「残念な男(二次創作シリーズ)」
残念な男の事件簿(二次創作シリーズ)
卯月朔さんへ「残念な男」シリーズ第三弾!
国境線
「あなた、どこかで、映画俳優に似ているっていわれたことはない? ロジャー・ムーアを残念にしたような顔だとか」
わたしは、ある、と答えた。そんなことしょっちゅうだ、と付け加えると、女は苦しい息の下から、咳き込みつつ笑った。
トラックは国境線地帯を走っていた。どこの国だかはいいたくない。国境線ひとつを越えるのにも銃弾が飛び交いかねず、命を危険にさらすおそれがある国だということだけでじゅうぶんだ。特に、そのときのわたしはそうだった。
女はわき腹に銃弾を受けていた。応急処置をされた包帯の下から、血がじくじくとにじみ出ていた。逃走中にどこか骨折もしたらしい。トラックが揺れるたびに見せる苦悶の表情は、女がそうとうな苦痛と戦っていることをうかがわせた。
わたしはといえば、狂おしいほどののどの渇きと戦っているところだった。同族の経営する貿易商社の下請けのエージェンシーの孫請けのような仕事をしている身として、あちらこちらに飛ばされることはしかたないこととあきらめていたが、今回は、よりにもよって外国に出張していたところ、お呼ばれしたくもないようなその隣国に、重要人物の護衛という役目をもって派遣されたのだ。同族のいいたいこともわかる。そもそも同族は数が少なく、こういう任務に割ける人員は限られているのだ。わかったらとっとと行け。おおかたそういうところだろう。わたしも長い人生で、こうしたダーティーな仕事についたことも二度や三度ではない。しかし、今護衛している人間は、わたしがその任に当たるのはどうかと思えるタイプだった。
美人だった。ネコ科の猛獣を思わせる顔をしていた。油断していると音もなくのど笛に噛みつき、一撃で人を屠るタイプの女だ。身に着けている装備を見てもうなずけた。派手に破れた迷彩服に、グルカナイフ。肩からぶら下げた銃に見覚えはないが、引き金をひと引きすれば九ミリパラベラムをシャワーのようにばら撒ける高性能なサブマシンガンであることくらいはわかる。そしてこうして日本語がなめらかに通じる以上、現地の人間でないことも了解できた。
「あなたが持っている銃は、ヘッケラー&コッホVP70ね。よくそんな旧式銃を使っていられるものね」
わたしはホルスターにもなるストックを持て余し気味だったが、この銃自体は気に入っていた。
「たしかに命中率は少々低いが、わたしは扱い慣れているんだ。あんたこそ、どこの組織の手駒なんだ?」
理性というものがかけらでも残っているなら答えてくれるわけもないが、とりあえず尋ねてみた。眠らせたらいけない。
驚いたことに、女は唇の端を持ち上げ、答えた。
「あなたの同族よ」
「おい、同族って。そうは見えないが」
「当たり前よ。あたしは普通の人間」
女は咳き込んだ。
「いくらあなたの血族たちが優れた能力を持っているからって、それだけで日常のこまごましたことがすべて片付くわけがないでしょ。簡単にいえば、いくら強力なサイコキネシスが使えようと、それだけでは政権をひっくりかえすことはできないの。組織や信条を問わず、こういう才能がある人間は、高い報酬でひっぱりだこなのよ。地域にもよるけどね」
「意識を保つためにしゃべるのはいいが、しゃべりすぎるな。体力を消耗するし、舌を噛む恐れがあるぞ」
「いいのよ。この仕事についてから、初めて自由にものがいえるんだもの」
女は懺悔弔問僧に語るかのように、自分の血塗られた経歴を語り始めた。
語った内容については思い出したくもない。わたしのような同族の下っ端、末端からはどうすることもできないような、同族どうしの派閥抗争と、それから派生したさまざまな国々の内戦、その過程で女がこなしてきた破壊と殺戮の数々を聞かされたのだ。
女が話の中で何度目かの反政府武装組織の戦闘リーダーになったところで、わたしは無理やり打ち切った。
