幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    断片214「ぼくがどんな誤解を」

     ←断片213「詩人は古の歌を聞いていた」 →断片215「少年は書物を読んだ」
    「ぼくがどんな誤解をしているというんです」

     詩人は隠者に詰め寄ろうとした。

    「待ちたまえ。きみは、なにをもって『神の言語』とするのかな?」

    「えっ……」

    「神は言葉を発するのか?」

    「発します」

     詩人はわけがわからないままに答えた。

    「発しなければ、神は人間を教え導くことはできません」

    「神は人間を教え導くものなのか?」

     隠者はさらに問いを返した。

    「教え導くものならば、いったい神はどこへ人間を連れて行こうというのか?」

    「それは……わかりません。すでに、神は骸をさらしているといわれています」

     隠者はほほえんだ。

    「神? 骸? やはりきみは誤解をしている。かつて繁栄を極めた幻想帝国の伝説に残り、詩に歌われた生ける皇宮スヴェル・ヴェルームは、神なのか?」

     詩人は天を見た。

    「神ではないかもしれません。しかし、神に最も近づいた存在であることは確かです。人間は皇宮を崇め、皇宮はそれに答えた。伝説はそう伝えています」

    「もうひとついこう」

     隠者は指を一本立てた。

    「神は人間に理解可能なものなのか?」
    関連記事
    スポンサーサイト



    もくじ  3kaku_s_L.png 鋼鉄少女伝説
    総もくじ  3kaku_s_L.png ほら吹き大探偵の冒険(児童文学)
    総もくじ  3kaku_s_L.png 夢逐人(オリジナル長編小説)
    総もくじ  3kaku_s_L.png 残念な男(二次創作シリーズ)
    総もくじ  3kaku_s_L.png ショートショート
    総もくじ  3kaku_s_L.png 紅探偵事務所事件ファイル
    総もくじ  3kaku_s_L.png 銀河農耕伝説(リレー小説)
    もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
    もくじ  3kaku_s_L.png リンク先紹介
    もくじ  3kaku_s_L.png いただきもの
    もくじ  3kaku_s_L.png ささげもの
    もくじ  3kaku_s_L.png その他いろいろ
    もくじ  3kaku_s_L.png SF狂歌
    総もくじ  3kaku_s_L.png 剣と魔法の国の伝説
    もくじ  3kaku_s_L.png 映画の感想
    もくじ  3kaku_s_L.png 家(
    もくじ  3kaku_s_L.png 懇願
    もくじ  3kaku_s_L.png TRPG奮戦記
    【断片213「詩人は古の歌を聞いていた」】へ  【断片215「少年は書物を読んだ」】へ

    ~ Comment ~

    Re: 矢端想さん

    トマスもいいけれど、師匠のアルベルトゥス・マグヌスのほうがドラマを書くには面白いかな、などと思ってしまう不謹慎(笑)

    えっ? ミ(以下削除)・・・もフタもない?(←もういいっての)

    トマス・アクィナスって初めて知ったのは「神曲」の中で天国でダンテが会ったくだりでして、伊語からの独自訳で「フラア(福者)・トムマーゾ」となってた印象が強いです。ダンテの時代にはまだ列聖されてなかったのですよね。

    Re: LandMさん

    聖トマスと比べられたら恥ずかしさのあまり小さくなってしまいますが、この小説が終わるまでには「神」とはなにかについてミもフタもない結論が出るはずですのでお待ちください。

    ほんとミもフタもないですから。

    所謂、トマス・アクィナスの神学理論みたいな感じですね。理性によっては演繹不可能な信仰の保持および神の存在を前提とする神学の入り口みたいな問答は読んでいて面白いですね。
    管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

    ~ Trackback ~

    卜ラックバックURL


    この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

    • 【断片213「詩人は古の歌を聞いていた」】へ
    • 【断片215「少年は書物を読んだ」】へ