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    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    断片034「信じぬぞ……」

     ←断片033「跳ね起きた」 →断片035「淡々と語った」
    (欠落)



    「信じぬぞ……」

     皇子アヴェル・ヴァールは苦しげな声でいった。

    「我は信じぬ。かような世迷言……」

    「世迷言かどうかは、わが目を見て判じてくださりませ、殿下」

     ルジェは寛衣をまとった皇子にいった。

    「我は信じぬ……」

    「殿下。何度真実を申せば気が済むのでございますか。それもこれも、殿下が行った軽挙がもとでございます」

    「軽挙だと。我は」

    「軽挙でございます。殿下は、生ける皇宮の内部でちらりと見た旧人の女に心を奪われ、帝国の安寧も未来に対する責任もお忘れになり、いまだ研究の途上にある反エントロピー波動の知識をおのれの思うがままに使われた。その結果が、これでございます!」

     ルジェは叫んだ。

    「雑情報から情報を引き出す無理を行う反エントロピー波動は、生ける皇宮の力の一部だけでは使用するのに無理があった。そのため、各所にしわ寄せが来た。結果として、生ける皇宮スヴェル・ヴェルームは、その半身の機能を失った。失ったのでございます、殿下! 生ける皇宮が、無惨にも半身を骸と化してしまったのでございます! これが殿下の軽挙がもたらした、罪の第一にございます!」

    「第一と申したな」

     皇子アヴェル・ヴァールは疲れた声でいった。

    「第二、第三があるのなら臆せず申せ」

    「第二の罪。それは、帝国の安寧を維持するために、生ける皇宮スヴェル・ヴェルームの半身を切断することが、皇子たちの間で決まったときでございます。皇子たちは即断されましたが、その過程におきまして、少なからぬ数の皇子たちが情報に脳を焼かれてお亡くなりになられました。それも重大なる罪でございますが、それがもたらした結果は重大を遥かに超える罪でございます。皇宮の切断という大事に至り、蓄えられ、生成途上にあった情報が、あふれ出し、いわば逆流する形となって、結晶楼閣を飲み込んだのでございます。無限の情報の中に構築された情報の集積体とはいえ、人の作ったもの、人を超える存在である皇宮の、雑情報の洪水の前には無力でございました。防御機構も、構築そのものも、あれほどまでの雑情報の量と理解不能度の前にはひとたまりもなく、まるで砂糖菓子に湯を注ぐかのように、一気に崩れ去ってしまったのでございます。これが殿下の犯された第二の罪にございます。そして第三」

    「聞こう」

     皇子は目を閉じていた。

    「それは、殿下が、これだけの犠牲を周囲に強いながら、『統制官』の謎も『統制文字』の情報も、それらと『続由美子』のつながりも、一切突き止めることができなかったことにございます。殿下は旧人の女、それも情報の中にしかいない旧人の女と契られ、睦言を交わされなさった。記憶が奪われ、時間も限られていたというのであれば、それはそれでしかたもないこと。しかし、しかたがない、というだけでは、罪は免れませぬ。殿下。殿下は、この現況に、いかに責任をお取りなされるつもりでございますか」

     皇子アヴェル・ヴァールは、うつろな声で笑った。

    「ルジェ。お前は、帝国の法を知っておろうな」

    「はっ」

     ルジェは、深々と(欠落。ぬかづいた?)
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    ~ Comment ~

    Re: ぴゆうさん

    「シリーズ物全体」に一票、というのはダメです、と記事には明記したつもりだったんですが……(^^;)

    まあ今年の年末にはよろしくお願いします。



    この小説は……いろいろと思うところがあるんです。今にして考えれば、時期尚早だったかな、と反省しないでもないんですが、書けるときじゃないと書けないですからね、長編って……。

    NoTitle

    あけましておめでとうございます~ーす
    今年も宜しくお願いします。

    残念だのぉ
    シリーズはだめならそう書いてぇな
    頭来たーーーー
    でも感想を書いているのも楽しかった。

    端からわかっていたようなルジェ
    皇子の恋はかくも悲しい終わりとなるのか
    始まりながら終わっている。
    この作品を端的に表すのなら
    これしかない。
    はるか宇宙にある沢山の星雲
    其の中にはもうすでに無くなっているものも数あるとか
    見えているのに存在がない。
    虚しいものだ。
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