幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    断片030a「情報処理能力はおそるべきものだった」

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    (欠落。スヴェル・ヴェルームの?)情報処理能力はおそるべきものだった。皇子アヴェル・ヴァールの身体をその内に取り込み、結晶楼閣にある基礎的な反エントロピー波動を参照しながら、猛烈な勢いで遥かなる過去を再構成していく。

     ルジェは、トリスメギストス師に頼み込んで、現実世界ではなく結晶楼閣のほうへ意識を持ってきていた。結晶楼閣では、皇子の見、聞き、体験したものを、まさに同じものとして体験できるよう、情報を時々刻々にわたって出力しているのだ。

     皇子の身体の情報は、いつもの皇子ではなくなっていた。

    「わたくしめが彫った蒼龍が消えている……?」

    「いや、ある。あの皇子の目を見たまえ。きみの蒼龍はあそこじゃ。スヴェル・ヴェルームが扱いやすいように圧縮されているのじゃな」

     ルジェはようやく、皇子の瞳の色が違うことに気がついた。

    「蒼い瞳ですか……やはり、殿下には似つかわしくありません」

    「似つかわしくないのはまだほんのさわりかもしれん。皇子の精神それ自体を接触させるには、いかにスヴェル・ヴェルームが情報媒体の塊だというても、能力的に問題がある。それほどまでに、反エントロピー波動を実行するのは至難事なのじゃよ」

    「どこの時代へ飛ぶのでしょう?」

    「わからん。すべては、皇子の印象に深く残った旧人の女の面影しだいじゃ。それをもとに、雑情報の中から世界ごと再構成するわけじゃから、かかる負荷も大きくなる」

     トリスメギストス師の言葉に心配そうにうなずいたルジェは、あっ、といった。

    「女の顔らしいものが……師よ! あれは、わたくしが師の記憶の中で見たものです!」

    「たしかに。あれは、わしが生まれ出でたときに見た……」

     その顔は、あの学者の下半身と同一化していたピンク色の肉塊に浮き出していた女の顔に間違いはなかった。

    「まさか、ルジェくん。もし、あの肉塊が、その母体となった旧人の遺伝情報をまだ持っていたのなら、皇子がスヴェル・ヴェルームの奥底で見たその旧人の顔というものは」

     ルジェはその顔から目をそらせなかった。

    「『続由美子』……影の国母、その人……?」

     トリスメギストス師は(欠落)
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    Re: ぴゆうさん

    本来の予定ではこの時空を越えたラブロマンスをもっと書き込むはずだったのですが……不本意なものになってしまいました(汗)

    長編はやはり難しいですね(汗汗)

    NoTitle

    ううーーー
    繋がったぁ〜
    うひゃひゃ
    嬉しいものだ。
    努力が報われるぅって、
    どんだけなんだ。
    へへ

    由美子にほんの少しでもラブがあったことで
    確かにその人生に意味があったような
    国母でない彼女の人生にね。
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