私家版オールタイム・ベスト(映画)
洋画フェイバリット
「レイダース『失われた聖櫃(アーク)』」……単純に面白い映画を作ることが難しいにもほどがあることは何度となく書いてきたが、たまに成功するやつがいる。スピルバーグはこの作品でその隘路を見事に渡った。とにかく面白すぎる。脱帽。
「羊たちの沈黙」……スプラッタっぽい映画は敬遠していたが、騙されて見る気になってみたらムチャクチャ面白かった。サイコスリラーの傑作。アーロン・ホプキンスの演技ばかりがクローズアップされるが、それはこの作品に対して失礼だと思う。
「恋に落ちたシェイクスピア」……恋愛映画は自分には向いていないんじゃないかと思っていたのだが、騙されて見る気になってみたらムチャクチャ面白かった。ヒロインがかわいすぎる。女王陛下がいい人なのもいい。「ロミオとジュリエット」の使い方に敬服。
「リチャード三世('95)」……1930年代の武器や装備を使って「リチャード三世」をやってしまおうという頭の中身を疑う映画。それでいながら、これまで見たシェイクスピア史劇の中ではいちばん面白かった。装備をのぞけば原典にも忠実。イギリス人、バカだ。
「独裁者」……いわずと知れたチャップリンの名作。モダン・タイムズはちょっとあれれ、だったが、この映画は面白かった。ヒトラーの風刺が実にすばらしい。インチキドイツ語には抱腹絶倒だが、シリアスなシーンにも実に効果的に使われているのがすごい。
「黄金狂時代」……チャップリンで腹を抱えて笑いたいならこちらのほうだろう。狂気一歩手前のギャグがこれでもかこれでもかとばかりに詰め込まれていてすばらしい。山小屋でのやり取りは今見ても死ぬほど笑える。でもロマンスはよけいだったな。
「平原児」……ゲイリー・クーパーの早撃ちを見るためだけでも見る価値がある。西部劇の没落を告げる「真昼の決闘」よりもこちらの映画のほうが面白かった。ワイルド・ビル・ヒコックの一代記なのだが、ラストシーンがねえ。ああするしかなかったんだろうけど。
「リオ・ブラボー」……初めてまともに見た西部劇。ジョン・ウェインが円熟味を帯びていて実にかっこいい。その他の配役も、決まりに決まっている。「皆殺しの歌」はなにをおいても聴くべし。クライマックスの銃撃戦は派手派手に派手で、見ていてスカッとする。
「メトロポリス」……これが戦前のドイツで撮影されていたということ自体が信じられないSF映画の傑作中の傑作。当時の社会の辛辣なまでの風刺映画の側面もあるが、むしろ現代の日本のほうがより状況的に近いのではあるまいか。そういう意味でも必見。
「キングコング」……古今東西の怪獣映画の中でもっとも哀れな怪獣に、この白黒版のキングコングを挙げない人はまずいないだろう。この悲劇的な映画に付け加えるものはなにもない。「美女が野獣を殺したのだ」というラストのセリフがすべてを語っている。
「市民ケーン」……ベストに入れてもおかしくない映画なのであるが、巡り会わせが悪かったというか。大胆な構成といい映像美といい見事。とても若造の作品とは思えない。オーソン・ウェルズの悲劇的なところは、映画史に残るような最良の作品を最初に撮ってしまったことではないだろうか。普通の人間には、これ以上の作品は撮れない。
「羊たちの沈黙」……スプラッタっぽい映画は敬遠していたが、騙されて見る気になってみたらムチャクチャ面白かった。サイコスリラーの傑作。アーロン・ホプキンスの演技ばかりがクローズアップされるが、それはこの作品に対して失礼だと思う。
「恋に落ちたシェイクスピア」……恋愛映画は自分には向いていないんじゃないかと思っていたのだが、騙されて見る気になってみたらムチャクチャ面白かった。ヒロインがかわいすぎる。女王陛下がいい人なのもいい。「ロミオとジュリエット」の使い方に敬服。
「リチャード三世('95)」……1930年代の武器や装備を使って「リチャード三世」をやってしまおうという頭の中身を疑う映画。それでいながら、これまで見たシェイクスピア史劇の中ではいちばん面白かった。装備をのぞけば原典にも忠実。イギリス人、バカだ。
「独裁者」……いわずと知れたチャップリンの名作。モダン・タイムズはちょっとあれれ、だったが、この映画は面白かった。ヒトラーの風刺が実にすばらしい。インチキドイツ語には抱腹絶倒だが、シリアスなシーンにも実に効果的に使われているのがすごい。
「黄金狂時代」……チャップリンで腹を抱えて笑いたいならこちらのほうだろう。狂気一歩手前のギャグがこれでもかこれでもかとばかりに詰め込まれていてすばらしい。山小屋でのやり取りは今見ても死ぬほど笑える。でもロマンスはよけいだったな。
