幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    断片218「詩人には覚えることがたっぷりとあった」

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     詩人には覚えることがたっぷりとあった。詩を書くことのほかにもだ。

     はったりのきかせかたから始まる交渉の初歩、砂漠で長期間さまようことになったときに生き延びるための技術、食べられるものとそうでないものの見分けかた、星を見ておおまかな位置を測る方法。

     詩人は、どうやって自分がそれを吸収していったのかもよく覚えていなかった。優秀な頭脳は、聞く端からそれら技術を頭の中に貯め込んでいったし、古代の詩の中にはそれを助けるさまざまな教訓や箴言が詰まっていた。

     もしかしたら、と詩人は思わないでもなかった。

     もし、自分が『本読み』に見出されていなければ、もしかしたら一家を構える大商人になっていたかもしれないと。

     それが無意味な問いであることがわからないわけでもない。自分の体験できる世界はこの世界ひとつだけだし、そしてこの世界で自分は詩人なのだ。ほかの世界を考えることは、道理に合わなかった。

     それに、だいいち……。

     この世界と別な世界において、あの王妃様と王女様に出会う機会があっただろうか? そう考えただけで、詩人は激しく首を振り、その厄介な妄想を追い払うのだった。
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    ~ Comment ~

    Re: limeさん

    大丈夫です。その通りです。

    ですから安心してください(^^;)

    人をミスリーディングするようなことはしておりません。たぶん(^^;)

    今のところ、由美子の世界が最初で、その次が皇子アヴェル・ヴァールの時代で、最後が詩人のいる世界・・・だと予測するのですが。
    そもそも、時系列を考えることが無駄のような気もしてきました。
    とりあえず、可愛いので、本読み少年を注目しています。
    (まだまだ、謎だらけということで)
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