FC2ブログ

    その他いろいろ

    ドラゴンズリーグ優勝にあたって・落合監督私感

     ←黄輪さん大長編小説読了記念短編・その2 →黄輪さん大長編小説読了記念短編・その3
     結論から書く。落合監督は、「監督」ではない。

     日本にプロ野球リーグができてから、われわれは、あまりにも、そのチームに「戦国大名家」のイメージを重ねすぎてきたのではないか。選手たちは「部将」であり、彼らを率いる総大将こそ「監督」だという。

     それはいいとしよう。しかし、われわれはあまりにも、「監督」を「戦国大名家の当主」のように思ってきた。そうでなければ、お家騒動だの、譜代だの外様だのという発想が出てくるはずがない。

     そのため、「監督」に求められているのは、まず第一に、そのチームを、「精神的なつながりのある、家族のような共同体」にする、ウェットなカリスマ性であった。それを代表する監督が、川上であり、長嶋であり、そして星野仙一である。巨人のユニフォームを着ていない川上を、長嶋を、想像できるだろうか? そして星野……星野についてはひとこといいたい。

     われわれドラゴンズファンは、星野を厳父のように思っていた。彼はウェットなカリスマ性を使いこなすことでは天才だったといえる。ドラゴンズファンで、星野の身体にドラゴンズブルーの血が流れていない、などということを想像するものはひとりもいなかったはずだ。

     だからこそ、彼がドラゴンズを去り、タイガースへ行ったことに対し、ファンの目には、それが許しがたい裏切り行為のように映ったのだ。「精神的なつながりのある共同体の長」が、共同体から離脱し、別の共同体で精神的なつながりを構築する、それが裏切りでなくてなんだというのだ。しかも、チームの戦績は、優勝はできないまでも、優勝を狙える位置に常につけていた、といえたのだから。

     王貞治が巨人を追われ、ホークスの監督になるまでとは話が違う。王を見限ったのは、少なくとも巨人にいられなくなるような空気を醸成したのは、ある意味、ファン自身であったといえよう。新聞は、いつまでたっても巨人を優勝させられないこの監督に対して辛辣な罵言を浴びせていたものだ。ある意味、だからホークスが王を迎え入れても、反発はそれほどではなかった。

     そして、今回、ドラゴンズを追われることが決定している落合監督であるが。わたしは、一抹の寂しさはあるものの、彼がドラゴンズを去ることを、さほど苦痛と思っていないのだ。もし、他のチームに移籍したとしても、それはそれとして許せる気がする。

     なぜか。それは、落合が、「チームの精神的なつながり」などは、あれば便利なものとして利用するにとどまり、積極的に構築しなかった、いや、あの完全試合達成を目前にしていた山井をマウンドから下ろし、抑えの岩瀬を投入した采配からもわかるとおり、選手にウェットな部分での忠誠心を求めなかったからである。落合が忠誠心を求めるとしたら、それは自分の、ドライで合理的な采配に対しての信頼感と忠誠心であり、それ以上のものではなかったのだ。

     落合は、「戦国大名家の家長」のような「監督」ではない。いうなれば「傭兵将軍」である。傭兵であるから、評価のすべては、自分とチームが最終的に勝利できるか否か、でしかない。勝利できなければ、ただ追われるのみである。追われても、次の雇い主を探すだけだ。もとからチームに対するウェットな忠誠心ではなく、「戦えば最後には必ず勝つ」実力だけを武器にしてこの世界で生きている以上、フロントに対しても、忠誠心などない。それは、ファンに対しても同じことなのだ。

     傭兵が、次々と雇い主を変えて行くことを、「変節」「裏切り」というものはいるまい。いるとすれば、よほどのものわかりの悪いやつであろう。落合はまた、どこかの球団に雇われるだろう。そこでウェットなつながりを求めるファンやフロントに嫌悪されながらも、勝ち続けて行くに違いない。

     何度も繰り返すが、彼は日本的、家長的な「監督」ではない。チームの人間を駒のように動かし、そして派手ではないが地道に勝ち星を積み重ねて行く、「チェスプレイヤー」である。その、情実を廃した徹底したドライさに、わたしはこれ以上なく魅かれるものを感じるのだ。

