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    「紅蓮の街(長編ファンタジー・完結)」
    紅蓮の街・外伝「彼らなりの詩(うた)」(掌編シリーズ・完結)

    紅蓮の街・外伝/二十二番目の男

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    二十二番目の男



     いつごろからだろう。

     おねえちゃんがきれいになったのは。

     すくなくとも、ぼくが三つのころは、やさしいけれどおこらせるとおっかなかった。

     ぼくより八つも年上なんだもの、ぼくがけんかでかなうわけがない。

     だけれど、おねえちゃんは、けんかよりも、はたらいたり、べんきょうしたりすることのほうが大じだとかんがえているようだった。

     そりゃそうだよね。

     頭は……よかったのかなあ。

     ぼくがいうのもなんだけど、人なみくらいじゃないのかな?

     どりょく家だったことはたしかだよ。

     きんじょに、元はみやこでこうていへいかにおつかえしていたということを自まんしているおじいさんがいて、そこでことばづかいやれいぎさほうをおそわっては、ぶつぶつくり返していたっけ。

     そんなおねえちゃんを、一ど、ぼくはひやかしたことがある。そのときは、いやというほどぶたれたなあ。

    「いつか、おねえちゃんは、ほうこうに出るのよ」

     ぼくは、はれあがった顔できいた。

    「ほうこうって、なに?」

    「すぐにわかるわ」

     そのとおり、すぐにわかった。

     ぼくがいつつのとき、おねえちゃんは小さなおやしきへ、三年のやくそくでほうこうに上がった。

     おねえちゃんと会えるのが三年してからだ、と聞いたとき、ぼくは泣いた。

     泣いたってどうにもならないけれど。

     それでも、三年はすぎて、おねえちゃんはかえってきた。

     ぼくは、一しゅん、その人がおねえちゃんだとはわからなかった。

     それほどまでに、きれいになってたんだ。

     いつのまにあんなにきれいになったんだろう。

     そして、もっとおどろくことがあった。

     おねえちゃんの作るりょうりは、ものすごくおいしくなっていたんだ。

     そこらで買ってきた野菜と、そこらで買ってきた魚で、こんなにおいしいりょうりができるなんて、ぼくにはかんがえることもできなかった。

     おねえちゃんはいった。

    「今度は、十年のねんきでおつかえすることになったのよ」

     十年だって!

    「十年も、どこにおつかえするんだい、おねえちゃん」

    「バルテノーズこうしゃく様のおうちよ」

     ぼくはとび上がるほどおどろいた。

    「こうしゃく様!」

     おねえちゃんは話してくれた。おねえちゃんのはたらきぶりにまんぞくした、おやしきのご主人が、しょうかいじょうを書いてくださったんだって。

     ぼくはただただ、びっくりすることしかできなかった。

     そしてまた日にちがすぎて、おねえちゃんはのりあい馬車にゆられていってしまった。

     こんどは十年だ。

     ぼくは、こっそりと、うらにわで、剣のれんしゅうをはじめた。

     ぼくも十年ごまでには一人まえの男になるんだ。

     そしてこうしゃく様におつかえしてはずかしくない男になるんだ。

     メアおねえちゃんにできたんだから、ぼくだって……。



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    ~ Comment ~

    Re: ぴゆうさん

    メアはあの火事を生き延びて、今はアクバの奥さんです(^^;)

    頭のいい子供もいます(^^;)

    むしろ問題はこちらの弟のほうで……あの冬を生き延びられたのかなあ。

    NoTitle

    メア。
    どうなったんだろう。
    火事でも生き延びてくれたのかな。
    弟のひらがなだらけの文に愛情がひしひしと伝わってくる。
    メアにも家族がいたのよねぇ。

    NoTitle

    メアだ!やっぱりメアだったー!なんかわからんけどうれしい。

    ビジュアル的にはどうしても自分で描いたイラストのイメージなので、そんな大人びた美人という感覚ではないのだけど、幼い弟から見たらこういうものなのでしょう。

    彼はその後どうなったのかな。義兄のアクバとどんな風に対面したのだろう。
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