「わかったからもうやめてくれ。わたしにそんなことを話して、いったいなにをしたいんだ」
女は汗を浮かべた顔で目をつぶった。わたしは悟った。
女は死ぬ気でいるのだ。こういう稼業についている女だからこそ、内心の罪悪感を痛いほどに感じているのだ。罪悪感を感じなくなってしまったことに対して罪悪感を覚えながら生きているのだ。わたしが渇いて当然だった。
わたしは目をつぶり、十数えた。
「できないね」
わたしはいった。女は咳き込んだ。
「え?」
「できない、といったんだ。きみは本心から死ぬことを望んでいないだろう。まあ、死ぬ理由はこんなところじゃないか? きみが生きて帰っても、この国に死体を残しても、面白く思わない連中が、同族の上のほうにいるんだな。新聞記事の見出しが目に浮かぶよ。『日本人なに山なに子、破壊工作に従事か』そんなことになったら、日本が叩かれるだけじゃすまない。この地域の不安定化が加速し、下手をしたら同族にまで飛び火しかねない。わたしがきみの血を吸って、きみがひとつかみの灰になったら、関係者はみんな安心して、枕を高くして眠れるわけだ」
わたしは唾を飲み込み、喉の渇きに耐えた。
「どういうやりとりが、日本だかヨーロッパだかの平和な国の会議室で交わされたか、想像がつくな。『本部長、例の女の件ですが、あとくされなく死体を始末できる便利な同族がいます。そいつを派遣しましょうか』『きみに任せよう。われわれとしては、もっとも安価に上がる手段さえわかれば、それでいいのだからな』……なんて、おおかたそんなところだろう」
「それがわかっているなら、早くやってくれない? それとも、あたしの血は、おいしくないとでも?」
そんなことはなかった。うまそうだった。極上の味がしそうだった。だが、わたしはぐらつきかけていることは確かだが、鉄の意志でもって吸血欲を抑えながらいった。
「そういう考えかたに腹が立つから、やらない、といっているんだ。決めたぞ。わたしは、なにがあってもきみを日本に連れて帰る。日本で、きみを待っている同族の誰かの前に引きずってでも連れて行く。これは決定事項だ、もうなにがあっても変えないからな」
女の顔色が変わった。
「あたしを待っている……同族の人?」
「おそらく、さっきわたしがいった、わたしをここに派遣することを進言した、課長か係長クラスの同族だな。そう考えれば、すべてのつじつまは合ってくる」
わたしの脳細胞は今やフル回転していた。
「わたしがこんなところに飛ばされてきたことから気づくべきだった。わたしがここに、きみの存在を抹消するために派遣されたのは、きみの存在を抹消させないためだったんだ。つまり、わたしをここに派遣したやつは、天地がひっくり返ろうとわたしがそんなことを唯々諾々としないひねくれ者だ、ということまで計算に入れて派遣したんだ。すべてはきみを守るために。くそっ、せいぜい利用されてやろうじゃないか」
「後悔しないの?」
「しないことを祈るね。きみのこれからの人生はきみのものだ。人を殺すだけ殺して硝煙の中でくたばろうと、これまで殺した人間の怨念をあっさり無視してどこか安全な場所でのほほんと暮らそうと、それはわたしの関知するところじゃない」
わたしは時計を見た。
「あと二十分もしたら国境だ。きみが死体も残さずに消えていることが前提の旅路なんだ、政府軍の検問はたぶんゆるゆるだろう。生き残る気がかけらでもあるなら、祈れ」
わたしのいう通りになった。
任務をやり遂げたわたしは、別に賞賛されることも叱責されることもなく、日常の勤務に戻った。女が同族により処刑されたのか、許されてその後も破壊工作活動をやり続けているのか、誰とも知らぬ待ち人のもとへ帰って聖人君子になったかどうかは知らない。
なにかつけ加えることがあるとすれば、わたしがいまだに人生の伴侶になってくれる女と縁がないまま生き続けていることくらいのものである。
※ ※ ※ ※ ※
