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    「ショートショート」
    その他

    眼鏡を外して書いてみる

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     ひどい近眼である。どう見ても肉体的欠陥でありマイナスでしかないがが、今日はそれを逆用してみることにした。パソコンの前で眼鏡をかけないで、キーの感覚だけでショートショートを書いてみようというのである。

     完全に目をつぶってしまったら何も書けないが、こうして眼鏡をはずして書いてみたら、また違ったなにかが書けるのではないだろうか。

     というわけで書いてみた。思った通り、非常に書きにくい。ぼんやりと文字がぼやけ、なにを書いているかもよくわからない。ははは、これはこれで珍妙な経験である。

     だが、ショートショートを書くのは無理だ。書けて日記というところだろう。現に今日も、日記みたいなものになりそうだし。実験作ではあるが、とんだアイデア倒れになりそうだ。

     眼鏡をはずしてぼんやりとした中で書くのにも飽き、わたしは眼鏡をかけなおした。

     わたしは硬直した。

     そこに書かれていたのは、わたしが書いていたはずのエッセイではなかったのだ。

     地獄の底から響いてくるような、苦悶と悲嘆と絶叫!

     わたしは眼鏡を外すことにより、じかにこの世界を見てしまったのではないか、「物自体」を直接感知してしまったのではないか?

     世界の本質は苦悶と悲嘆で満ちているのか?

     驚愕しているわたしの前で、メフィストフェレスの手で黒板が消されるように、その苦痛の叫びはひとりでに消えて行った。

     かわりに残ったのは、わたしが書いていたつまらぬ日記だけだった。

     わたしは眼鏡を外してふたたびこの更新を頭から書きなおしたが、あの心をえぐるような苦悶の叫びは、二度とパソコンの画面に現れることはなかった。

     わたしはひとつのチャンスをみすみす潰してしまったのだった……。
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    ~ Comment ~

    Re: 小説と軽小説の人さん

    怪奇小説の巨匠レ・ファニュ先生には

    「緑茶を飲んで異存在と遭遇する」

    という話があります。

    怪奇小説の傑作選を作ると必ず挙げられる名作だそうですが、わたしの好みじゃなかったな(^_^;)

    自分もこういう話の拡大解釈をやろうと思っていました。
    うぬぬ。先を越されてしまいましたw

    僕も目が悪くなって画面を見る時はメガネが必需になってきました。
    ……ほほう。ならば、3Dメガネでも掛けて書いてみようかな(笑)
    • #9977 小説と軽小説の人 
    • URL 
    • 2013.02/22 00:06 
    •  ▲EntryTop 

    Re: 火消茶碗さん

    相互リンク受諾ありがとうございます。

    よろしくお願いします。

    えっと、ここに書いていいのか分かりませんが、
    リンク、こちらこそよろしくおねがいします。

    Re: ダメ子さん

    眼鏡をかけているかどうかは問題じゃないんだ。

    必要なのは愛だよ、愛っ!

    ……と叫ぶ「彼女いない歴=実年齢」の男。とほほ。

    私もネタが全く思い浮かばなくなって
    最終手段として眼鏡をはずそうw

    あっ普段かけてないように見えるのは
    眼鏡っ子が不人気だからです

    Re: レバニラさん

    ブルーベリーくらい食いたくなったら近くのスーパーでひと山いくらで買うわっ(笑)

    秋田のブルーベリーはうまいのですか?

    自分は普段メガネをかけないせいか逆にメガネをかけた後で見る、まるで眩暈のするかのような世界の方が恐ろしく感じます。

    でも、裸眼でも視力の良い人は絶望の世界の先に“希望”が見えているのだとか、
    だから子供の頃は、世界があんなにも輝いて見えたんですね。

    そんな、輝いた世界を取り戻す為にも、今日ご紹介したいのは健康食品大手の「え〇お」が作った
    「え〇おのブルーベリー」!!
    ブルーベリーが目に良い事は皆さんもご存じですが、この「え〇おのブルーベリー」は眼精疲労を予防するアントシアニンを普通のブルーベリーよりも10倍も含む、北欧産のビルベリーを使用した(以下略)

