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    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    断片132「続由美子の反応は」

     ←断片131「続由美子もまた自失していた」 →断片133「中島准教授は」
     続由美子の反応は、警備に当たっている人間や、その場の職員たちにとっても予想外なもののようだった。外部に通ずるエレベーターさえ押さえておけば、後は観念して、余計なことはしないだろう、というのがその判断だったらしい。

     だが、続由美子は、中央へ、中央へと走っていた。どこにも逃げ場のない、中央の……一番高い階。

    「どこへ行くんだ!」

     中島准教授の声が聞こえた。答えるつもりなどなかった。

     続由美子は、小山のようなコンピュータを見下ろせる範囲で、いちばん高い地点にたどりついた。

     息を吸い込み、柵を乗り越える。ケーブルなどがつないであるせいで、コンピュータは半ばむき出しのようになっていた。

    「やめろ! なにを考えている!」

     この世でディアと巡り会えないのならば、あの文書のご託宣に従い、遠い未来にディアと、皇子アヴェル・ヴァールと巡り会うことにすべてを賭けて跳ぶまでだ。運がよければ、自分の身体のいくばくかは、コンピュータの情報媒体と同化して、情報を遥か彼方の未来まで残せるだろう。

     そう。もしかしたら、この顔のイメージだけでも……。

     狂気が続由美子を突き動かしていた。狂気のみが続由美子を突き動かしていた。

     続由美子は跳んだ……。

     叫びが、光が、風が、衝撃が交錯し、そして、なにもわからなくなった。
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    ~ Comment ~

    Re: ぴゆうさん

    愛をどこまで実体性のあるものととらえるかですよね。

    この小説では、人間同士の結びつきは極力メカニカルなものとして描きました。

    そのほうが、続由美子とアヴェル・ヴァールのロマンスが強烈になるか、と考えてのことですが……。

    メカニカルに描きすぎて人間のデュオニソス的な部分の発現としての国家である幻想帝国までメカニカルで無味乾燥なものになってしまったのが残念であります。本来は、メカニカルな物理帝国に対して、過剰なまでの生物性をもつ幻想帝国をアンチテーゼとして置くはずだったのですが……完成を急ぎすぎた。うむむ。

    NoTitle

    悲しいけどこうなるような
    わかっていたような気がする。
    これはバグなのだろうか
    そうではないよね。
    マトリックスで神と呼ばれる存在がネオをバグだと切り捨てた。
    でも本来の生物の姿は変わらぬものではなく進化していくもの。
    進化の過程で愛が生まれたとしたら
    ディアである皇子の行動も由美子の行動も頷ける。
    無味無臭な世界なんて有り得ないし
    そんな世界はつまらない。
    皇后のはじまりが愛なら
    幻想帝国にも意義があるような気がする。

    Re: limeさん

    続由美子の死については……まあそこのところの想いについてはいろいろあったというにとどめておきましょう。小説の開始時からいろいろと。

    「あとがき」で書かなければいけないことが増えるなあ……というよりぜんぜんまとまってないぞいいのかこれで。

    やっちゃいましたね、由美子。
    おとなしくモルモットでいるのは、腹立たしいですもんね。
    でも、情報だけがディアに届いても悲しいですね。
    そもそも、ディア、どこにいるんだろう・・・。
    本当に未来なのか・・・。
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