ネタがないのであった。ほんとうにネタがないのであった。というわけで別シリーズの桐野くんそっくりで実に書きやすい「残念な男」氏にまたご登場いただくのであった。
内容は冒険小説によくあるシチュエーションだからこれといっていうことはないが、冒険小説ファンとしては、こういうシチュエーションの小説を一度書きたかったのも事実。
こうしてみると、貿易商社の下っ端というのはけっこう便利な存在だなあ。
ちなみに書いているうちに浮かんできた裏設定。卯月朔さんの作品のファン以外は飛ばしてください。
・生まれは明治維新ころ。百年以上生きていることからもわかるとおり、まぎれもない純血種。ただし出生時になにかスキャンダルがあったらしく、両親は不明。
・人種的にはハーフらしい。そのために、日本生まれであるにもかかわらず、西洋人とも間違われかねない顔をしている。
・同族としての能力の発現がなかったため、庇護も受けていない。幼少時は「異人の子」としていじめられ、ちょっとしたコンプレックスになっている。それでもこんな人間になるんだからなんというか。
・何らかの理由から、「実戦的な古武術」の達人に拾われ、青年期まで内弟子として過ごす。読み書きそろばんはそのときに学ぶ。武術の才能はなかったが、師匠にはかわいがられたらしく、「ちょっとした小技」を得意とするようになる。ただし、正面からの正々堂々とした対決では、いいところ柔道や空手の黒帯と同レベル。
ふたたび同族の庇護を受けるようになってからの設定はなにも決めていません。穏健派かどうかすら決めてない(笑) いいのかこんなことで。卯月朔さんから三くだり半を突きつけられるのはいつのことだ!(笑)
おまけFAQ
Q:この前から気になっていたんですが、古武術の「ちょっとした小技」って、どんなものなんですか?
A:だから、卑怯な技ですよ。実戦的ではありますけど。
Q:説明してくれませんか?
A:かまいませんが……ちょっと説明しにくいな。そこの冷蔵庫に、缶コーラがありますから、ちょっと取ってきてくれませんか。そう。それがあるとわかりやすいんですよ。こっちに渡して……と、無警戒に手を伸ばしてきたところをこう捕まえてこう折る。
Q:!
A:いや、誰もあなたの手を折ったりしませんって。
Q:でも痛かったですよ!
A:すみません。紙コップ……と。ああ、わたしが取りますから。こっちにあるラム酒といっしょにして、ラム・コークといきましょう。キューバ・リブレともいいますけどね。これを飲んでさっきのことは忘れてください……と、無警戒に手を伸ばしてきたところをこう捕まえてこう折る。
Q:いたたっ!
A:まあ、ここでは折ったりしませんけれど、実戦では、即座に手首なり指なりをへし折って、相手が苦しんで戦闘不能になっているうちに逃げるなりなんなりするんです。
Q:最低……。
A:わたしもそう思います。
「あなた、どこかで、映画俳優に似ているっていわれたことはない? ロジャー・ムーアを残念にしたような顔だとか」
わたしは、ある、と答えた。そんなことしょっちゅうだ、と付け加えると、女は苦しい息の下から、咳き込みつつ笑った。
トラックは国境線地帯を走っていた。どこの国だかはいいたくない。国境線ひとつを越えるのにも銃弾が飛び交いかねず、命を危険にさらすおそれがある国だということだけでじゅうぶんだ。特に、そのときのわたしはそうだった。
女はわき腹に銃弾を受けていた。応急処置をされた包帯の下から、血がじくじくとにじみ出ていた。逃走中にどこか骨折もしたらしい。トラックが揺れるたびに見せる苦悶の表情は、女がそうとうな苦痛と戦っていることをうかがわせた。