    Re: YUKAさん

    できたらやってます(^^;)

    カントの「物自体」という考え方は好きですね。考えるだけでぞくぞくと……わたしはどこかおかしいのかなあ(^^;)

    Re: ゆういちさん

    ダダイズムとかシュルレアリスムとかいう単語が頭に浮かびました。あのころの芸術家、ほんとやることが半端じゃなかったからなあ……。

    投稿がんばってくださいね~(^^)

    Re: LandMさん

    やってみたけどそれほど変わりもせず、ただ大変なだけだった(笑)

    次はどんなことをしようかな。もうネタが(^^;)

    こんばんは^^

    眼鏡を外して見えた「地獄の底から響いてくるような、苦悶と悲嘆と絶叫」

    それこそUPを!(笑)

    読んでみたいと思ってしまった^^

    私もやってみようかな^^
    ……なにも出なそうだな。
    むしろ苦悶と悲嘆と絶叫をあげそうです。

    お久しぶりです~

     お元気でしたか?
     私はそこそこ元気でした。

     視力はまだまだ周囲の人と比べて高いのですが、知覚過敏だったり飛蚊症で見にくいところがありますね。そういえば、私も人間の言語的固定観念を取っ払って文章を書くと言うような事を試みてみたことがあります。「ボロロドス」っていうタイトルだったんですが、内容は……(汗)

    わりかし、私が文章を書いているときは・・・いや、それはいいか。眼鏡をかけないとやはり視点が変わるのですかね。環境や気持ちの問題なのかもしれませんが。気持ちは書くときの重要な要素ですからね。

    なかなか訪問できずすいません。
    風邪を引きまして。。。
    現在進行形ですけど。
    またぼちぼち訪問します。

    Re: 矢端想さん

    太宰治のその短編は読んだことありません。

    同族嫌悪でもあるのか、太宰の作品、面白いんだけれどあまり読んでないんですよね。「人間失格」のインパクトがすごすぎたからなあ。

    「ファウスト」は面白いですよ。というか叙事詩ってたいてい、普通に筋を追って訳されたもののほうが波乱万丈でわくわくして面白いんですよね。妙に形にこだわったり韻を踏んだりした訳よりも。

    Re: 安田 勁さん

    いや、わたしの場合は目を細めて画面に近づければうすぼんやりとは見えるので、けっこう修正とかもできたし、本当の意味での「実験作」にはなってくれなかったであります。

    このオチは書いているうちに浮かんだものですが、思い返してみれば、高橋葉介先生のマンガに、このテーマをもっと先鋭的に取り扱ったものがあったことに気づいてちょっとへこみ中……(^^;)

    自動筆記って、具体的にどうやるのかはよくわからないのですが、聞くだけでも前衛的ですね。シュルレアリストが始めたんでしたっけ?

    「眼鏡をはずすとぼんやりして世界が美しく見える」ってのは太宰治の「女生徒」ですね。

    「ファウスト」・・・いつか読んでみたいと思っているのですが。岩波版で読んでみるかな。

    「地獄の底から響いてくるような、苦悶と悲嘆と絶叫」
    見たい…見て突き落とされたい!

    私も、自動筆記でもやってみようかな。
    誤字脱字の嵐になる予感…

    Re: 火消茶碗さん

    日常世界を色眼鏡で見ているくらいのオリジナリティが出ていればいいんですが(^_^;)

    ちなみにサングラスは日食を見るための紙製のあれしか持っていません(笑)。

    ゲーテの「ファウスト」は、むかし岩波文庫版を読みましたが、意外と読みやすくて面白かったですよ。でも黒板を消すのは手塚治虫先生の「ネオ・ファウスト」のイメージであります。

    メフィストフェレスをどれだけの人が知っているのか分かりませんが(かく言う私も水木しげる「悪魔くん」に登場する奴しか知りません)、世界五分前仮説を聞いた時のような困惑がいいです。
     
    ポール、ブリッツさんはサングラスをかけているのですね。ほら物事を色眼鏡で見る、って言うじゃありませんか。

    失礼しました。
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