私家版オールタイム・ベスト(映画)

    邦画ベスト6「ルパン三世 カリオストロの城」

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     ひたすらに面白い映画を作るというのが困難なことはよく承知している。「ただ面白いだけ」の映画を作るのが簡単だったらこんな楽なことはないのである。もし、「ただ面白いだけ」という映画があったら、わたしなら小難しい映画よりもそっちを見ることにする。

     宮崎駿のこの作品について、わたしが書かなくてもみんな一家言持っていると思うので、共通認識の理解にとどめたい。

    「この映画以上に『ただ単に面白い』映画を作るのは、普通の人間には無理である」

    「普通じゃない人間にも無理である」

    「だから作れる人間が率先して作るべきである」

     思うのだが、今の日本に必要なのは、こうした「ただ単に面白いだけ」の映画やテレビ作品、ゲームなどを作る才能じゃないのだろうか。優秀なクリエイターほど、「面白くてためになる」作品を作ろうという方向に走り、その結果、面白くもなければためにもならず、変な人間ドラマがいやな後味として残る、という結果に終わっているような気がする。そしてそれは、これを撮った監督の宮崎駿自身にも当てはまってしまうのがなによりもつらいところなのである。

     芸術性などどうだっていいから、宮崎駿にわたしが望むのは、ブタがティーガーで戦争する映画であり、ブタが多砲塔超重戦車「悪役一号」で破壊の限りを尽くす映画であり、ブタが四号戦車で家路に急ぐ映画なのである。痛快娯楽作品というのはそういうものじゃないのか、おい。

     おそらく、宮崎駿はナウシカとトトロで自分を見失ってしまったのではないかと思う。エンターテナーとしての才能よりも芸術家としての才能のほうが高く評価され金にもなることがわかり、それがあの迷走ぶりを生んでいるのではないだろうか。もう、迷走としかいいようがないではないか。わたしの見る気もしないような映画ばかり撮る以上、わたしが迷走と評してなにが悪い。

     まあ、そりゃまあたしかに、わたしも自分の道とは違う別な方面で才能が評価されて金にもなれば、自分の道に見切りをつけてそっちのほうへ行くけども、世の中にはそういう道を歩んではいけない人間がいるのではないかと思う。

     死ぬ前にもう一度見たいものだ。テーマ性だとか芸術性だとか抜きの、宮崎駿の純粋な痛快娯楽作品。メカと美少女と破壊の嵐。そちらのほうがよほど、現代の硬直した映画産業業界に風穴を開けてやれるのでは、とわたしにはそう思えてならない。

     アカデミー賞など剥奪されてもいいから、オットー・カリウス一代記を映画化してほしいものである。もちろん、ブタで。そうしたら、わたしは絶対見に行くんだけどなあ。声はプロの声優を起用して、予算を惜しみなくつぎ込んで……親会社もそれくらいの根性見せんかい。

     日本映画界に対するぼやきになってしまった。うむむ。
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    ~ Comment ~

    Re: 宵乃さん

    >他の監督作品

    「ゲド戦記」? (゚o゚☆\(^^;)


    まあ冗談はおいといて、後期宮崎監督の悲劇は、子供を楽しませる映像作品を撮ることに天才的な腕を持つ監督が、「ヒネた映画マニア青年」向けの作品を量産しなければならなかったことではないかと思います。富野監督の場合は完全に「ウケればいい」と割り切っているのでしょうが、宮崎監督の場合は、芸術作品として完成させなければ、という思いが強すぎるのではないかと思うのであります。

    NoTitle

    宮崎監督作品で好きなのは、これと「ラピュタ」くらいですね。
    世界設定だけなら「ナウシカ」や「千と千尋」も好きです。メーヴェに乗ってみたいし、腐海の下に行ってみたいし、龍の背中に乗ってみたい!
    TVアニメなら「コナン」と「ハイジ」も大好き、というか映画よりこちらが好きなくらいです。

    「ルパン三世」は大好きなんですが、クラリスの聖女っぷりが近寄りがたい印象を受けてしまいました。
    おばはんの嫉妬です(笑)

    割と最近のジブリ作品では「猫の恩返し」が大好きなので、正直、他の監督の時の方が期待してしまいます。
    長編は「風立ちぬ」で最後らしいし、残念ですね~。

    Re: ゆういちさん

    納谷吾朗氏のご逝去は残念の極みですが、お年を考えるとしかたもないですね。こればかりは……。

    宮崎駿監督には痛快無比なアクションものを期待してしまいますね、どうしても。だから人間ドラマをやられると、ううん、となってしまいます。とらえかたの違いでしょうか。

    こんばんはー


     そういえば、カリオストロの最後で名言を言った銭形警部の声優さんが無くなりましたね。渋くて良い声だっただけに、残念です……山ちゃんも結構上手いのだけどやっぱり……


     ちなみに私が好きな宮崎駿さんの映画は、

     「耳をすませば」>「魔女の宅急便」>「ポニョ」

     ですv-291
     

    Re: limeさん

    とはいえ、「ただ単に面白いだけの映画」って、作るのが難しいんですよねえ……「スター・ウォーズ エピソード4」と、「レイダース」くらいじゃないかな、パッと思いつくのは。

    探せばいろいろあるでしょうが、その手の映画って、「見た端から忘れる」ようにシステム上できていますからねえ。

    また見たくなってきたな、「マジンガーZ対暗黒大将軍」(笑)。どこか近所にレンタルないかな(笑)

    たしかに、宮崎駿先生、どうしちゃったのかな・・・と、思っていまいます。
    このあいだの「借りぐらしのアリエッティ」は、おもいきりガッカリしてしまいました。好きだっただけに、悲しかったです。
    『ただ単に面白い』映画、作品が見たい。
    これは、本当に賛成です。ドラマ、漫画、アニメ、小説だって言えることですが、なにかためになることを盛り込もうとする作品が最近多く、う~ん?と思ってしまうのです。
    私がなんとなく「もののけひめ」が好きになれないのは、そのせいかな?