わたしはといえば、狂おしいほどののどの渇きと戦っているところだった。同族の経営する貿易商社の下請けのエージェンシーの孫請けのような仕事をしている身として、あちらこちらに飛ばされることはしかたないこととあきらめていたが、今回は、よりにもよって外国に出張していたところ、お呼ばれしたくもないようなその隣国に、重要人物の護衛という役目をもって派遣されたのだ。同族のいいたいこともわかる。そもそも同族は数が少なく、こういう任務に割ける人員は限られているのだ。わかったらとっとと行け。おおかたそういうところだろう。わたしも長い人生で、こうしたダーティーな仕事についたことも二度や三度ではない。しかし、今護衛している人間は、わたしがその任に当たるのはどうかと思えるタイプだった。
美人だった。ネコ科の猛獣を思わせる顔をしていた。油断していると音もなくのど笛に噛みつき、一撃で人を屠るタイプの女だ。身に着けている装備を見てもうなずけた。派手に破れた迷彩服に、グルカナイフ。肩からぶら下げた銃に見覚えはないが、引き金をひと引きすれば九ミリパラベラムをシャワーのようにばら撒ける高性能なサブマシンガンであることくらいはわかる。そしてこうして日本語がなめらかに通じる以上、現地の人間でないことも了解できた。
「あなたが持っている銃は、ヘッケラー&コッホVP70ね。よくそんな旧式銃を使っていられるものね」
わたしはホルスターにもなるストックを持て余し気味だったが、この銃自体は気に入っていた。
「たしかに命中率は少々低いが、わたしは扱い慣れているんだ。あんたこそ、どこの組織の手駒なんだ?」
理性というものがかけらでも残っているなら答えてくれるわけもないが、とりあえず尋ねてみた。眠らせたらいけない。
驚いたことに、女は唇の端を持ち上げ、答えた。
「あなたの同族よ」
「おい、同族って。そうは見えないが」
「当たり前よ。あたしは普通の人間」
女は咳き込んだ。
「いくらあなたの血族たちが優れた能力を持っているからって、それだけで日常のこまごましたことがすべて片付くわけがないでしょ。簡単にいえば、いくら強力なサイコキネシスが使えようと、それだけでは政権をひっくりかえすことはできないの。組織や信条を問わず、こういう才能がある人間は、高い報酬でひっぱりだこなのよ。地域にもよるけどね」
「意識を保つためにしゃべるのはいいが、しゃべりすぎるな。体力を消耗するし、舌を噛む恐れがあるぞ」
「いいのよ。この仕事についてから、初めて自由にものがいえるんだもの」
女は懺悔弔問僧に語るかのように、自分の血塗られた経歴を語り始めた。
語った内容については思い出したくもない。わたしのような同族の下っ端、末端からはどうすることもできないような、同族どうしの派閥抗争と、それから派生したさまざまな国々の内戦、その過程で女がこなしてきた破壊と殺戮の数々を聞かされたのだ。
女が話の中で何度目かの反政府武装組織の戦闘リーダーになったところで、わたしは無理やり打ち切った。
「わかったからもうやめてくれ。わたしにそんなことを話して、いったいなにをしたいんだ」
女は汗を浮かべた顔で目をつぶった。わたしは悟った。
女は死ぬ気でいるのだ。こういう稼業についている女だからこそ、内心の罪悪感を痛いほどに感じているのだ。罪悪感を感じなくなってしまったことに対して罪悪感を覚えながら生きているのだ。わたしが渇いて当然だった。
わたしは目をつぶり、十数えた。
「できないね」
わたしはいった。女は咳き込んだ。
「え?」
「できない、といったんだ。きみは本心から死ぬことを望んでいないだろう。まあ、死ぬ理由はこんなところじゃないか? きみが生きて帰っても、この国に死体を残しても、面白く思わない連中が、同族の上のほうにいるんだな。新聞記事の見出しが目に浮かぶよ。『日本人なに山なに子、破壊工作に従事か』そんなことになったら、日本が叩かれるだけじゃすまない。この地域の不安定化が加速し、下手をしたら同族にまで飛び火しかねない。わたしがきみの血を吸って、きみがひとつかみの灰になったら、関係者はみんな安心して、枕を高くして眠れるわけだ」
わたしは唾を飲み込み、喉の渇きに耐えた。
