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    「弱肉雑食系(ラブコメ小説、不定期連載)」
    弱肉雑食系・カット2「よくあるタイプじゃない隣人たち」

    24コマめ・おお神よ、カレを救いたまえ

     ←23コマめ・死闘の末になにが見えたか →エドさんと緑の森の家・10月7日
     あのバックギャモンデスマッチの後、拭き取るのに実に苦労した耳の穴のべたべたも、ようやく気にならなくなったとある日。

     ぼくは、ほんとうにひさしぶりに、心から安らいだ気持ちの中で水墨画を描いていた。

     手元にある、『自己満足のために適当に描いて楽しむ水墨画』のページに書いてある一文も、ぼくの今の気分にぴったりだった。

    「事態というものは常に流動するものである。夜の闇に包まれない昼もなければ、朝日が昇らない夜もない。そう考えて、地球の呼吸に身を合わせ、自然のリズムで……」

     ドアのブザーが鳴った。

    「はい」

     新聞だろうか。ガスだろうか。電気はこの前払ったし……。

     いぶかしみながらもドアを開けると、そこにはカノジョが、スーツケースとともに立っていた。

    「なんだ、カノジョか。どうしたんだよ。旅行でもするのか」

    「……その」

    「その?」

    「バックギャモンで勝ち抜いたでしょう」

    「だから?」

     沈黙。その中で、ぼくはなにやら恐ろしいものを感じていた。

    「ま、まさか、ちょっと……」

    「賞品がかかっていたわよね、あの大会」

     カノジョは玄関に三つ指ついた。

    「同棲に来ました。今の家賃も、苦しいんでしょ?」

    「い、いや、そうだけど、こういうことって、もっと時間をかけて……」

    「アパート引き払って来ちゃった」

    「ち、ちょっと……」

     ぼくは半ば引きずり出されるかのようにマンションを出た。

     舘冴子の、迂遠にもほどがある陰謀を悟ったのはこのときだ。あいつは、事態がこういう結果になることを読み切った上で、あの「同棲」の噂を流したのに違いない。

     舘冴子のバイト先は、不動産屋だったのである。



    (弱肉雑食系/カット2「よくあるタイプじゃない隣人たち」 了)
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    ~ Comment ~

    Re: ミズマ。さん

    恋人関係などというものを経ずに、いつの間にか年季の入った夫婦同様の関係になってしまう作品に、「ラブやん」というギャグ漫画がありましたなあ……あの漫画、面白いから読んでいるけれど、オチはいったいどうなるんだろう。

    カレとカノジョについては、ハッピーエンドが待っている予定ですが、予定は未定と同じことで。まだヴィジョンが見えない(笑)

    カレにしてみれば、最初っから一番の頭痛のタネはカノジョなのでした、というオチでしたね。
    カレがカノジョを恋人にしてしまえば問題ないじゃん、リア充か! とか思いましたが、よくよく考えてみれば、このカノジョと付き合うのって(イロコイを挟まないお友達付き合いであっても)大変そうですよねぇ。
    思い込みが激しくて警戒心が人一倍強い肉食小動物。うーん、扱い辛そう。でもカレの対人スキルはあがる気はします。

    これからのカレの受難の日々に合掌w

    Re: ダメ子さん

    そうさせたいのはやまやまなんですが、このふたり、なかなかそうはならないんですよねえ。

    もっと野生へ帰れ、といいたくなりますな(笑)

    おめですw
    どうせ(同棲)なら結婚しちゃえば…
    げほげほ

    大学4年間部屋に誰も入れないのは普通だって
    聞いてたけど…

    Re: 矢端想さん

    大学時代、そういうことになったことは一度もなかったなあ、というより、一年目はわたしのアパートを訪れるものは男女含め誰ひとりとしていなかったなあ……淋しい生活。とほほ。

    Re: ヒロハルさん

    わたしだってハッピーエンドの物語くらい書きます(^^)

    だけどこれから先も彼らはおかしな人間たちに振り回されるのでした……って、次のカットの結末が見えん(^^;)

    Re: limeさん

    まあ少年サンデー風コメディ小説ですし(^^)

    次はカット3なのですが……結末が見えないうぬぬぬ。

    三つ指ついて「同棲に来ました」ってのがなんか可笑しい。
    いつの間にかペアのコップや歯ブラシを持ちこまれてて逃げられなくなってゆくってのはあるれど。あっ、それが「押しかけ女房」か・・・。

    ハッ、ハッピーエンドだ。笑。
    まんまと冴子に嵌められたか。

    でもちょっと羨ましい。

    そうか、彼女が救われた・・・で、完結ではなかったのですね。
    そうでした。鏑木くんの物語でした。
    でも、なんだかんだでこの二人、楽しくやっていけそうな感じですが。
    24コマ、完結おめでとうございます。

    関係ないですが、きのうお風呂でふっと、ショートショートが浮かびました。
    星新一っぽいやつ。
    でも、くだらないのか、面白いのか、まったくわからないので、湯船にしずめました。

    Re: YUKAさん

    別名を「押しかけ女房」ともいいます。(^_^)

    こうしてカット2も終わりましたが、3
    は、エンディングの絵がまだ見えてこないので、しばらくお待ちください。

    結末のビジョンが見えてこないと書き出せない男……というより、わたしはショートショートの方法論で長編を書いていたのか。(^_^;)

    おはようございます^^

    お疲れさまでした~~~

    幸運の女神はカノジョでした^^

    そして。

    あはは^^
    そうきましたか^^
    カレも嫌がってないし(笑)
    ハッピーエンドじゃないですか^^

    これで公認カップルですね^^
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