FC2ブログ

    私家版オールタイム・ベスト(映画)

    邦画ベスト5「ガメラ 大怪獣空中決戦」

     ←自炊日記・その15(2003年3月) →邦画ベスト6「ルパン三世 カリオストロの城」
     特撮の代表に、なぜ円谷が入らずにこれなのか、それを語りだすと長くなるのだが、ええいひとことでいってしまえ。この作品には、「特撮怪獣映画を撮れるという喜び」が満ち満ちているのである。それならば昭和の「ゴジラ」もそうであろうという声が聞こえそうだが、この「ガメラ 大怪獣空中決戦」には、「特撮怪獣映画を撮れるというこの千載一遇のチャンス」に、持てるアイデアをぶちこめるだけぶちこんでしまえ、という一種のヤケクソ感が感じられて好きなのである。ヤケクソではないな、祝祭。そう、祝祭という言葉がふさわしい。

     とにかく、ドラマパートからして最高である。登場人物がもう、端役まで生き生きしている。生物学者役のあの女優さんのかっこいいこと。学者としてのかっこよさでは、ゴジラの芹沢博士よりも上である。ガメラと意思を通じ合うことができる女子高生もすばらしい。もちろん、怪獣と戦う自衛隊の面々もすばらしいのひとことである。

     東宝自衛隊もそれなりにかっこよかったが、それに対してこの映画では、「徹底したリアリズム」という手段で東宝自衛隊のそれを超えた。なぜ自衛隊が単なるやられ役としてではなく徹底して怪獣と戦えるのか、それでいてなぜ怪獣が自衛隊の攻撃にも耐えられるのか、そこらへんの描写がきっちりとしているから、自衛隊と怪獣の攻防でもどきどきしながら見ることができる。そして怪獣のおっかなさときたらもう、円谷の「空の大怪獣ラドン」も十分怖かったが、それとは別のおっかなさがこの映画の怪獣にはある。

     おっかないだけではない。怪獣にも華がある。特にガメラ。ガメラがあんな具合にかっこよく空を飛ぶことがあるとは、いったい誰が信じただろうか。ガメラの火炎放射があんな具合にかっこよく、かつ効果的な破壊兵器として機能しようとは、いったい誰が信じただろうか。それだけでも、特技監督の腕とスタッフのアイデアには頭が下がるのである。

     ストーリーもいい。謎に満ちた序盤から始まって、あれよあれよという間に自体は地球人類の存亡を賭けるまでのスケールのそれになってしまうのである。ジェットコースタームービーというが、まさにそれである。そのような絶望的な状況に陥ろうとも、自衛隊はあきらめない。そしてガメラの再戦とともに、カタルシス極まる空中決戦へともつれ込む。その戦いぶりはまさにアイデアとやる気の宝庫である。聞いた話では壮絶なまでの低予算との戦いだったそうだが、それならば予算を湯水のように注ぎ込めた東宝の……いや。いうまい。

     ラストシーンが終わった後のエンドロールに流れる爆風スランプの歌が難といっては難だが(あそこは当然、「ガメラマーチ」でなければいけないはずだ!)、それさえもあの熾烈な戦いの記憶をよみがえらせてくれる。公平に見れば、いい曲だと思う。

     劇場でこの作品を見た後、わたしはガメラマーチを歌いながらふらふらと夜の街を徘徊したのであるが、それだけのパワーに満ちたすばらしい作品だった。「レギオン襲来」「邪神(イリス)覚醒」もすばらしい映画だから見るように。損はさせない。
    関連記事
    スポンサーサイト






    もくじ  3kaku_s_L.png 風渡涼一退魔行
    もくじ  3kaku_s_L.png 鋼鉄少女伝説
    総もくじ  3kaku_s_L.png ほら吹き大探偵の冒険(児童文学)
    総もくじ  3kaku_s_L.png 夢逐人(オリジナル長編小説)
    総もくじ  3kaku_s_L.png 残念な男(二次創作シリーズ)
    総もくじ  3kaku_s_L.png ショートショート
    総もくじ  3kaku_s_L.png 紅探偵事務所事件ファイル
    総もくじ  3kaku_s_L.png 銀河農耕伝説(リレー小説)
    もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
    もくじ  3kaku_s_L.png リンク先紹介
    もくじ  3kaku_s_L.png いただきもの
    もくじ  3kaku_s_L.png ささげもの
    もくじ  3kaku_s_L.png その他いろいろ
    もくじ  3kaku_s_L.png SF狂歌
    総もくじ  3kaku_s_L.png 剣と魔法の国の伝説
    もくじ  3kaku_s_L.png 映画の感想
    もくじ  3kaku_s_L.png 家(
    もくじ  3kaku_s_L.png 懇願
    もくじ  3kaku_s_L.png TRPG奮戦記
    もくじ  3kaku_s_L.png 焼肉屋ジョニィ
    もくじ  3kaku_s_L.png ご意見など
    もくじ  3kaku_s_L.png おすすめ小説
    【自炊日記・その15(2003年3月)】へ  【邦画ベスト6「ルパン三世 カリオストロの城」】へ

