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    「ショートショート」
    SF

    七分間

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     もはや、人類に残された時間は、あと「七分間」しかなかった。

     空に「至高の存在」が現れ、無情にもそう告げたのだ。

     「至高の存在」の言葉は、同時に全地球的スケールで、あらゆる言語を超越して、心にじかにメッセージとして刻まれた。

     時間はどんどん過ぎていき、残り時間はあと四分ほどになっていた。

     あるものは自殺した。

     あるものは、この時とばかりに銃を持ち出し、憎い相手を撃ち殺した。

     あるものは、店に駈け込むと、そこに陳列されている食品を片っ端から奪っては、がつがつとその場で食らい始めた。

     皆が皆、平静を失っていた。

     人々の憎悪は、「至高の存在」に向けられた。

     空に向けて銃を撃つものがあり、戦闘機が、隊伍も組まずに飛んだ。超大国は、七分間などと区切った「敵」に対してICBMを打ち上げた。

     しかし、七分間では無駄なことだった。

     「至高の存在」が現れてから四百二十秒はあっという間に過ぎ、人々は大混乱の中、おのれの「死」を覚悟した。

     期限が切られた、最後の一秒が過ぎた。

     人類の頭の中に、ファンファーレのようなものが流れた。

    「おめでとう! あなたたち人類は、『進化の階梯』を一段階上昇し、『超人類』になりました! 『人類』の歴史は、終わりです!」

     呆然とするだけの人々の中から、ある者が勇気を出して「至高の存在」に問いかけた。

    「それならば、なぜそうとおっしゃってくれなかったのです。そうしてくれれば、こんな大混乱も起きなかっただろうし、無数の死人やけが人も出ずに済んだはずなのに」

     「至高の存在」は、その問いに答えた。

    「面白い気晴らしになるからですよ。下層の存在が右往左往するのを見るのはね。そのくらいの楽しみがなければ、『至高の存在』なんて面倒で退屈で責任だけが重い仕事なんて、とてもやってはいられない」
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    ~ Comment ~

    Re: ダメ子さん

    「変態という名の紳士」というのは名言でしたねえ。

    またCSでやらないかな……。

    私もやってみたいかもw
    もしかして私には至高の存在の素質が?

    私は終末というとアニメにもなった
    ギャグ漫画日和の終末が…

    Re: YUKAさん

    至高の存在なんてそんなもんです(笑)

    こんなお気楽なセリフを吐かれたら。。。

    至高の存在自体の、その存在価値を疑う(笑)

    Re: 秋沙さん

    わたしが人格神だったら絶対これに類したことをやっていると思う(^^;)

    だからスピノザファンになったのかもしれません(^^;)

    個人的に新井素子先生の最高傑作は「……絶句」だと思います。吾妻ひでお先生イラスト版の本を買っておくんだった。いや現行版もあれはあれでいいですが(^^;)

    いわゆる「終末もの」とでも言うんでしょうか、
    私が思い出すのは、新井素子氏の「ひとめあなたに・・・」です。
    中学生の時に読んで、衝撃を受けたなぁ。

    山岸凉子氏の漫画にも、短編ですがやはり世界の終末を扱ったものがありまして、そちらはもっと何というか、あさましい人間の姿を捉えています。

    ・・・が。

    至高の存在の暇つぶし、的なお話は初めて見ましたわ(^^;
    ま、「命」をおもちゃのように扱う人が増えておりますものねぇ、至高の存在におもちゃにされたとしても文句は言えないのかも知れません。
    くわばらくわばら(^^;

    Re: limeさん

    実際はどうなるかは知りませんが、わたしだったらあわてふためいて醜くあさましい姿をさらすと思います。

    それか頭をかかえて丸くなって布団に埋もれているか。

    どっちかですね(^^)

    それで新人類になったご気分は?(笑)

    人騒がせなメッセージ・笑

    残された時間、あと○○時間。
    という設定の小説や映画、多いですね。
    いのちの期限が迫り、切羽詰まった時にこそ、人間の本性が出るってもんですよね。
    アルマゲドンもそんな映画だったかな?
    伊坂さんの終末のフール。これも、なんとも人間らしいドラマが展開されてました。

    しかし、実際にあと7分だったら、どうするかなあ~。
    犬でも抱いて、寝ちゃうかな・・・。

    Re: ぴゆうさん

    今の世の中から考えれば、星先生のそのショートショート(ちと記憶にありませんが、たしかに星先生らしい話だなあ)は、遺伝子のシャッフルの点でも、文化的接触の面でも、かなりの名案だと思います。もちろん、「女性が処分された」というのは宇宙人の真っ赤なウソで、女性は女性で、別な星で宇宙人の男性と楽しくやっていたらの話ですが。

    いわば宇宙的種族的夫婦交換というか。

    そんなことを考えてコメレスしてしまうイケナイわたしでありました。ブログ主みずから、この健全な(笑)ブログに……(^^;)

    星新一のショートショートだっなぁ。

    宇宙人がやってきて、パートナーを探しているという。
    女性が死に絶え、このままでは滅んでしまうので、女性が欲しいという。
    それはそれはハンサムな宇宙人が甘い声で言う。
    老若関係なく先を競って宇宙船に乗り込み、地球上に女性はいなくなった。
    その後、女ばかりの宇宙人がやって来た。
    さっきのは策略で、実は邪魔な女性たちを処分してきたらしい。
    男たちは大変喜んだ。
    めでたし、めでたし。

    地球人って騙されやすい種族なんだね。

    Re: 矢端想さん

    イヤすぎる「幼年期の終わり」を書こうと思いまして(笑)

    単なる「冗談」でしたか…。
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