「平原児」……ゲイリー・クーパーの早撃ちを見るためだけでも見る価値がある。西部劇の没落を告げる「真昼の決闘」よりもこちらの映画のほうが面白かった。ワイルド・ビル・ヒコックの一代記なのだが、ラストシーンがねえ。ああするしかなかったんだろうけど。
「リオ・ブラボー」……初めてまともに見た西部劇。ジョン・ウェインが円熟味を帯びていて実にかっこいい。その他の配役も、決まりに決まっている。「皆殺しの歌」はなにをおいても聴くべし。クライマックスの銃撃戦は派手派手に派手で、見ていてスカッとする。
「メトロポリス」……これが戦前のドイツで撮影されていたということ自体が信じられないSF映画の傑作中の傑作。当時の社会の辛辣なまでの風刺映画の側面もあるが、むしろ現代の日本のほうがより状況的に近いのではあるまいか。そういう意味でも必見。
「キングコング」……古今東西の怪獣映画の中でもっとも哀れな怪獣に、この白黒版のキングコングを挙げない人はまずいないだろう。この悲劇的な映画に付け加えるものはなにもない。「美女が野獣を殺したのだ」というラストのセリフがすべてを語っている。
「市民ケーン」……ベストに入れてもおかしくない映画なのであるが、巡り会わせが悪かったというか。大胆な構成といい映像美といい見事。とても若造の作品とは思えない。オーソン・ウェルズの悲劇的なところは、映画史に残るような最良の作品を最初に撮ってしまったことではないだろうか。普通の人間には、これ以上の作品は撮れない。
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~ Comment ~
う~ん、サキなら「レイダース」「独裁者」「黄金狂時代」かな?
実は、この中で見たことのある映画だったりして。
3作ともとてもとても面白かったです。
「レイダース」のオープニングはとても好きです。
他の作品もポールさんのレビューを読むとみんな観たくなりますね。
実は、この中で見たことのある映画だったりして。
3作ともとてもとても面白かったです。
「レイダース」のオープニングはとても好きです。
他の作品もポールさんのレビューを読むとみんな観たくなりますね。
Re: LandMさん
純粋な恋愛映画でヒットを出せる人間は本当に神がかっていますよね。最近見た映画では「シェルブールの雨傘」がまさにそれでしたが、あれも「ミュージカル」という要素がくっついていてだからなあ。
現代を舞台にした純粋な恋愛映画でのヒット作というやつ、そういえばわたしは見たことがないですね……。今の邦画にそれを求めるのは危険すぎるので(爆)
現代を舞台にした純粋な恋愛映画でのヒット作というやつ、そういえばわたしは見たことがないですね……。今の邦画にそれを求めるのは危険すぎるので(爆)
純粋な恋愛小説を書ける人や、監督できる人は・・・正確にはそれでヒットを出せる人は・・・すげえと個人的に思えるんですよ。現在のドラマとかはミステリープラス恋愛だったりするご時世で、それでヒットを出せるのは。最近だったら、少女マンガの「君に届け」など。
この辺は個人的な感想です。
この辺は個人的な感想です。
- #10317 LandM
- URL
- 2013.04/27 16:40
- ▲EntryTop
Re: 矢端想さん
いいんだよ主力武器がダイナマイトでもカッコよけりゃ(笑)
「いーや、ハンニバル・レクターはとんでもないものを盗んでいきました。それはあなたの心です」マジだもんなあ(笑)
「いーや、ハンニバル・レクターはとんでもないものを盗んでいきました。それはあなたの心です」マジだもんなあ(笑)
「リオ・ブラボー」挿入歌なら、「ライフルと愛馬」と「シンディ」もいいぞ。・・・ラストのあれって銃撃戦?
クラリスはジョディ・フォスターでなくてはいけない。断じていけない。ジョディに限る。ど~こまで行くのかな~ク~ラリ~ス。カリオストロの血も終わりだ、シねい!まてぃ伯爵!取引だ!もう遅いわ、この女の死ぬところを見ておれ・・・(アレ?)
クラリスはジョディ・フォスターでなくてはいけない。断じていけない。ジョディに限る。ど~こまで行くのかな~ク~ラリ~ス。カリオストロの血も終わりだ、シねい!まてぃ伯爵!取引だ!もう遅いわ、この女の死ぬところを見ておれ・・・(アレ?)
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Re: 山西 左紀さん
どれもわたしとしては大好きな作品ですから機会があったらぜひどうぞ。
この「フェイバリット」の中でのいちばんのおすすめは「メトロポリス」かな。戦前のドイツということを割り引いてもすばらしいSF大作です。主人公がちょっとアホ面ですが(^^)