「銀河農耕伝説(リレー小説)」
    細菌学部発酵学科編(完結)

    銀河農耕伝説(リレー小説)/第二回

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    第二回を、黄輪さんに書いていただきました。コメントを含め、すべて転載します。行間開けはどうしようか迷いましたが、原文のままにしたいと思います。

    では以下どうぞ!



    ※ ※ ※ ※ ※




    「クリスタルの断章」のポール・ブリッツさんから、リレー小説のバトンを受け取りました!
    第一回はこちら
    第二回を、僕が執筆させていただきました。
    と言うわけで、どーん。(c)

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

      2

     ジローの言葉に、サンライズ教授は笑い出した。
    「何をバカな、ちゃんとほれ、そこに……」
     ニヤニヤしながら机を指差した教授は、そこで硬直する。
    「……そこに、……あれ?」
     笑顔から一転、教授の顔は真っ青になる。
     ジローも、そしてメリッサも、同様に顔を青ざめさせた。
     その場の空気、そして彼らの体温の低下速度たるや、かつて極低温調理法を研究する際に一行が訪れた低温惑星、ゲレルでの日没時を思わせるほどだった。
    「ど、どっ、どこじゃ!? どこに!?」
     教授はがばっと床にはいつくばり、机の下やケージの裏、孵卵器と孵卵器の間など、老体とは思えない速さで点検し――そして唐突に、またも硬直する。
    「……ないっ!」
     教授の発した悲痛な叫びに、ジローはへたり込んでしまった。
    「そ、そんな……!? 一体、なぜ? どうして……?」
     世紀の大発明、夢の食品が失われたその衝撃で、教授もジローも、呆然とするしかなかった。
     そして恐らくは、メリッサも呆然としていたのだろうが――まだ彼女の方が若干、冷静になるのは早かった。
    「……な、内線! 緊急連絡!」
     メリッサは机に腰や腿をぶつけながらも、壁のコンソールに駆け寄り、警備に通報した。
    「すぐにこの区画の出入り口を封鎖して! 早く! 産業スパイよ!」
     最先端技術の粋を集めたこのP―FARMでは、警備網もそれなりに厳重かつ、精密に制御されたものとなっている。
     そのため、通報からわずか2秒後に、教授たちのいる研究モジュールは、他の区画との通行を遮断された。
     もしメリッサが叫んだように、産業スパイがいたとして、彼ないし彼女が何らかの方法でシャーレを盗み出し、逃走したとしても、閉鎖までは20秒とかかっていない。
     産業スパイがたとえ流体生物や超能力者のような存在であろうと、この区画に閉じ込められたことになる。

     しかし教授たちにとっても、大きな問題がもう一つ、発生した。
     あまりにも大慌てで閉鎖が要請されたために、警備側はうっかり、準最大級の警備システムを発動させてしまっていたのだ。
     これはバイオハザードなど、最悪の事態を想定して設定されたシステムであり、一度発動すると、最低30時間はその解除ができない、と言う厄介なものだった。
     そのため、スパイが本当にいたとしても、あと30時間は警備員たちが中に入れない。
    「『準』って、じゃあ、最大級だったらどうなってたんだ?」
    「決まってるでしょ? 区画ごと焼却、完全殺菌よ」
    「うわあ……。焼かれないだけマシかぁ」
    「どちらにせよ、30時間が経過するまでは、スパイと一緒に閉じ込められると言うわけか。うむむ……」
     教授もジローたちも、一様に頭を抱えるしかなかった。

     幸いにも食品の研究所だけあって、食料にも事欠かない。
     教授たちは研究室にこもり、封鎖が解除されるのを待つことにした。
    「とは言え、本当にあの時、スパイがいたんでしょうか?
     確かに僕たちはガムに気を取られてはいましたが、シャーレはすぐ側の机にあったわけですから、誰かが近付いていたら、気が付かないはずはない。
     でもあの時、僕たちの他には誰も室内にはいませんでしたし、扉が開けられたような気配も無かった。
     一体どうやって、盗めたと言うんでしょうか……?」
    「分からん。しかしどこを探しても、シャーレも、中のガムも、見つからんのじゃ。
     となれば、誰かが持って行ったとしか考えられんじゃろう?」
    「うーん……」
     と、そこでメリッサが、何かに気付いたような顔をした。
    「……あの、もしかしたら、なんですが」
    「なんだね、言ってみたまえ」
    「わたしたちがこの部屋に入ってから、今のこの時点まで、誰も出入りしてませんよね。ドアは一度も開いてませんから」
    「そうじゃな」
    「……え、ちょっと待ってよ、じゃあ」
     ジローはメリッサの言わんとすることを察し、身を震わせた。
    「出入りしてないってことは――まだ、この研究室にいるって言うのか?」
    「……かも知れない」
     メリッサは額に汗を浮かべながら、小さくうなずいた。


