私家版オールタイム・ベスト(映画)

    洋画ベスト6「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱」

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     長いこと、世界で一番面白いカンフー映画は「燃えよドラゴン」だと思っていた。ジャッキー・チェンもいいけど、ブルース・リーの魅力よりはね、と思っていた。そんな不遜な思い込みを一蹴する映画と出会うことになったのは、大学の勉強に完全に行き詰まって鬱々していたときのことである。

     最初にこの映画の記事を読んだのは「SFマガジン」の映画レビューだった。さんざんに、面白い面白い面白いと書いてあったので、レンタル屋で見つけてその気になってレンタルした。

     面白かった。リー・リン・チェイ(ジェット・リー)という役者にいっぺんで惚れ込んでしまった。ブルース・リーともジャッキー・チェンとも違う、美しい武術がそこにはあった。ほんと、このころのジェット・リーのアクションは、美しいとしかいいようがない。

     美しいだけなら、それはそれでいいけどね、で終わっていたかもしれない。しかしこの映画にはもうひとつ、ブルース・リーにもジャッキー・チェンの映画にもなかった魅力があった。

     ツイ・ハークの過剰ともいえるケレンの嵐、要するにワイヤーアクションとアイデアをこらした絶妙の殺陣である。これがもう、芸術の域に達する美しさと迫力と面白さだったのだ。あんなアクションシーン、見たことがなかった。今では当たり前のアクションでしかないかもしれないが、あれをあんなふうに美しく撮れるのはツイ・ハークくらいのものだろう。

     この作品はシリーズ2作目で、ツイ・ハークとジェット・リーが関わっているほかの2本も見たが、内容的にはこの「天地大乱」がいちばん面白いと思う。よそのレンタル屋で3本が揃っているのを見て、時系列どおりに見るんだった、と後悔したが、後の祭りであった。

     まあこの映画を見たせいか、一時期カンフー映画ばかり見ていたが、同じジェット・リー主演でも、監督しだいでどうにでもなるなあ、という当たり前のことに気がつき、熱が冷めた。その点で、パイオニアとしてのブルース・リーはやはりすごいと思う。なにせ演出がああでも、主役の魅力だけであれだけ面白い映画にしているんだから。早逝が惜しまれる。

     ジェット・リーの「グリーン・ディスティニー」をCSでちょこっと見たが、あの見るものを虜にする美しい動きはなかった。あったとしても、あのケレン味たっぷりのワイヤーアクションは、わたしのほうで受け入れるだけの余力がなくなっていた。やはり、映画というものは、出会えるときに出会っておくべきものなのかもしれない。ふとそんなことを考えてしまう。

     それよりも、近所のレンタルDVD屋の神経を疑う。どうしてこのシリーズを置いていないのだ。見たいときにないのはくやしい。面白い映画なのに……。
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    ~ Comment ~

    Re: 宵乃さん

    あのシリーズはかっこいいですよね(^^)

    カンフー映画の中でも絶品だと思います。

    演出もひとつひとつすばらしいですし、あの映画で退屈しろというほうが無理です。

    だけどシリーズ3作目はちとなあ……と思いました。ツイ・ハーク先生、飽きちゃったのかなあ。

    まあ今となっては二十年も昔の映画ですが……。

    NoTitle

    明けましておめでとうございます♪
    昨年は企画にご参加下さってありがとうございます。
    今年もどうぞよろしくお願いいたします。

    「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」はいいですよね~。
    細かいストーリーは忘れましたが、ジェット・リーのアクションも殺陣も本当に素晴らしくて見惚れました。小さい頃からジャッキー・チェン大好きだったけど、これはわたしの知ってるカンフーと違うぞ!?という感じで(笑)

    >映画というものは、出会えるときに出会っておくべきものなのかもしれない。

    本当にその通りだと思います。順番どおりに見られなかったのは残念でしたが、それでも観るべき時に出会えてよかったですね。
    今年もポールさんにとって素晴らしい作品とたくさん出会える一年になりますように!

    Re: 矢端想さん

    えー、惜しいなー。シリーズが続くとリー・リン・チェイが開拓時代の西部アメリカに渡ってカンフーで大活躍する話も出てくるのに(ウソではない(笑))

    すみません。
    「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト」と
    「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」しか観てません。

    ・・・にげろっ(ピュー)

    Re: RYUさん

    日本のチャンバラもいいですが、向こうさんの武術も美しいですよね。どうやれば人間にあんな動きができるのか、と思います。

    無影拳でしたよね確か
    サモハンとユンピョーの猿拳も美しいですよ
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