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    「銀河農耕伝説(リレー小説)」
    細菌学部発酵学科編(完結)

    銀河農耕伝説(リレー小説)/第一回

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     とにかくとっかかりがないとどんな世界観でどんな内容なのかもよくわからんだろうから、とりあえず第一回として、基本設定と、事件の発端を書くことにしました。

     現在参加希望の勇者はふたりですが、あと何人か募集したいと思います。受験生を除く。

     三人でリレー小説っていうのも悲しいよ~(^^;)

     では以下どーん。



    ※ ※ ※ ※ ※




       1

     すでに地球時代の歴史など、はるか過去の神話時代のようになってしまった遠未来。

     宇宙各地に散らばった人類は、深刻な問題に直面していた。慢性的な肉体的飢餓と、精神的飢餓である。

     肉体的飢餓であるが、銀河系の八分の一にあたる星々が焦土と変わった大戦争は、汎生物連合側の主力であった人類の食糧生産工場の七割を破壊した。生き残りの工場がフル稼働しても、その作り出す合成蛋白と合成炭水化物、そして合成ビタミンおよびミネラル類は、生き残った人類の需要を満たすだけにしても、あまりにも非力すぎたのである。

     そして精神的飢餓とは、過去からの、半ば遺伝子に刻み込まれたかのような嗜好であった。その嗜好とは、肉、野菜、魚、それから各種発酵食品、酒などであった。これまでは各所の食糧生産工場で代替物が作られてはいたものの、戦争によりそれら食糧の味や風味に関する貴重なデータはことごとく破壊された。それにより、栄養学的には満足しうる状態にあったはずの富裕層にも、ストレスからくる精神疾患が多発するような事態になっていたのである。

     この、ゆゆしき問題に、新たな銀河系の秩序となったゆるやかな連邦制の政府、『銀河共同体』は、人類、いや、共同体を構成するすべての知的生命体のために、『銀河食糧機構(Galactic Food Organization、略称GFO)』を発足、その中枢となる研究機関として、『諸人類のための食糧および食糧生産研究星系(Planets of Food and Agriculture Reserch facilities for Mankinds、略称P-FARM)』を設立させた。

     それは野心的なものだった。地球型から灼熱の惑星から氷の惑星まで、さまざまな状況の惑星を取りそろえ、そのすべてをただ、耕作その他の食糧生産および研究に充てようというのである。そこは大学であり、農地であり、食糧集積所であり、なによりも最先端の研究機関であった。



     それから人類の暦で百年余りの時間が経過した。P-FARMの重要性は減ずることはなかったが、その活躍と、平和な時代の到来により、銀河共同体トータルでの食糧事情は『やや良』にまで回復していた。

     今や、飢餓寸前の食糧危機は過去のものとなり、P-FARMにやってこようという共同体市民は、よほどの物好きか、よほどの食いしん坊か、故郷の農家の跡取りくらいのものとなっていた。

     かくして今日も、のどかで平和でちょいとマヌケで、しかし工学、生化学などの最先端技術が惜しげもなく投入された、いささかマッドな日常が始まるのであった。



    「なんですか、このガム」

     P-FARM新米研究員のジローは、サンライズ教授がシャーレから取り出したその白い塊を見て首をひねった。横で、同期のメリッサも、ジローと同様、首をひねった。

    「いいから食ってみろ。びっくりするぞ」

    「びっくりするって……」

     ジローは塊からひとかけらをちぎり取って、しげしげと眺め、においをかいだ。

    「ジロー、こういうのは、さっさと食っちゃったほうが話が早いわよ」

     黒檀のような肌をしたメリッサは、ジローと同じようにかけらをちぎり取ると、口中に放り込んだ。やむなくジローも口に入れた。

    「どんな味がするかね?」

     ぼさぼさな白髪頭に、伝統主義者らしく白衣とモノクル(片メガネ)をトレードマークにしたサンライズ博士は、皺だらけの顔でにやりと笑った。

    「(クチャクチャ)……エビのような味がしますが……(クチャクチャ)なんだこりゃ。チーズ?……(クチャクチャ)……野菜のような味もするぞ……」

     メリッサが、目を見開いた。

    「エビとチーズのカナッペですね! 子供のころ、博物館で食べたことがあります」

    「ふっふっふっ。そうかな?」

     ジローは、なにをいっているんだ教授は、と思ったが、教授が並はずれた天才農学者であることも知っていた。

    「……(クチャクチャ)……カナッペなんて、食べたことないと思ってバカにしてるでしょ教授……(クチャクチャ)……え、えっ!」

    「どんな味がするかね?」

    「冷製スープ……どういうことですか?」

    「種明かしをするかね、ジロー研究員。これは、なんの変哲もないガムに、わしが開発したコウジカビを入れたものじゃ。とはいってもただのコウジカビではないぞ。惑星ペガーノで奇跡的に再発見された変種、味蕾にさまざまな刺激を与える、通称『カメレオンコウジカビ』をミューテーションさせたものじゃ」

