幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    断片202「砂を手に取り」

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     砂を手に取り、詩人はそれをまじまじと見た。

     砂はなにも語りはしなかった。

     ただ、手からするすると、こぼれて落ちるだけだった。

     照りつける太陽のもと、詩人は……詩人はわずか百万年にすら及ばぬ文明を思った。

    「こんなものの……ああこんなもののために!」

     砂はなにも語りはしなかった。こぼれて落ちるだけだった。

     詩人の傍らで、砂河鹿は無心に歌っていた。

    「やめろ……やめてくれ!」

     砂を放り出し、詩人は両手で耳をふさいだ。

    「文字も、歌も、もうたくさんだ! ぼくは、こんなもののために、なにもかもを犠牲にしたんじゃない!」

     しかし、詩人には、自分が言葉以外のなにかで考えることが不可能なのもわかっていた。

     上にはどこまでも広がる青い空があった。

     自分が突っ伏しているのは乾いた砂漠の大地だった。

     それ以外のなにものでもなかった!

     詩人は……。

     悲しいまでになにもできなかったのだった。

     風のひとつすら吹かない。雨の一滴すら降ることもない。

     涙すら枯れきり、そんな身体からも、太陽の光は容赦なく水分を奪っていく。

     詩人は指先で、砂に文字を書き始めた。

     誰になにを伝えよう、というわけでもなかった。ただ、このやりきれなさをなんとかしたい、その一念があるだけだった。

    「はじめに……」
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    ~ Comment ~

    Re: ぴゆうさん

    書き出しから「結論」は決まっていますが(ここで詩人が書いた内容もすでにこのとき決まっています)、その「結論」が受け入れてもらえるかどうかは……うーん、生き方そのものにも関わってくる問題ですからねえ。

    難しいところであります。

    異次元の文明の過去があり、
    私達が住まう現在があり、
    そして異次元の現在?

    大袈裟に言うならページを捲るごとに時代が変わる
    それが物語を書いていく醍醐味だよね。

    由美子の目を通し、
    この世界にどう関わるのか。

    詩人は刺青師なのかな?
    詩人の目を通しての世界。

    物語には始まりがあれば終りがある。
    始まりだけで終わりは尻窄みになってしまうのは頂けない。
    そんな物語とも云えない物が数多くある。
    私はポールの作品にそのつまらなさを感じたことが一度もない。

    一読者として最後が納得いかなかったとしても
    例えば、紅蓮の街のナミが華々しく散ったことに理由を探す。
    納得できようができまいが探してしまう。
    そして漸く物語を自身で終わりにできる。

    この物語はどうなのだろう
    楽しみだわ。

    Re: LandMさん

    楽しいですよ砂場で落書きするの。

    いまの詩人とっては苦痛以外のなにものでもないですが。

    いろいろとそこらへんは事情が……。

    砂に文字を書く。
    書きたいから書くのも一端なんでしょうけど。
    砂で文字を書くかあ・・・。
    私は書きたくないな。。。

    Re: limeさん

    重要すぎるほど重要なパーツです。

    でもどれだけ重要かを書くと、ネタが割れてしまう。

    詳しいことは後で書きますが、わかりにくいですね。すみません。

    まあ、わざとわかりにくく書いている側面もありますが。

    最後までたどり着けるかなわたし。

    むずかしいですねえ。
    今日のこの回も、全体の中の大切なパーツなのでしょうか。

    いつ全体像がみえてくろのか。今年中に見えるのか。
    そして、私の予感は、少しでもかすっているのか、全くハズレなのか。
    いろいろ気になります。
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