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    ささげもの

    ぴゆうさん復帰おめでとうプレゼント掌編!

     ←一生の宝物 →終わり
     ぴゆうさんがひと月ほどの休養から無事サイトに戻ってこられたお祝いのプレゼント!

     なにがプレゼントなのかは読めばわかる!

     以下どーん!



    ※ ※ ※ ※ ※




    粒傘村にて、ある晩のこと……



     粒傘村。

     猫族の麻布商人、麻吉は屋敷の庭をうろうろと歩き回っていた。夜も夜中、満月が中天に浮いていた。何度目になるかわからないが、駄目もとで離れの障子に手をかけ……産婆に大喝された。

    「ニャニしてるんだい! 男は入っちゃいかんのがわからんかボケ猫があ!」

    「でも……なんとかなりませんか。お輝は無事に子を……」

    「うるニャいっ! 今、お輝ちゃんはお前の子を産むためがんばってるんニャから! 用なんてニャいから、あっち行ってニャッ!」

    「ひいっ」

     ちょっとは知れたる商売人の麻吉だったが、産婆のお六婆さんの気迫には並々ならぬものがあった。圧倒されて、気がついてみれば屋敷の外。

    「ああ、怖わ。しかたニャい、奉公猫を起こすのもかわいそうだし、夜気に当たってくるか」

     くぐり戸を締めて行ったはいいものの、やっぱり女房は心配である。

    「男かな、女かな、こればっかりは神様の決めることだもんニャア。ああ、誰か話相手はいニャいかニャあ」

     ふつう考えてみれば、こんな夜中に話し相手などいるわけがない。しかし、そこはなんたる天の配剤か、話し相手はいたのである。それも同様の悩み事を抱えているニャン間であった。

    「おーい、そこにいるのは、麻吉の旦那ですかい?」

    「あっ、誰かと思えば升吉じゃないか」

    「旦那、当ててみやしょうか。おかみさんが産気づいて、家から追い出された。図星でやしょ」

    「……うっ。そ、そうだが……そういや、お前のとこでもそろそろとかいっていたな。ということは、まさかお前も?」

    「その通りで。産婆に叩き出されて……ここにいてもしかたないから、池にでも行って、頭を冷やして月でも見ようじゃありやせんか。いい月ですぜ」

     ほかにいい考えもない。麻吉と、この村で左官をやっている職猫の升吉は、池まで行って並んで月を見ることにした。

    「名月を ふたつくれろと 泣く子かな」

    「替え句ですかい。空の月と池の月の両方を欲しがる子の句たぁ、旦那もやりやすねえ」

    「わたしとしちゃ、泣く子のほうがほしいよ。無事に生まれてくれないかねえ」

     ふたりして空の月を見、池の月を見た。

    「旦那は、生まれ変わりとか、信じやすか?」

    「わからん、としかいいようがないよ。神様か五黄様くらいしか、知っているものはいないんじゃないかな?」

    「もしも生まれてくるんだったら、あっしは、手の器用な子がいいねえ。左官だからねえ」

    「わたしは、どんな時でも動じない、肚の据わった子がいいよ。でないと身代を任せられない」

     ふたりがそうつぶやいた時、空に真っ赤な流れ星が、ふたつ流れた。月の明かりよりも、それは明るく輝いていた。流れ星は、それぞれ、麻吉の屋敷と、升吉の家の方向へ飛んで行ったように見えた。

    「ニャんだっ!」

     ……と叫んだところではっと気がついてみると、麻吉は升吉と、池のほとりで仰向けになっていた。空はすでに白々としていた。朝の光がなんともまぶしかった。

    「おい、升吉、起きろ、起きニャいか!」

     揺り動かすと、升吉もゆっくりと目を開けた。

    「うーん……だ、旦ニャ、さっきの流れ星は?」

    「お前も見たか。とりあえず、急いで家へ帰ろう。ニャにかあったのかもしれないよ」

     升吉と別れた麻吉が家へ飛ぶように走って帰ると、すでに屋敷はにぎやかになっていた。

    「旦那様! どこへ行かれてたんですか。生まれました、生まれましたよっ! 元気な女の赤ニャんですよっ!」

     番頭に出迎えられ、急いで離れに駆けつけると、そこにはお輝の胸に抱かれて、薄茶色の毛に、首の周りにだけ真っ白な月の輪の浮かんだ子猫が泣いていた。

    「お輝……よくやった、よくやった!」

    「お前様……この子に、名前をおつけくださいませ」

    「名前……」

     見てみると、真っ白い月の輪が、襟のように見えた。

    「よし、この子は、襟だ。襟と呼ぼう」

    「えり……変わっているけれど、いい響き。お襟、いい子に育つんだよ」

     それと同じころ、升吉の家でも、真っ黒で艶のある毛並みを持つ、女の子猫が生まれていた。その子は、「波」と名付けられた。

     「お襟」と「お波」、同日同刻に生まれたふたりの猫娘は、固い絆で結ばれる親友同士になるのだが、それは今語ることではない。

     誰だ不吉だなどといっているのは。



    ※ ※ ※ ※ ※



     詳しいいきさつはここのコメント欄を参照のこと。

     幸せにしてくださると聞きましたので(^^)
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    ~ Comment ~

    Re: ぴゆうさん

    けち。v-411

    ダメだよ!
    お襟とお波はもうニャンコなんだから!
    けけ
    残念でしたぁーーーー
    こっちのもんだい!
    v-389

    Re: limeさん

    かわいい娘を嫁に出す気分です。幸せになれよ。

    まあそれでもエリカもナミも人間の姿のままうちのブログで行う無礼講飲み会パーティーには堂々と出席しますけど(笑)

    「お襟」と「お波」!

    数秒悩んで・・・「ああ!」と気付きました。
    瞬発力のない私をお許しください。

    だって、ぴゆうさんが帰って来たお祝いですもんねえ。
    こんな素敵なプレゼントができるポールさんが、羨ましいにゃん。

    猫国なら、「お襟」と「お波」も、幸せになりますねえ。
    妙な秋や冬がきても、五黄さまが追っ払ってくれますよ。

    管理人のみ閲覧できます

    このコメントは管理人のみ閲覧できます

    Re: ぴゆうさん

    生まれ変わらせるまではこっちの仕事ですが、コメントで幸せにしてやるとおおやけにおっしゃられた以上、猫国でのふたりはぴゆうさんにおまかせします。(^^)

    なにせ作者が唐変木なのでこっちで育てているとどういうふうに道をはみ出して魂沈めの憂き目にあうかわからん(^^;)

    ゲスト出演のチョイ役であろうとなんだろうと構いませんので、こうしてお預けした以上はぜひとも自分の子のひとりと思って育てていただけるとありがたく……。

    こりゃすげえや!
    猫国にちゃんと生まれ変わったんだねぇ~
    歓迎するぞよ。
    襟と波。
    できうるなら平凡に生きて欲しいものだね。
    恋して相惚れで結婚をする。
    そんな普通がさ、一番だもの。

    粒傘村のチョイスもいいねぇ。


    いつもありがとう。
    とても嬉しかったです。
    本当にブログに戻ってきた気もします。
    ポールには励ましてもらってばかりだよ。
    v-406
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