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    名探偵・深見剛助(冗談謎解きミステリ掌編シリーズ)

    異常な動機・異常な殺人

     ←家族丼 →地獄の黙々録
    「犯人はあなたですね、鹿島重志郎さん」

     名探偵の指摘にも、その大富豪はいささかも動じなかった。

    「ほほう、このわたしが、どういう理由で三人の家族同然の人間の命を奪わなければならなかったというのです?」

    「そうですよ深見さん、鹿島氏には動機がない」

     赤塚刑事に、深見剛助は首を振って答えた。

    「動機はあるのです。それが、この事件のもっとも恐るべき点なのです。ぼくは、この一連の連続殺人を、当初思われていた場当たり的なものではなく、周到に準備され計画されたものではないかという視点から見直したとき、真相がつかめたのです」

     部屋にいるすべての人間は、深見剛助の言葉を固唾を飲んで聞いていた。

    「まず、第一の殺人。殺されたこの家の料理人、白木さんは、寝る前に文庫本を読むのが趣味でした。だが、彼の死により、文庫本は姪の英恵さんの手に渡ります。英恵さんはミステリに目がないからです。しかし、その本はミステリではなくSFでした。苛立った英恵さんは、その本を古本屋に売りに行くだろうことをあなたは読んでいた。そこに、ホームステイしているジョナサンさんをバイトに送り込んでいたからです。……(三十行略)……ここで阿呆陀羅経の詠唱に閉口した奥さんが、オッペケペをやることはあなたにはわかりきったことだった。なぜなら亡くなられた先代が、第二の川上音次郎とよばれるほどのオッペケペの歌い手だったからだ。それにより、居間のSPレコードが足りないことがおおやけになる。すると……(三十頁略)……カラスがカーと鳴く。そこで第二の殺人に意味が出てくる。なぜならそれは、カラスに食い破られないゴミ袋を開発していた被害者の弟さんに影響を与えざるを得なかったからだ。うー、はー、ぜえぜえ。続けます。これによりかねてからその弟さんに恋慕の情を抱いていた小間使いの瞳さんは、手持ちのゴキブリ取りを……(五十頁略)……このことにより、いいですか、鹿島氏にはプールの底を掃除する大義名分ができるのです! これが、事件の真の動機なのです!」

     しゃべりすぎか、顔を真っ赤にして深見剛助が動機の説明を終わると、大富豪はうなずいた。

    「そこまで解き明かしたのなら、方法もわかっているんだろうね」

    「もちろんです。まず、あなたは、樋にビー玉を転がした。ビー玉はシーソーにより……(二百五十頁略)……して白木さんの命を奪ったのだ!」

     制服警官の一人が小声で歌った。

    「ピタ○ラスイッチ♪」

     深見剛助はさらに犯人の行ったことをズバズバと暴き出して……(後略)

    新刊予定のお知らせ:「名探偵・深見剛助 北海道~ニュージーランド~リオデジャネイロ殺人ルート 上巻・問題編(文庫 200円) 下巻・解決編(四六判ハードカバー 上下二段組み 19800円)」発行日は未定です。


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    ~ Comment ~

    Re: 椿さん

    横溝正史先生の某名作にも、ピタゴラスイッチ的な作品はありますし、昔のミステリでは、針と糸とを複雑に配置してドアに鍵をかける、というのが大流行したそうです。

    ちなみにこの作品は、それらとは関係なく、昔のイギリスのマンガのネタから取りました。「タマネギをむくことで郵便物が受け取れる機械」とかピタゴラスイッチ的な変な発明品を専門に描いていた漫画家が、前世紀初頭に活躍しており、病床のウェルズはそのマンガで笑うことだけが唯一の楽しみだったそうです。

    NoTitle

    プール掃除をしビー玉を転がしたところから何がどうなって北海道からニュージーランドを経由しリオデジャネイロに到達する○タゴラスイッチになったのか気になりすぎて妄想が止まりません。

    何かもう大量投下し過ぎな気がしてきたので、続きはまた明日参上して書きこむことにいたします(^_^;) (←書く気満々)

    Re: ダメ子さん

    読み終えるまでに何年かかるんだろう(笑)

    こんなに長いと
    そろそろ終わりかな?そろそろ終わりかな?♪
    がずっと続きそうです

    Re: 面白半分さん

    それってどんな「大相撲ダイジェスト」(笑)

    まああの番組も過去のものとなってしまいましたが。南無。

    Re: 山西 左紀さん

    でも省略しなかったら、「黒死館殺人事件」よりも読みにくい作品だと思う(笑)

    オチで喜んでくださってありがとうございます。ちとわかりにくいかなとも思ったのですが。(^_^)

    ……(二百五十頁略)……は
    なんとか十行ぐらいでまとめていただき補遺で発表いただけませんかねえ

    こんばんは!

    省略しなければ長編ミステリーの名作になった気が……
    誰も読まないかも知れませんが……
    でも面白いです。
    オチも最高に良いです。

    Re: しのぶもじずりさん

    無駄に凝り性なのは、わたしの作中人物である、この『深見剛助』シリーズの作者でしょうねえ。

    『名探偵・深見剛助 最後の事件』のときには「どうしよう」なんて泣き言を洩らしていましたが、なにか吹っ切れたものがあったんですかねえ、彼……(笑)。

    ピタゴラスウィッチ好きです。
    どうやら動機もピタゴラスィッチ?
    鹿島重志郎氏は 無駄に凝り性なのね。

    Re: 和平明憲さん

    辞書のそれより薄い紙を使って辞書より重く作ってますから(笑)

    DVD-R版だと千円お安くなっております(笑)

    Re: レルバルさん

    AKBじゃありません。広辞苑みたいに厚いんです(笑)

    Re: 黄輪さん

    「しかたないでしょう、それだけ紙を使ってるんだから」(印刷会社・談)

    そういやあ「人狼城の恐怖」という新本格ミステリがあったなあ……図書館にでもない限り読む気がしないなあ(笑)

    トリック?!

    第1の殺人のトリックで二百五十頁費やすのであれば第2の殺人のトリックは何ページか考えただけでもおぞましい!(笑)

    下巻の文庫でも9800円程度かな?

    ではでは!

    下巻高い!
    どんだけ高いんですか!!

    ……まさか、AKB商法!?

    下巻が滅茶苦茶高いっ。
    なんというデアゴスティーニ。

    大富豪氏、そこまで微に入り細に入り解き明かされたら驚いたり焦ったりするよりもむしろ、感動してそうな気がしますね。
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