「ショートショート」
ユーモア
アンケート
Aさん
回答1:必要
コメント:「だって、どこかに施設は作らないと、廃棄物であふれちゃうんでしょう。だったら、作るしかないじゃない」
回答2:反対
「作るといっても、誘致まではやりすぎよ。どこか、ほかに候補地はないの?」
Bさん
回答1:必要
コメント:「とにかく、われわれにも生活がある。廃棄物の処理は焦眉の急だ。現代社会があのエネルギーを必要としている以上、廃棄物は当然負わねばならない重荷だろう」
回答2:反対
コメント:「とにかく、われわれにも生活がある。作るにしろ、大都市の周辺に作るのは避けるべきだ」
Cさん
回答1:必要
コメント:「この歳で、無事に暮らして行くには、あの力の恵みが必要じゃ。それを忘れて社会問題じゃなんじゃと……まったく、最近の若いのは恩知らずでいかん!」
回答2:反対
コメント:「この豊かな自然の中に、廃棄物処理施設を作るじゃと? けしからん! 自然というものをどう思っているんじゃ! わしは絶対、反対じゃ!」
「どいつもこいつも……」
担当責任者は、ランダムに抽出されたアンケート回答の山をひととおり読み終えると、苛立った口調でいった。
「必要だ必要だと、口じゃそういいながら、自分の近くに処理施設が来るのは絶対反対だと抜かしやがる。じゃ、おれにどうしろというんだ!」
「やっぱり、あれしかないですか、行政主導で……」
「ごり押しするしかないな。かねてから検討されていた、あそこはどうだ? 貧しい過疎地だから、補助金をつければなんとかまとまるだろう」
「あの第三惑星ですな。火と、知恵を補助する形でまとめに入ります」
「頼む」
担当責任者は、伸びをすると、ぶつぶつつぶやいた。
「何度も何度も、われわれが、パンドラ式災厄型廃棄物封印処理システムは安全だといっているのに、誰も信用しない。どこの誰が、開けてはいけない箱を開けるというんだ。さっぱりわからん」
しかしそういう担当責任者本神も、自分の周囲には絶対に処理施設を作ろうとはしなかったのであった。
その後いったいなにが起きたかは、皆のよく知るところである。
回答1:必要
コメント:「だって、どこかに施設は作らないと、廃棄物であふれちゃうんでしょう。だったら、作るしかないじゃない」
回答2:反対
「作るといっても、誘致まではやりすぎよ。どこか、ほかに候補地はないの?」
Bさん
回答1:必要
コメント:「とにかく、われわれにも生活がある。廃棄物の処理は焦眉の急だ。現代社会があのエネルギーを必要としている以上、廃棄物は当然負わねばならない重荷だろう」
回答2:反対
コメント:「とにかく、われわれにも生活がある。作るにしろ、大都市の周辺に作るのは避けるべきだ」
Cさん
回答1:必要
コメント:「この歳で、無事に暮らして行くには、あの力の恵みが必要じゃ。それを忘れて社会問題じゃなんじゃと……まったく、最近の若いのは恩知らずでいかん!」
回答2:反対
コメント:「この豊かな自然の中に、廃棄物処理施設を作るじゃと? けしからん! 自然というものをどう思っているんじゃ! わしは絶対、反対じゃ!」
「どいつもこいつも……」
担当責任者は、ランダムに抽出されたアンケート回答の山をひととおり読み終えると、苛立った口調でいった。
「必要だ必要だと、口じゃそういいながら、自分の近くに処理施設が来るのは絶対反対だと抜かしやがる。じゃ、おれにどうしろというんだ!」
「やっぱり、あれしかないですか、行政主導で……」
「ごり押しするしかないな。かねてから検討されていた、あそこはどうだ? 貧しい過疎地だから、補助金をつければなんとかまとまるだろう」
「あの第三惑星ですな。火と、知恵を補助する形でまとめに入ります」
「頼む」
担当責任者は、伸びをすると、ぶつぶつつぶやいた。
「何度も何度も、われわれが、パンドラ式災厄型廃棄物封印処理システムは安全だといっているのに、誰も信用しない。どこの誰が、開けてはいけない箱を開けるというんだ。さっぱりわからん」
しかしそういう担当責任者本神も、自分の周囲には絶対に処理施設を作ろうとはしなかったのであった。
その後いったいなにが起きたかは、皆のよく知るところである。
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~ Comment ~
Re: 黄輪さん
結局、20年以上前の広瀬隆「東京に原発を!」の議論からレベル的には一歩も進んでいないことがばれてしまいましたからね、去年の震災……。
一歩間違えば広範囲にわたってノーマンズランドみたいになり、地域住民は離散を強いられ、しかも満足な保証もない、という現実が国民の周知のこととなり、しかしそれなしでは社会が維持できない、という存在があった場合、その存在がなくても機能する社会を創るべきか、そんな困難な仕事は実際問題としては不可能だからやめにして国主導でどこかにババを引いてもらうか、その決断は非常に難しいのではと思います。
本来は、それを決断する仕事が、われわれ国民が選んだ「政治家」であるのが、議院内閣制というものなのですが……うむむむ。いかん書いていたらどんどん鬱になってきたとほほほ。
一歩間違えば広範囲にわたってノーマンズランドみたいになり、地域住民は離散を強いられ、しかも満足な保証もない、という現実が国民の周知のこととなり、しかしそれなしでは社会が維持できない、という存在があった場合、その存在がなくても機能する社会を創るべきか、そんな困難な仕事は実際問題としては不可能だからやめにして国主導でどこかにババを引いてもらうか、その決断は非常に難しいのではと思います。
本来は、それを決断する仕事が、われわれ国民が選んだ「政治家」であるのが、議院内閣制というものなのですが……うむむむ。いかん書いていたらどんどん鬱になってきたとほほほ。
原発しかり、産廃施設しかり、いわゆるNIMBY施設は必要とされこそすれ、決して近くに来てほしくないもんですからね。
自分にしても、「必要」「反対」と言うでしょうね。
ましてや各種災害・災厄を集める施設なんて……。
自分にしても、「必要」「反対」と言うでしょうね。
ましてや各種災害・災厄を集める施設なんて……。
Re: YUKAさん
というか、ある意味、人間の文明なんて……と思う気持ちがどこかにあるのでしょうねえ。
同時に、人間の文明は素晴らしい、とも思うわけで、そのアンビバレンツな思いが、こういうワンパターンな思考にうああああああっ(汗)
同時に、人間の文明は素晴らしい、とも思うわけで、そのアンビバレンツな思いが、こういうワンパターンな思考にうああああああっ(汗)
Re: 山西 左紀さん
わたしはネタに詰まると神様を出す癖があるのですが、どうして私の書く神様はこんなやつらばかりなんでしょうね(^^;)
もしかしたらわたし、グノーシス思想に染まっているのか?(笑)
もしかしたらわたし、グノーシス思想に染まっているのか?(笑)
こんばんは。
これは!面白いです!
パンドラの箱に掛かっているとは思いもしませんでした。
開けてはいけない…と言われれば、やはり開けてしまうんですよね。第三惑星のネイティブは……
パンドラの箱に掛かっているとは思いもしませんでした。
開けてはいけない…と言われれば、やはり開けてしまうんですよね。第三惑星のネイティブは……
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Re: 鍵コメさん