

    今更ですが、お疲れさまでした^^

    Re: 有村司さん

    ギョエールくん(正確にはギョギョ=ギョエール氏)は、成人向け漫画雑誌に連載されていた、一部でカルト的人気を誇るギャグ漫画家(今は完全に成人ものに移行してしまいましたが)の作品からいただいたものです。

    後藤寿庵先生なんていっても、普通知りませんよねえ……。

    一筆入魂五十回

    こんにちは!

    まさに「一筆入魂が五十回」なのですねえ…。
    各々のエピソードが、ご苦労が偲ばれて、実に興味深いです。
    ギョエール君はクトゥルーの深き者の名前からきてるんでしたっけ…?(不完全な記憶回路ですみません^^;)

    ところで「ささげもの」にエドさんが隠れているとのこと、是非探し出して拝読しようと思います。

    管理人のみ閲覧できます

    このコメントは管理人のみ閲覧できます

    Re: 面白半分さん

    黙ってりゃバレないのについ作品の秘密についてべらべらと(^^;)

    わたし犯罪者にはなれないなあ。少なくとも警察から逃げ切れる犯罪者には(^^;)

    NoTitle

    エドさん まだ全部拝見していないのですが
    作品改題とあわせて読ませていただきます。

    ”捨て身の攻撃”・・・効いてます

    Re: ミズマ。さん

    こうして書き出してみると、自分がいかに「換骨奪胎」しかしていないかということがわかってちょっぴりくらっときたり(^^;)

    これを読んでから本編を読み返すと、わたしの悪戦苦闘ぶりに笑ってしまうかもしれません。

    ある意味捨て身の攻撃(^^;)

    改めて、お疲れ様でした!
    各話の裏話が読めて、ポールさんの着想点の多さに恐れ入った次第です。
    やっぱり話を思い付くには本を読まないとだめだなぁ^^;


    ではこれから、裏話を踏まえてまたエドさんを1から読みなおしたいと思います!
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