    「つまり、これは……」

    「そうじゃ。わしは、ミューテーションにより、このコウジカビに、指向性を持って刺激を変化させるようにしたのじゃ。そろそろ、サラダの味がしてくるころではないかな」

     ジローはガムを噛んだ。

    「すごい……でも、この味はなんですか?」

    「ホワイトアスパラガスよ。ソースはオランデーズね。こんなものが再び味わえるなんて、夢みたい……」

    「とはいえ、まだ研究途上じゃからな。極秘にせんといかん。なにしろ、ナノマシンを使う数千分の一の資金で同じことができるんじゃから、どんな産業スパイが……」

    「教授」

    「なんじゃ」

    「ガムがありません。シャーレごと」



    ※ ※ ※ ※ ※



     貴重な研究品ごとシャーレがなくなった! いったいどういうことなのか! まさか研究員に不届き者がいるのか! はたまた光学迷彩服を着た産業スパイのしわざか! 謎は謎を呼び、風雲は急を告げるのであった! しかし話は、のんきにぼんやりと続くのであった!

     一回400字詰め4~6枚(1300~2400文字)を書いてくれる勇者、さらに求む。

     おねがい……。

     とりあえず次は、名乗り順で黄輪さんに託すものであります。
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    ~ Comment ~

    Re: 土屋マルさん

    要するに満腹中枢に作用して、それ以上の食欲を抑える薬でしょうね。前に、生物の授業だったか何かで、外科手術だったか薬物投与で満腹中枢を狂わされた猫のイラストを見たことがありますが、片一方は際限なく食べてどんどん肥満し、もう一方は餌を見せられても口をつけずにがりがりの骨と皮にやせ細ってしまった。

    怖かったであります。

    ちなみに、これと同じようなシステムで脳をだまし、疲れているのに疲れていないと思わせるのが、日本が誇る大発明品のアンフェタミン製剤、ヒロポン(商標名)、シャブ(隠語)、要するに覚醒剤です。

    この星系、P-FARMがどんな空気のところか知るには、マンガ「もやしもん」を読んでいただくのがいちばんかと。畑仕事なんか天地がひっくり返ってもいやだ、と思うわたしですら、一瞬、「哲学よりも農大に進んだほうがよかったかな」と思ってしまった作品ですので……(^^)

    向精神薬‥‥になる、のかな?
    片耳で聞いてたような感じだったので、私もそれほど詳しくはないんですが、確かにちょっと物議を醸す(色んな意味で)危ないお薬らしいです。
    おなかがいっぱいになった気になれる(あくまで気だけ)という効果なんだとか。

    すごいけど、怖いですよねえ(((( ;゚д゚)))アワワ
    サンライズ博士はその辺しっかりカバーして、調味料として精製して下さっているので安心ですね♪
    ていうか、私もこの研究所で働きたいですwww

    Re: 土屋マルさん

    脳をだまして……それって向精神薬じゃないですか(汗) 中毒したら危険です。

    うちのほうは、とりあえず、そうだな、寒天だとか食物繊維なんかを発酵させるから、便通は良くなるかな……(笑)

    今日はこっちにお邪魔しました^^;

    バリッとしたSF的始まり方で、こんなところに転ぶとはさすがポールさんwww
    私もこのガム、欲しいです~ダイエットの強力な味方です(☆∀☆)キラリン

    外国で活躍されておられるとある超天才日本人科学者(名前忘れたけど確かまだ三十代の男性の方orz)が、脳を騙して満腹にさせる物質の入ったダイエットカプセルを発明したとか、何かこないだテレビで見ました。
    あまりお安くなさそうな上に副作用も心配な新薬ですが、こっちなら‥‥!