    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    とりあえず書いてみました。
    次回は矢端想さんになるのかな……?
    決定はポールさんに委ねます。よろしくお願いします。



    ※ ※ ※ ※ ※



    はい、バトンがまわってきましたよ~(^^) 矢端想さん、お願いします! 「3」を! いちおう原稿用紙4~6枚(1300~2400字)ってところで。
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    ~ Comment ~

    Re: limeさん

    いや~、楽しんでいただけてよかったです。リレー小説も赤江先生も(^^)

    赤江先生は、好きな人は大好きだが嫌いな人は大嫌いというタイプの作家の典型例だそうですので。

    でも、あれは小説だから成立しているんだろうな、とも思います。

    もしマンガとか映画だったら……作りたくなるのはわかるけれども、あの「魔力」は出ないんじゃないかと思います。

    で、「禽獣の門」がこれまた(^^)

    まあ内容はしゃべりますまい。傑作ですので。

    ああいうのは信者どうしで盛り上がったほうが面白い(笑)。

    あ!そうだ、用事があったのに、うっかり去るところでした。

    読みましたよ!!「獣林寺妖変」。
    ああ、もう、めちゃくちゃ面白かったです。
    魅了されました。
    なんて妖艶で美しくて、切ない世界。
    レビューを書こうかと思ったんですが、内容を全て話してしまいそうなので、あきらめました。
    短編のレビューは、難しいです。
    オチまで全部語って、きゃ~~ってはしゃいでしまいそうです。

    あのねえ、切ない!
    愛ですょ、愛、それなのに、なんて怪しくてオカルトチック。
    よく考えれば、ホラー要素も、超常現象も、何もないのに・・・。あの語り口でしょうか。描写でしょうか。

    それぞれのシーンが、すっごく鮮やかに、怪しげに蘇りますね。

    努の最後のシーン・・・壮絶だなあ~。やるか、やられるか、どっちだ・・・と思ったら・・・。
    しばらくは、余韻だけで楽しめそうです。

    すごい!
    こうやってリレー小説は出来て行くんですね。

    うう、面白い。
    そしてもう、3話も出来たと?

    すごい・・・。

    みなさん、頑張ってください!

    Re: 矢端想さん

    わかっていただけると思っておりました矢端想さん!!

    明日お邪魔させていただきます~(^^)

    第三回できましたぜい!
    今は出先なので(飲んでる!?)帰ったら拙ブログにてアップします。
    …ので、よろしくです。
    どうせ素人なんだから気負わず好き勝手に書けばいいんだよなww

    Re: 秋沙さん

    勇者はまだまだ募集中であります……。

    うーん、オールドタイプのSF好きは少数派なのかなあ。面白いんだけどなあSF。

    おもしろ~~~い!!

    とりあえず、盗んだものがいたとして、閉じ込めたんですよね!?
    30時間・・・・。

    矢端想さん、がんばってくださ~~い!!
    (↑完全に傍観者になっている私)

    Re: 矢端想さん

    そりゃ、書き上がるまでは待ちますし、どんな無茶振りをしても、できる限りの軌道修正はしますし。(なにしろこっちには、収拾不可能自体になったときまで見越しての必殺技発動装置を埋め込んでおいたからなわははは(^^;))

    マンガのネームを書く要領でやれば大丈夫です。ポイントは、人物の内心を可能な限り文章で説明『しない』で、マンガの『絵』なり『シーン』なりが読者にどう見えるかを文章で書くことですね。

    例えば、前にブログ記事に書いてあった、悪漢がインディアンの女族長を撃つシーンでは、

    『カーラは銃を獲物の額に当てた。
     銃声が響き、ワイルドローズは恨みを残した眼のまま死んだ。
     それが自由のために戦った強盗団の最期だった』

    だけでいいのであります。

    必要最低限のことだけ残して、後は切って切って切り捨てましょう。詰まったら、『気合い』です。

    破綻しそうになっても可能な限りフォローは入れますので、思い切り暴れてみてください。だいじゃぶだいじゃぶ(^^)

    あ、いちおう全7回の予定です。ですからこれが終わったら「6」の原稿も控えておりますので、順番が回ってきたらそちらもお願いしますね(はあと)

    (汗)(汗)(汗)(汗)(汗)

    …こっ、これは…大変なことになった…。

    考えたらオレ…小説なんて書いたことなかった!!(←ええっ!?)
    身の程知らずにも程度というものが。
    …いや、男に「逃げる」という選択肢はない!

    …とりあえず、時間ちょうだい。

    Re: 綾瀬さん

    今からでも勇者がいるなら参加可能でありますよ~。

    勇者募集中!!(ただし受験生は除く)

    おもしろい!!
    すいません、小学生なみのコメントで。

    でもおもしろいんですもの!
    ワクワクしてきました。続きどうなるんだろう。

    黄輪さんとこにも寄ってきます~
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