私家版オールタイム・ベスト(映画)
洋画ベスト2「無防備都市」
このあいだ見たばかりだが、これにはやられた。重いテーマゆえに敬遠していたが、とにかく面白いのだからしかたがない。
ほんとにプロの俳優は四人しか参加していないのか。それにしては、みんな迫真の演技をみせるではないか。イタリア人ってみんなああなのか。それとも戦後の混乱期に、「映画が撮れる」という喜びがここまで生き生きとした映画を撮らせているのか。
画面にみなぎる緊迫感。迫真性。それでいてユーモアを忘れない精神と、人間の醜さや崇高さを……ええいこんな言葉ではダメだ。
最初から最後まで、もうすばらしいのひとこと。
ネオレアリズモ? 知ったことじゃないね。アルド・ファブリーツィ演じる神父も、アンナ・マニャーニ演じる寡婦も、この映画の中で輝きに輝いている。それでいいじゃないか。映画史における位置づけについてはよくわからないが、これは日本人には撮れないタイプの映画だと思う。いや、イタリア人でも二度は無理じゃないのかな。
戦後のイタリアの混乱期に撮られた映画だけあって、制作費の捻出はたいへんなものがあったらしい。「ガメラ 大怪獣空中決戦」のときもそうだったが、もしかしたらわたしは低予算映画が好きなのかもしれない。カネがあるにこしたことはないけれど、カネも物資もなくても、やろうと思えばこれだけのことがやれるのだ。そういう意味で低予算映画は人間賛歌なのだ。……ウソです。
それにしても『敵』に対する地下抵抗組織が公然とあった国というのはどことなくうらやましいと思う。日本なんてもう、一億総右へならえ体質だから、『非国民』という言葉がいまでも普通に使われていて、『獄中で転向しなかった』ということだけでなにか筋が通ったことをしたように思われていて、『一億総懺悔』しただけですべての罪が許されたかのように思ってしまい、戦中戦後通して、体制に武力で立ち向かう、という組織に対して見る目が、『異分子』に対するそれなんだよなあ。まあ日本人らしいといっちゃ日本人らしいんだけど、この『お上に反する不届きもの』的な価値観のせいで、国際外交上大損をしているぶんが少なからずあると思う。
少なくとも、知人と話していて、いまやあのような体たらくの共産党をいまだに危険視している人間がいることに驚いた。議会じゃいまだに支持者がいることに驚くような泡沫勢力じゃないか。
その内部に様々な『反社会分子』を肯定的に抱え込めないような国家は、遅かれ早かれよその国の植民地になってしまうのではないかと思えてならない。もしかしたらその日は近いのかもしれん。そのときに備えて、『地下抵抗組織』を作る真似事でも国家的プロジェクトとして進めておくべきじゃないのかなあ。少なくとも、天皇さえ温存しておけば『征服者マンセー』一色になってしまう従順な国家よりは、よほどそのほうが『普通の国』に近いような気がする。本気な意味で戦争できる国家っていうのは、そこまでしてこそだぜ。
ほんとにプロの俳優は四人しか参加していないのか。それにしては、みんな迫真の演技をみせるではないか。イタリア人ってみんなああなのか。それとも戦後の混乱期に、「映画が撮れる」という喜びがここまで生き生きとした映画を撮らせているのか。
画面にみなぎる緊迫感。迫真性。それでいてユーモアを忘れない精神と、人間の醜さや崇高さを……ええいこんな言葉ではダメだ。
最初から最後まで、もうすばらしいのひとこと。
ネオレアリズモ? 知ったことじゃないね。アルド・ファブリーツィ演じる神父も、アンナ・マニャーニ演じる寡婦も、この映画の中で輝きに輝いている。それでいいじゃないか。映画史における位置づけについてはよくわからないが、これは日本人には撮れないタイプの映画だと思う。いや、イタリア人でも二度は無理じゃないのかな。
戦後のイタリアの混乱期に撮られた映画だけあって、制作費の捻出はたいへんなものがあったらしい。「ガメラ 大怪獣空中決戦」のときもそうだったが、もしかしたらわたしは低予算映画が好きなのかもしれない。カネがあるにこしたことはないけれど、カネも物資もなくても、やろうと思えばこれだけのことがやれるのだ。そういう意味で低予算映画は人間賛歌なのだ。……ウソです。
それにしても『敵』に対する地下抵抗組織が公然とあった国というのはどことなくうらやましいと思う。日本なんてもう、一億総右へならえ体質だから、『非国民』という言葉がいまでも普通に使われていて、『獄中で転向しなかった』ということだけでなにか筋が通ったことをしたように思われていて、『一億総懺悔』しただけですべての罪が許されたかのように思ってしまい、戦中戦後通して、体制に武力で立ち向かう、という組織に対して見る目が、『異分子』に対するそれなんだよなあ。まあ日本人らしいといっちゃ日本人らしいんだけど、この『お上に反する不届きもの』的な価値観のせいで、国際外交上大損をしているぶんが少なからずあると思う。
少なくとも、知人と話していて、いまやあのような体たらくの共産党をいまだに危険視している人間がいることに驚いた。議会じゃいまだに支持者がいることに驚くような泡沫勢力じゃないか。
その内部に様々な『反社会分子』を肯定的に抱え込めないような国家は、遅かれ早かれよその国の植民地になってしまうのではないかと思えてならない。もしかしたらその日は近いのかもしれん。そのときに備えて、『地下抵抗組織』を作る真似事でも国家的プロジェクトとして進めておくべきじゃないのかなあ。少なくとも、天皇さえ温存しておけば『征服者マンセー』一色になってしまう従順な国家よりは、よほどそのほうが『普通の国』に近いような気がする。本気な意味で戦争できる国家っていうのは、そこまでしてこそだぜ。
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