     本人もいっているではないか。自分は、「優勝請負人」だと。そして落合は、見事にその名を体現している野球人なのである。
    関連記事
    スポンサーサイト






    もくじ  3kaku_s_L.png 風渡涼一退魔行
    もくじ  3kaku_s_L.png 鋼鉄少女伝説
    総もくじ  3kaku_s_L.png ほら吹き大探偵の冒険(児童文学)
    総もくじ  3kaku_s_L.png 夢逐人(オリジナル長編小説)
    総もくじ  3kaku_s_L.png 残念な男(二次創作シリーズ)
    総もくじ  3kaku_s_L.png ショートショート
    総もくじ  3kaku_s_L.png 紅探偵事務所事件ファイル
    総もくじ  3kaku_s_L.png 銀河農耕伝説(リレー小説)
    もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
    もくじ  3kaku_s_L.png リンク先紹介
    もくじ  3kaku_s_L.png いただきもの
    もくじ  3kaku_s_L.png ささげもの
    もくじ  3kaku_s_L.png その他いろいろ
    もくじ  3kaku_s_L.png SF狂歌
    総もくじ  3kaku_s_L.png 剣と魔法の国の伝説
    もくじ  3kaku_s_L.png 映画の感想
    もくじ  3kaku_s_L.png 家(
    もくじ  3kaku_s_L.png 懇願
    もくじ  3kaku_s_L.png TRPG奮戦記
    もくじ  3kaku_s_L.png 焼肉屋ジョニィ
    もくじ  3kaku_s_L.png ご意見など
    もくじ  3kaku_s_L.png おすすめ小説
    【黄輪さん大長編小説読了記念短編・その2】へ  【黄輪さん大長編小説読了記念短編・その3】へ

    ~ Comment ~

    Re: ゆういちさん

    なにせ監督は、「ファンサービス」ということを知らないような人ですからねえ。成績を出せばファンはわかってついてくる、と考える人なんでしょうな。裏を返せば、「成績が出せなくなればファンは離れていく」という意識の人なのでしょう。

    例えるなら修羅の道の人ですね。でも監督のそういうところが好きなもので……。

    こんばんはー

     ヤクルトファンの私はトホホー

     中日が勝ったメリットは優勝セール……
     落合監督のおかげですが、何と言うか、やっぱり個人的評価はイマイチ。優秀な元選手で優秀な監督とは思うのですが……

     ちなみに、友達から昔、落合監督のサインを貰いました。押し入れの奥に眠っていますv-291 


    管理人のみ閲覧できます

    このコメントは管理人のみ閲覧できます

    Re: LandMさん

    そこをどう評価するかですね。

    あの人の合理的な采配には、しびれるものを感じますが
    (クリンナップが全員一割台とかいう状況でも大負けしないって、どんな魔術だよ(^^))、そこが嫌いという人もいて、人の好みはそれぞれだなあ、と思います。

    いわゆる落合監督は徹底した合理主義の人でしたからね。クロン風に言わせれば、ノーヒットノーランができるかもしれないというセンチメンタルな感傷に囚われずに勝利に拘り続けた象徴的な勝ち方でしたけどね。
    全ては勝負の中の勝利のために。・・・という名監督でしたね。

    Re: レバニラさん

    個人的な感想ですが、落合監督は名監督ですし、そのクビを切るフロントはバカだと思います。来年から、ドラゴンズはたぶん低迷します。よりファンがいなくなるのが目に見えます。

    とはいえ、落合監督を恨むとか、裏切者とかいう気にはなれないのです。別なチームに移って、大活躍してくれたらなあ、と思うばかりです。

    そこらへんが星野監督と違うところです。

    どうも、こんばんわです。
    野球ファンでもないのにコメントしてすみません(^^;)
    でも、落合監督って自分と同じ「秋田出身」という訳で自然と周りから「監督退任」に関する話も聞こえてくるんですよ、
    それこそ残念がる人から、退任を喜ぶ人まで様々ですが
    喜んでいるような人は「今度は楽天に来てほしいな~」という事を言っていたりしてます。

    なにしろ、それまで秋田って野球と非常に縁遠かった県でしたから(一年の内に2~3試合あるかないかという程)そんな地方を中心に試合をしてくれる球団に同郷の監督が采配をふるってくれれば嬉しい・・・という事と、
    もう一つ、単純に「万年下位に甘んじているチームを強くして欲しい」という思いもあるようで、
    自分も「ドラマ性にこだわってチームを負かすより、地味でも良いから楽天を勝てるチームにして“東北=格好悪い”みたいなイメージを払しょくして欲しい」と思う訳でして。

    ・・・ようするに、秋田人としては「落合カモン(楽天に)」ってな感じなんですが、
    他の五県の方々は嫌がるかもしれません。
    ・・・そもそも同郷というだけで優遇するような発想が格好悪いか(苦笑)

    Re: ぴゆうさん

    どうやら落合監督も、「一部に熱狂的なファンをもつが、ほとんどの人に嫌われる」ドラゴンズの人だったようで……(^^;)

    的を得ているんでないの、そのとおりだと思うなぁ。
    だけど好きじゃないなぁ~
    まるっとあの家族が・・
    趣味の悪い服。
    オーダーメイドだけに本人の趣味の悪さがバッチリ出てしまう。

    長島さんって服のセンスも良かった。
    なんて言ってみる。
    管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

    ~ Trackback ~

    卜ラックバックURL


    この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

    • 【黄輪さん大長編小説読了記念短編・その2】へ
    • 【黄輪さん大長編小説読了記念短編・その3】へ