    続きが楽しみです~。もう4話ほどまで進んでおられるのですよね?
    また来ます(*´∀`*)ノ

    Re: 秋沙さん

    数千年経たないと無理だな……(笑)。

    お馬鹿な話を書こうと始めたシリーズですので、超お馬鹿くらいでちょうどいいのです。

    SFってコワくないよ~。楽しい世界だよ~(^^)

    ポールさん、そのダイエットフーズ、ぜひ開発してくださいm(_ _)m

    ふむふむ、なんだかわかってきました。

    もう少し私に余裕があったら・・・参加してみたい気もしてきましたが、私が参加したら超お馬鹿な話になっちゃうだろうなぁ(^^;
    もうちょっと様子見しちゃお(^^)

    Re: 秋沙さん

    教授が、ガムを使ったのは、それがいちばんベースとして手軽だったからです。本来の使用法は、このコウジカビを、さまざまな合成食材の上で繁殖させることにより、味気なくてストレスが溜まりそうな長距離の宇宙船による旅や、漂流あるいは何かの災害で外部との連絡が遮断されたときなどの食料に楽しみをもたらす万能調味料にすることなのです。

    要するに、この細菌を繁殖させた乾パンを食べて水を飲むと、オードブルからスープからサラダからメインディッシュからデザートからコーヒーまで、フルコースが味わえる、というわけで。

    もちろん、乾パンみたいに栄養がある素材でなくて、たとえば寒天の上に繁殖させると、あたかもフルコースを食べながらも完全ノーカロリーで太らない食事を楽しむことができます。糖尿病患者などにぴったりです。

    これと同様のことは、味覚神経をナノマシンで刺激してもできますが、完全機械のナノマシンと違い、こっちは生物ですので、原価がバカみたいに安い、というわけで、わたしが産業スパイでも狙います(笑)。

    これがどういう騒動を巻き起こすか、今後の展開が楽しみであります。

    面白い(^^)

    壮大で小難しい(笑)始まりだった割に、なんだかのどかな光景ですね。
    これは続きが楽しみです。どうなっていくのやら。

    でもちょっと、エビの味がするガムは、イヤです(笑)

    Re: 綾瀬さん

    「はあ、あんたが、このP-FARM地球農学部考古農法科の新入生か。わしがここの主任教授の、タゴサク、ちゅうもんじゃ。ここでは、完全無農薬の、機械に頼らん伝統的な方法で野菜やら穀物やら、家畜やらを育てとる。合成食品なんかとは、比べ物にならんくらい、うまいぞ~。じゃあ、まんず、この畑に肥やしさまいてけろ。それが終わったら、この鎌でもって、隣の畑の、草刈りだあ。さぼったら、飯抜きだぞ~」

    いくらでも新人を募集しております(笑)

    Re: limeさん

    とりあえず、今回は、リレー小説の「感じ」をつかむためのものですから、わたし自身もドキドキしています。

    どう展開していくのか読めません(^^)

    一回の書く分量もそれほど多くないので、小説にはあまり慣れていないかたでも大丈夫かと。

    成功しますように……。

    >P-FARMにやってこようという共同体市民は、よほどの物好きか、よほどの食いしん坊か、

    はい、食いしん坊です。P-FARMで働いてみたい!

    このシリーズおもしろいです! 続きも楽しみにしています。わくわく。

    ふおお。
    じゃあ、物語は、この奪われたガムをめぐる構想になって行くわけでしょうか。
    お次の方が、どう創り上げていかれるのか、楽しみに待っていますね~^^

    Re: semicolon?さん

    わたしだって欲しいですこんなガム。

    宇宙を漂流中とかで食糧事情が厳しい中の調味料としては最適でしょう。

    しかし、まだ研究途上なので、どんな副作用というか致命的な欠点というか、そういったものが出てこないとも……(^^;)

    Re: 黄輪さん

    黄輪さんのブログで公開なさってくださるとありがたいです。

    コピペしてこちらのブログでも発表しますので。

    リレー小説なので拡散してくれればいいんですがねえ。

    あ、続きは「2」としてはじめていただければ幸いです。

    いちおう、最高「7」までで一段落させるつもりなので、もしかしたら手番が2回まわってくるかもしれません。

    漢字がいっぱいだ

    そして、続きはどちらへ?!

    こんなガム欲しい!!

    お任せあれ、ポールさん。

    完成したモノはどうしましょ?
    弊ブログで掲載しましょうか?
    それともメールで原稿を送った方がいいでしょうか?
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