幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    断片020a「倒錯した心理」

     ←断片019「ルジェは、まさに」 →断片020b「皇子アヴェル・ヴァールは潜っていた」
    (欠落)



     倒錯した心理。ルジェにもその思考の一端はわかった。

    「彼らは生きるのに飽いているから生きているのですね、あのような形で」

     トリスメギストス師からの返事はなかったが、ルジェは自分の言葉が正しいことを悟っていた。ひたすらに動かず、消費するエネルギーを最低限にして、ひたすらに最上の美味……自分の肉を食する動物。栄光ある物理帝国の、能率と効率を最重視した国民の行く先は、この能率的な怠惰そのものだった。

     今になっては、あれほどまでに皇子たちが逆説を好んだのもわかるような気がする。皇子たちは、帝国の臣民がすべて、この「能率的な怠惰」という状況に陥らないように腐心してきたのだ。その洪水に対する堤防、それが生ける皇宮スヴェル・ヴェルームと皇子たちの使命であり仕事ではなかったのだろうか。

     能率に対する非能率、その中における人間の……。

     待て。

     人間はどこにいるのだ? 自分と同じ、新しい人類は?

     ルジェは四方を見回した。

     病院……あれが病院か。

     ルジェは遠くに見える建物へと、人をよけて歩き始めた。

     いったいそこで何を見ることになるのか、ルジェはまだ知らなかった。



    (欠落)
    関連記事
    スポンサーサイト



    もくじ  3kaku_s_L.png 鋼鉄少女伝説
    総もくじ  3kaku_s_L.png ほら吹き大探偵の冒険(児童文学)
    総もくじ  3kaku_s_L.png 夢逐人(オリジナル長編小説)
    総もくじ  3kaku_s_L.png 残念な男(二次創作シリーズ)
    総もくじ  3kaku_s_L.png ショートショート
    総もくじ  3kaku_s_L.png 紅探偵事務所事件ファイル
    総もくじ  3kaku_s_L.png 銀河農耕伝説(リレー小説)
    もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
    もくじ  3kaku_s_L.png リンク先紹介
    もくじ  3kaku_s_L.png いただきもの
    もくじ  3kaku_s_L.png ささげもの
    もくじ  3kaku_s_L.png その他いろいろ
    もくじ  3kaku_s_L.png SF狂歌
    総もくじ  3kaku_s_L.png 剣と魔法の国の伝説
    もくじ  3kaku_s_L.png 映画の感想
    もくじ  3kaku_s_L.png 家(
    もくじ  3kaku_s_L.png 懇願
    もくじ  3kaku_s_L.png TRPG奮戦記
    【断片019「ルジェは、まさに」】へ  【断片020b「皇子アヴェル・ヴァールは潜っていた」】へ

    ~ Comment ~

    Re: ぴゆうさん

    わたしは「生物の身体」のイメージで書きました。無駄のかたまりのようで、実は精緻の極みのようなシステム。惹かれるものがあります。

    ルジェの道も過酷なものなのですが、それは小説の続きを、ということで……。

    能率における非能率。
    この言葉で一番に考えたのは蟻
    働き者の代名詞のような彼女たち。
    どっこい、三分一はサボっているらしい。
    サボっていると見るのか、休憩をしていると見るのか。
    働き過ぎていれば効率が悪くなる。
    休憩が在るために働く意欲も湧く。
    そのことを理解した上でならば・・・
    本当、蟻って凄いよなぁ〜

    ルジェはどこに向かうのだろう。
    管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

    ~ Trackback ~

    卜ラックバックURL


    この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

    • 【断片019「ルジェは、まさに」】へ
    • 【断片020b「皇子アヴェル・ヴァールは潜っていた」】へ