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    私家版オールタイム・ベスト(映画)

    邦画ベスト9「椿三十郎('62)」

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     もちろんのことだが、リメイクのあれではない。そもそもあれ、いったいどこをターゲットにしてリメイクしたんだ。リメイク版「隠し砦の三悪人」と同等に意味不明だぞ。

     本来は黒澤映画なら、ここに「七人の侍」が来るべきところだろう。だけど、わたしはあの映画、いまいち好きになれないのだ。最初に見た環境が悪かったのかもしれない。音声状態が最悪の場末の映画館で、せりふの聞き取りにくいことでは有名なあの作品を見たのだから。菊千代が馬に乗るコメディシーンで、観客のうちわたし一人だけが笑ってしまい、ちょっと恥ずかしい思いをした……のは関係ないだろうから省く。とにかく、「七人の侍」よりは「十三人の刺客」派なのだ。

     この「椿三十郎」もビデオで見た。もちろん、アパートの小さなテレビで、写りの悪いビデオデッキで見たのである。画質だとかそういうものは気にしていなかった。

     わたしは同じデッキで「用心棒」も見たが、なんとなく好きになれなかった。面白いことは面白いのだが、先に見たせいか、あれよりはセルジオ・レオーネの「荒野の用心棒」のほうがうまく料理している感じがしたからだ。

     で、「椿三十郎」だが、これは面白かった。喜劇とシリアスドラマの配分がすばらしい。血気だけは盛んだが、バカで間抜けな若侍たちを陰で支える椿三十郎のかっこいいこと。ちょっとした端役を含めてすべてが一点の無駄もなく運び、終幕の決闘まで時に笑わせ時にはらはらさせ、見ているものを魔術に巻き込むことではこの作品以上のものは他にないのではと思う。城代家老役が満点以上の出来。演じた伊藤雄之助はかなり冷遇された人生を送ってきたそうだが、あの顔では苦労しただろう、と思ってしまうような顔で、まさにはまり役だった。

     「隠し砦の三悪人」も面白かったが、姫様がいまいちわたしの好みではなかった。借りてきたDVDもところどころでノイズがあったし。

     「天国と地獄」も面白かったが、ラストが気に入らん。エド・マクベインの原作「キングの身代金」は読んでいないが、読むべきだろうか。

     ……なんだかんだいって、わたしは黒澤明が好きなのか嫌いなのか。レンタルDVD屋の日本映画コーナーに、黒澤明だけ置いてあってあとは最近の映画ばかり、というのが気に食わないのかもしれない。

     とはいえ見る気もしないが……って、わたしは映画が好きなのか嫌いなのか。夜の夜中にこうして記事を書いているくらいだから、嫌いということはまずないのだろう。だが、好きだ、と断言できるかというと、それもまたおぼつかないのである。

     難しいところである。

     しかしどうして黒澤明が9位に来てしまうのだ……それほど映画を見ているわけじゃないのに……。いつの間にわたしはそこまで偉くなったのだ。

     よくわからん。飯食って寝よう。
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    ~ Comment ~

    Re: 宵乃さん

    「用心棒」がハードきわまるものでしたから、この映画も身構えて見たのですが、ユーモアたっぷりで死ぬほど笑ったであります(^^)

    黒澤明監督にコメディがどれだけあるかはわかりませんが、「虎の尾を踏む男達」よりはこっちの方が好み。

    三船敏郎はこの映画がいちばんカッコよくて好きだなあ(^^)

    リメイクは……やめよういまはつらいから(笑)

    NoTitle

    わたしも「用心棒」よりこちらが好きです。コミカルでどこかまったりした雰囲気がツボで。
    母娘の会話や、押入れのひとが印象に残ってます。
    そして、ラストではビシッとしめてくれる。ホント、バランスが絶妙でした。
    リメイクは無謀な挑戦でしたね(笑)

    >わたしは黒澤明が好きなのか嫌いなのか。

    わたしも好きな作品と嫌いな作品がありますが、観てない作品があれば観たい!と思ってしまうので、やっぱりすきなのかも。

    Re: 山西 左紀さん

    最近、日本映画史上もっともすごい監督は黒澤明ではなくて伊藤大輔のような気がしています。とはいえ、上映会で見る以外に見る手段がない作品が多いので「これこれこういう具合にすごい」ということを伝えるすべがないのがつらいですが。

    東京近郊にお住まいでGWに予定がないならばこういうのをどうぞ……。「忠次旅日記」絶品です。

    http://www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/images/program/silent3/silent3_sche.pdf

    あまり語れませんが、

    黒澤明監督作品は先のコレクションから適当に出してきてチラチラと見ていますが、
    全体的には見応えがあるものが多くて好きです。
    でもサキは「悪い奴ほどよく眠る」は嫌いです。救いというものを感じません。
    これを観て以降、黒澤作品を新たに観なくなりました。

    「天国と地獄」好きです。
    「椿三十郎」大好きです。
    「七人の侍」好きです。ラスト近くの田植えのシーンはとても好きです。
    「用心棒」は好きです。
    「デルス・ウザーラ」う~ん、微妙です。
    「影武者」微妙です。
    「乱」美しいですが、これも微妙です。
    「夢」案外これ気に入っています。なぜだかは不明。
    これらは繰り返し観ることもあります。
    何かおすすめありますか?
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