「ショートショート」
    ホラー

    同窓会

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     ひさしぶりに同窓会に出た。

     いや、しかしみんなよくも生きているものだ。中学のころとまるで変わらないやつもいれば、すっかり変わってしまったやつもいる。

     よく生きているといったらその最大のものは先生か。えーと、わたしたちのクラスが最後の教え子だったらしいから、もう八十を回っている計算になるのか。日本の医学は素晴らしいものだなあ。

     なにしろ、中学卒業以来二十年以上会っていないわけだから、共通の話題などあるわけがない。こんなときに便利なのが、便利といったら語弊があるが、この前の大震災と大津波だ。あのときどうしたのこうしたのとしゃべっていると、なんとなく「連帯感」のようなものができてくる。

     しかし、それで三時間持つかどうかといえば、そうもいかないもので、わたしはすっかり疲れきり、ビールにも飽きたので、仲居さんに持ってきてもらったハイボールを、気が抜けることも構わずちびちびやりながら、部屋の隅で足を投げ出し、ぼんやりとしていた。ここが和室のいいところだ。

    「ここ、いいですか?」

     誰かが隣に座った。顔を見たら、見覚えがある顔だった。誰だっけかな? 江藤? 田村? うーんと……まあいいや。

    「ドラゴンズはやりますかねえ」

     わたしは酔いの回った頭で話しかけた。

    「だめですね、落合だったからなんとか勝負になっていたようなものですからね」

    「ですよね。自分の右手を切り落としたも同然ですね」

    「親会社はアホですな」

    「同感です」

     わたしたちは笑った。けっこう話がはずむ。しかしこいつは誰だろう? 郡司……鈴木……岩井? どこかで見覚えがあるのだが……。

     怪談だったらここで、背筋も凍るような過去の因縁話が明らかになるところだが、別段そんなこともなかった。

     わたしはハイボールをおかわりし、この会の幹事をしていた当時の学級委員長の締めの言葉に拍手をし、旅館を出ると上機嫌で電車に乗った。

     空いていた席に座り、なんの気なしにわたしは窓の外に広がる夜景を見た。

     わたしの背筋が凍りついた。

     話もはずむはずだった。既視感を感じたさっきの相手の顔は、窓ガラスに映ったわたしの顔そのものだったのだ……。
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    ~ Comment ~

    Re: ダメ子さん

    それはご想像におまかせします。

    ふっふっふっ。
    • #8187 ポール・ブリッツ 
    • URL 
    • 2012.05/31 19:35 
    •  ▲EntryTop 

    ドッペルゲンガーに会うと死ぬんでしたっけ?
    この電車事故フラグ?

    Re: ぴゆうさん

    ホラーとしては破壊力に欠けるような気がしていたのですが、面白がっていただいてありがとうございます。



    ショートショート数ですが、200というのはノン・シリーズと「昔話シリーズ」と「ささげもの」に書いたノン・シリーズものをおおざっぱに合計したもので、実際はそれだけだと190篇に行くかどうかというところかな? とはいえ、「エドさん」と「範子文子」と「紅蓮の街外伝」と「ささげもの」の他のジャンルから設定その他をいただいたものを含めると掌編だけで400篇を超えていたり……。

    わたしもまあよくも飽きずに産卵したものであります(^^;)

    ブログを初めて三年、そのうちの一年以上をショートショート書きに捧げた勘定? 我ながら……ヒマですな(^^;)

    今日はここら辺で切り上げて風呂に入って読書モードに入ろうと思います(^^)

    こわーーー
    ドッペルゲンガーどころではないわ。
    なーーむ
    v-421
    新春から一気に盛り下がったぞ。

    嗚呼ーーーーー
    v-339200ショートショート!v-314
    達成おめでとうーーーーー

    素晴らしい。
    クオリティーも高いままに持続する。
    至難の業だよね。
    本当にお疲れ様です。
    あまり無理はしないようにね。

    いつもいつも拍手コメをありがとう。
    お休み中の過去記事にコメをするのを楽しみに通いますです。

    Re: limeさん

    スタニスワフ・レムの「ロボット物語」というユーモアSF短編集に、話し相手をしてくれる小型ロボットを自分の耳に移植したロボットが、無人島に島流しになってしまう話があります。そのロボットは自分の賢明さを喜び、小型ロボットに話しかけるのですが、問題がひとつありました。その小型ロボットは、冷静すぎて非常にイヤなやつだったのであります(笑)。

    読んでのた打ち回って笑った覚えがあります(^^)

    もう一人の自分に出会ったときどうするか、についていちばん深く掘り下げて、芸術作品の域にまで高めた作品が、藤子F先生の「ふたりぼっち」ではないかなあ。

    無人島にもう一人の自分? ただでさえ乏しい食料をさらにふたり分にわけねばならんというのですかッ!(^^;)

    自分じゃないと思ったから、話もはずんだんでしょうね。
    本当に自分だと分かってたら・・・ちょっと話をするのが嫌かも^^;

    無人島で、一人きりになったとして、「あなたをもう一人プレゼントします」って言われたら・・・どうします?
    悩むなぁ・・・
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