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    幻想帝国の崩壊(遠未来長編SF・完結)

    断片135「産業化には時間がかかる」

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     産業化には時間がかかる。

     続由美子の身体から摘出された癌細胞から、IPS細胞を爆発的に作り出すシステムが解明されたのが三十八年後。

     IPS細胞を移植しても新たな癌を引き起こさないようにするための免疫システムが解明されたのが五十五年後。

     それらが産業としてうまく軌道に乗るようになったのが七十一年後のことだった。

     IPS細胞生成システムの解明に使用された癌細胞が、「続由美子」という日本人のものだということが明らかになったのがそれからまたさらに時代を下ってからのことである。そのころには、産業にかかわる応用範囲の広さから、生化学業界にはなくてはならないものとなっていた。

     いつしか、続由美子という名前には、「国母」という敬称がつけられるようになっていた。



     それに比較すれば、「若き神」が人類の前に姿を現すまではかなり早かった。

     だいたいのものごとについては、「戦争」がからむと、人の目にあっという間に触れるようになるものだ。

     どこの国が勝ち、どこの国が負け、どこの国がどこの国の植民地になったか、あるいは人類の統合が進むことになったのかならなかったのかまでは、記録が残っていないのでよくわからない。
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    ~ Comment ~

    Re: ぴゆうさん

    たしかに続由美子は人身御供です。

    しかし、「自由意志」は存在するのか? 存在するとしたらどういう形を取るのか? 直面した時、われわれはそれを「自由意志」と認められるのか? という問いに答えるためには必要不可欠な存在でもあるのです。

    ぶっちゃけ、これは「ラブロマンス」でもあるのですから……。

    NoTitle

    今、読みなおしてきました。
    確かに由美子は知っていたのですね。
    だからと言って胸がスッとするわけでもなく
    モヤモヤします。
    最後がなんか
    人類の貢献と云えば聞こえはいいが
    人身御供のような後味の悪さ
    これから少しは気分良くなるのかな
              

    Re: ぴゆうさん

    断片129で、続由美子は医務室のコンピュータ端末で初期の子宮頸がんという自分の診断結果を読んで卒倒しています。自分ではけっこうショッキングなシーンが書けたぜ、などと思っていたのですが、印象に残らなかったみたいですみません(汗)

    NoTitle

    ふーむ
    物語の中で何故に由美子が癌にならなくてはならないのか
    健康体の細胞でいいじゃないかと思っていたけど
    現実にあるヘラ細胞がベースに考えられたとしたら
    納得もするが
    唯、彼女の場合は癌になったことで細胞を摘出されたわけだけど
    由美子の場合はどうなのか
    文中でいきなり中島准教授に癌だと指摘される。
    そして癌があるのかないのかわからない内に自殺している。
    どうなっているねん?

    Re: ぴゆうさん

    ヘラ細胞事件ですね。

    http://ja.wikipedia.org/wiki/HeLa%E7%B4%B0%E8%83%9E

    まあひどい話というかなんというか、ですが、この、培養されたがん細胞が患者の死後も生き続けている、いったい患者は、生きているのか、死んでいるのか? という問題は、妙にわたしのなかにこびりついて、いまだに離れてくれません。

    SFファンの業でしょうかねえ……(^^;)

    NoTitle

    IPS細胞で驚いていたら
    今ではSTAF細胞
    全く凄い。

    由美子の細胞が国母となってあらゆる研究の素になっているのか
    何で見たのかな
    やっぱりあらゆる研究の素になっている細胞
    この細胞に寄って莫大な利益を得ている製薬会社が
    細胞の持ち主である人に
    何もお金を支払ってないことで訴訟になるミタイナ
    そんなことを考えると現実的な話でもあるよね。
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