「ナイトメアハンター桐野(二次創作長編小説シリーズ)」
2 闇は千の目をもつ(完結)
闇は千の目をもつ 7-2
午前中ならいつでも空いていた。わたしは島田女史に必ず行くと返事をした。
「どこで待ち合わせしますか?」
『「ガーディアン」知ってる?』
知らなかった。
「喫茶店かなにかですか?」
『喫茶店よ。まるで名古屋みたいなモーニングを出すの。そこで九時にどう?』
かまいません、と答えて詳しい場所を聞き出した。百草園駅からちょっと入ったところだった。
名古屋みたいなモーニングというのがなんだかはわからなかったが、人との待ち合い場所に指定するからには、きっとうまいものに相違あるまい。まさか、八丁味噌を使ったトーストとかではないだろう。
わたしは確認のため復唱した。
『じゃ、桐野先生、明日ね』
「あ、すみません、島田さん」
『なあに?』
「『闇は千の目をもつ』という本についてお聞きになったことはありますか?」
『ないわね』
あっさりいわれた。
「ありませんか」
『その本がどうかしたの?』
「電話口ではなんですから、明日お話ししましょう。ちょっとばかりこみいった話なんですよ」
『わかりました。では、明日。久しぶりなので、楽しみにしてるわ』
「こちらもです」
電話を切った。
さてと。まだやらねばならないことが残っている。さっきの電話と違って、こちらはあまり乗り気がしないが。
昨日教えられた、山部刑事の電話番号を回した。
数秒の発信音の後、電話が取られた。
『山部です』
「昨日はどうも。桐野です」
『桐野さんですか。なにか、昨日の死体に関して思い出されたことでも?』
「わたしが思い出したわけではありません。しかし、今日わたしの診療所に来客がありまして」
『そのかたが知ってらしたんですか!』
守秘義務に抵触するかな、という考えがちらりと頭をよぎった。大丈夫だろう、警察に話すということはすでに高宮秋子に伝えてある。
「死体の名前は鈴木道徳。わたしのところに尋ねてきたのはその元の奥さんです」
『奥さんの名前は?』
「高宮秋子。住所は、そちらのほうが詳しいでしょう」
高宮秋子、と受話器の向こうで呟く声がした。メモでも取っているのだろう。
わたしは鈴木道徳について聞かされたことのあらましを話した。
「どこで待ち合わせしますか?」
『「ガーディアン」知ってる?』
知らなかった。
「喫茶店かなにかですか?」
『喫茶店よ。まるで名古屋みたいなモーニングを出すの。そこで九時にどう?』
かまいません、と答えて詳しい場所を聞き出した。百草園駅からちょっと入ったところだった。
名古屋みたいなモーニングというのがなんだかはわからなかったが、人との待ち合い場所に指定するからには、きっとうまいものに相違あるまい。まさか、八丁味噌を使ったトーストとかではないだろう。
わたしは確認のため復唱した。
『じゃ、桐野先生、明日ね』
「あ、すみません、島田さん」
『なあに?』
「『闇は千の目をもつ』という本についてお聞きになったことはありますか?」
『ないわね』
あっさりいわれた。
「ありませんか」
『その本がどうかしたの?』
「電話口ではなんですから、明日お話ししましょう。ちょっとばかりこみいった話なんですよ」
『わかりました。では、明日。久しぶりなので、楽しみにしてるわ』
「こちらもです」
電話を切った。
さてと。まだやらねばならないことが残っている。さっきの電話と違って、こちらはあまり乗り気がしないが。
昨日教えられた、山部刑事の電話番号を回した。
数秒の発信音の後、電話が取られた。
『山部です』
「昨日はどうも。桐野です」
『桐野さんですか。なにか、昨日の死体に関して思い出されたことでも?』
「わたしが思い出したわけではありません。しかし、今日わたしの診療所に来客がありまして」
『そのかたが知ってらしたんですか!』
守秘義務に抵触するかな、という考えがちらりと頭をよぎった。大丈夫だろう、警察に話すということはすでに高宮秋子に伝えてある。
「死体の名前は鈴木道徳。わたしのところに尋ねてきたのはその元の奥さんです」
『奥さんの名前は?』
「高宮秋子。住所は、そちらのほうが詳しいでしょう」
高宮秋子、と受話器の向こうで呟く声がした。メモでも取っているのだろう。
わたしは鈴木道徳について聞かされたことのあらましを話した。
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~ Comment ~
>うつさん
ありがとうございます。お褒めいただいて、とても自信がつきました。ブログ始めてよかったぁ~。
ちなみにわたしも自分の器量を信じて、今やっているこれとは別にライトノベルの長編書いて新人賞に応募したりもしていますが、一次選考にもひっかからないボツ続きだったりします(^^;)
世の中甘くありません(^^;)
ところで、前にそちらへのコメントという形でおうかがいした「ブロとも」の件はいかがでしょうか? こうしてお近づきになれたのもなにかの縁ですし……。
ありがとうございます。お褒めいただいて、とても自信がつきました。ブログ始めてよかったぁ~。
ちなみにわたしも自分の器量を信じて、今やっているこれとは別にライトノベルの長編書いて新人賞に応募したりもしていますが、一次選考にもひっかからないボツ続きだったりします(^^;)
世の中甘くありません(^^;)
ところで、前にそちらへのコメントという形でおうかがいした「ブロとも」の件はいかがでしょうか? こうしてお近づきになれたのもなにかの縁ですし……。
今回の作品を読ませてもらいました。
途中から読んでいても全体像が解かりやすいように
ストーリーの構成がしっかりしていて凄いです。
こういう書き方、表現方法はプライベートにおいても
小説を読む事が多く無ければ
器用には出来ないものです。
ポール・ブリッツさんは、もしかすると
商業誌で食べて行けるほどの非凡な
器量があるのではと、
わたしには非常に感じられます。
途中から読んでいても全体像が解かりやすいように
ストーリーの構成がしっかりしていて凄いです。
こういう書き方、表現方法はプライベートにおいても
小説を読む事が多く無ければ
器用には出来ないものです。
ポール・ブリッツさんは、もしかすると
商業誌で食べて行けるほどの非凡な
器量があるのではと、
わたしには非常に感じられます。
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今手続きしました(汗)。
すみませんでした(汗汗)。