    ~ Comment ~

    Re: LandMさん

    時代がというよりは、注目されるためにはもうなんでもできることをやらなければ、という危機感の方が強いのではと思います。なにせ東宝のゴジラと比べればはるかに微々たる予算でやっていたわけですから、乾坤一擲の勝負に賭けないと次回を作れるかどうかさえわからない。徹底したサービス精神はそこに由来するものだと思います。

    わたしも後がないから、その気持ちがよくわかるというか……むむむ。

    映画の停滞の理由に知恵を凝らすことが減ったというのがあるんでしょうね。今では金があれば、良い画像でいくらでもできますからね。そういうことをしないとなかなか売れないですけどね。そういった意味ではこの時期の特撮はアイデアに満ち溢れていたというわけでしょうね。

    Re: 安田 勁さん

    レギオンもいいですよね。最高の戦争映画です(違)

    イリスでもカッコいい自衛隊が見られるかと期待していたのですが……(´・ω・`)

    水曜どうでしょうは見ていないのでなんともいえません。

    あと記事には書きませんでしたが、わたし昭和ガメラも好きです。

    個人的にレギオンがインパクトあったなぁ(主にソルジャーレギオンのせいで)
    でも、どれもいい作品だったと思います。

    あと、水曜どうでしょうのせいでガメラのBGM聴くとニヤニヤしてしまいます。
    悔しい。

    Re: 矢端想さん

    わたしは逆ですねえ。「インパクト」のせいもあるでしょうが、一位「大怪獣空中決戦」二位「レギオン襲来」三位「イリス覚醒」なんですよ。というより、平成ガメラ三部作は、公開順に見るべきです。そうでないと、話のどんなところが肝なのかがよくわからない。

    「イリス」における「私はガメラを許さない」というキーワードにしろ、ガメラと自衛隊がギャオスやレギオンとどれほどの死闘を重ねてきたのかを感じていなければいまいちその重さがわからないのではと思います。

    また、ラストシーンのあのギャオスの大群は、「大怪獣空中決戦」抜きでは悲壮感がいまいち伝わらないのではないでしょうか。

    すぐにでもビデオ屋に走ることを強くおすすめします。今となってはCGがかなり荒いのですが、そんなの熱気と愛情でカバーだ!

    これは観てませんのですが、社内の友達がDVD貸してくれた3の「イリス覚醒」だけ観ました。彼の邦画ベストがこの「イリス」で、二位が「レギオン」三位が「大怪獣空中決戦」なのだそうです。前職がシステムエンジニアで頭も良い男なのですが、どっか嗜好が偏ってると思わざるを得ない・・・。
    平成ガメラはあくまで「パニック映画」としての怪獣映画なのですね。「イリス」での渋谷地下の天井が崩落してくる阿鼻叫喚の恐ろしさ。ハチ公口を火に包み109ビルをブチ壊し、後半では東寺の日本最大の五重の塔をあっさり燃やし、当時できたばっかりの京都駅舎内で暴れる、という関東人も関西人も愉しめるサービス精神(商業精神?)が良かったです。
    でも、ドラマ部分はなんだかな~感。奈良から京都に来るのにわざわざJR?普通近鉄だろ!などとツッコミも入れてしまいました。
    でもレビューを読んで一作目はみておかないといけないのかな~と思いました。

    「爆風」は昔流行ったけど、音楽的にはあんまり評価していないので・・・。

    ・・・強いぞガメラ!
    管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

    ~ Trackback ~

    卜ラックバックURL


    この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

    • 【自炊日記・その15(2003年3月)】へ
    • 【邦画ベスト6「ルパン三世 カリオストロの城」】へ