    ぐっと胸を掴むのは、もっとそんなものをとっぱらった、突き抜けたものだと思うんです(って、自分でもうまく表現できないけど)

    カリオストロの城、何度でも見たくなるのは、名作故ですね。

    Re: blackoutさん

    カネというのはいいすぎでしたが、スタジオジブリ自体が超高度職人集団になってしまい、維持自体に「カネがなくてはどうしようもない」「食わせていくために責任を取らなくてはならない」という状況になってしまったのが大きいのではと思います。

    「野心的で先進的」な作品を撮る体制は整いましたが、エンターテインメントを撮る環境としては、ううん、というところではないでしょうか。それが監督の迷走につながっているのではと思います。

    Re: 山西 左紀さん

    「紅の豚」くらいまででしょうね、メカと少女とアクションを思い切り撮れたのは。その後はどうしても「ファンタジーを撮ってくれ」という圧力に負けてしまったのだと思います。

    アカデミーを穫ってしまった今となっては、どこか実験的で「野心的」な作品しか撮らせてもらえなくなってしまったのではないでしょうか。

    記事にも書いた通り、そんな賞は返上してもいいですから、「ブタがティーガーで戦争するアニメ」をわたしは待っています。監督、隠し財産で最後に見せてくれないかなあ。

    blackout

    やっぱり、結局はカネなんですかねぇ

    個人的には、カネに執着しなくてもカネを稼げる人たちが、カネになることしか追い求めない姿は醜いと思いますね

    とはいえ、カネがないと生きていけないのもまた事実…

    たぶん、日本の映画産業にも構造の問題があるんでは?
    って気がします

    Re: 矢端想さん

    「マジンガーZ対暗黒大将軍」の痛快無比さを知らないわけではないし、「空飛ぶゆうれい船」のSFとしての先見性も知っていますが、日本のアニメを総合的に見た場合いちばん痛快なのはこの作品でしょう。ひさしぶりに「複製人間」と見比べて痛感しました。

    ギャグからアクションからキャラクターから、完璧な作品です。監督本人としては原作の縛りから非常に不本意だったそうですが、それだけ縛りがあってこれだけ面白い作品が撮れたのならもって瞑すべきでしょう。

    「ナウシカ」も嫌いな作品ではないですが、そのヒットでカネが必要以上に流れ込んできたのが、日本のアニメ界において決してプラスのみに働かなかったというのはもうこれ日本の宿痾みたいなもんですなあ……。

    Re: LandMさん

    宮崎監督の作品は「カリ城」と「ナウシカ」とTVシリーズの「未来少年コナン」を見て面白くなかったら見る必要はないでしょう。

    あの人の作品中いちばん面白いのが「宮崎駿の雑想ノート」だというのが監督の陥ったアポリアを象徴しているような気がします。

    サキが「紅の豚」を一番好きな理由がわかったような気がしました。
    もちろん。他の作品も好きですよ。
    でも宮崎さん、最近歳を取ったなと思うこともあります。
    しょうがないですね。人間ですから。

    はい、宮崎センセの最高傑作ですね(マニアの間では最高は「アルバトロス」と言われてるらしいが)。すべてのアニメ映画の「別格」として君臨。これほど完璧な作品があったであろうか。
    ストーリー最高、キャラも最高、主題歌も最高、演出も動き(大塚センセ!)も最高、物語の構造も見事、もちろん「ルパン三世」という極上の素材ありきであったことはいうまでもありません。

    「ナウシカ」観に行ったとき、同時上映の「名探偵ホームズ」の方がずっと面白いと思った・・・。

    その後、宮崎監督が撮ってるのはずっと児童ポ(以下略)

    あまり宮崎監督の作品見ないんですよね。
    ・・・というか見たことないんですよね。
    それは駄目か・・・ということになるんですけど。
    興味がないのは駄目ですね。私のグッゲンハイムもエンターテイメントですからね。勿論、ポールさんの小説も。

    Re: たかのゆき先生

    「夢かな?」ですね。あれはきつかったなあ。

    わざわざ撮らなくても宮崎監督の過去作品は全部ロ(以下略)

    「ぽにょ」を見たとき
    黒澤映画の「夢」を思い出しました;
    当時あさりよしとう先生がマンガの中で
    「麒麟も老いれば駄馬にも劣る」とキャラに言わせていて
    「・・・・確かに」と思ったものです。
    宮崎駿さんは最後にポルノを撮ってくれないかと
    密かに期待しておりますw
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