「どういうやりとりが、日本だかヨーロッパだかの平和な国の会議室で交わされたか、想像がつくな。『本部長、例の女の件ですが、あとくされなく死体を始末できる便利な同族がいます。そいつを派遣しましょうか』『きみに任せよう。われわれとしては、もっとも安価に上がる手段さえわかれば、それでいいのだからな』……なんて、おおかたそんなところだろう」
「それがわかっているなら、早くやってくれない? それとも、あたしの血は、おいしくないとでも?」
そんなことはなかった。うまそうだった。極上の味がしそうだった。だが、わたしはぐらつきかけていることは確かだが、鉄の意志でもって吸血欲を抑えながらいった。
「そういう考えかたに腹が立つから、やらない、といっているんだ。決めたぞ。わたしは、なにがあってもきみを日本に連れて帰る。日本で、きみを待っている同族の誰かの前に引きずってでも連れて行く。これは決定事項だ、もうなにがあっても変えないからな」
女の顔色が変わった。
「あたしを待っている……同族の人?」
「おそらく、さっきわたしがいった、わたしをここに派遣することを進言した、課長か係長クラスの同族だな。そう考えれば、すべてのつじつまは合ってくる」
わたしの脳細胞は今やフル回転していた。
「わたしがこんなところに飛ばされてきたことから気づくべきだった。わたしがここに、きみの存在を抹消するために派遣されたのは、きみの存在を抹消させないためだったんだ。つまり、わたしをここに派遣したやつは、天地がひっくり返ろうとわたしがそんなことを唯々諾々としないひねくれ者だ、ということまで計算に入れて派遣したんだ。すべてはきみを守るために。くそっ、せいぜい利用されてやろうじゃないか」
「後悔しないの?」
「しないことを祈るね。きみのこれからの人生はきみのものだ。人を殺すだけ殺して硝煙の中でくたばろうと、これまで殺した人間の怨念をあっさり無視してどこか安全な場所でのほほんと暮らそうと、それはわたしの関知するところじゃない」
わたしは時計を見た。
「あと二十分もしたら国境だ。きみが死体も残さずに消えていることが前提の旅路なんだ、政府軍の検問はたぶんゆるゆるだろう。生き残る気がかけらでもあるなら、祈れ」
わたしのいう通りになった。
任務をやり遂げたわたしは、別に賞賛されることも叱責されることもなく、日常の勤務に戻った。女が同族により処刑されたのか、許されてその後も破壊工作活動をやり続けているのか、誰とも知らぬ待ち人のもとへ帰って聖人君子になったかどうかは知らない。
なにかつけ加えることがあるとすれば、わたしがいまだに人生の伴侶になってくれる女と縁がないまま生き続けていることくらいのものである。
※ ※ ※ ※ ※
ネタがないのであった。ほんとうにネタがないのであった。というわけで別シリーズの桐野くんそっくりで実に書きやすい「残念な男」氏にまたご登場いただくのであった。
内容は冒険小説によくあるシチュエーションだからこれといっていうことはないが、冒険小説ファンとしては、こういうシチュエーションの小説を一度書きたかったのも事実。
こうしてみると、貿易商社の下っ端というのはけっこう便利な存在だなあ。
ちなみに書いているうちに浮かんできた裏設定。卯月朔さんの作品のファン以外は飛ばしてください。
・生まれは明治維新ころ。百年以上生きていることからもわかるとおり、まぎれもない純血種。ただし出生時になにかスキャンダルがあったらしく、両親は不明。
・人種的にはハーフらしい。そのために、日本生まれであるにもかかわらず、西洋人とも間違われかねない顔をしている。
・同族としての能力の発現がなかったため、庇護も受けていない。幼少時は「異人の子」としていじめられ、ちょっとしたコンプレックスになっている。それでもこんな人間になるんだからなんというか。
・何らかの理由から、「実戦的な古武術」の達人に拾われ、青年期まで内弟子として過ごす。読み書きそろばんはそのときに学ぶ。武術の才能はなかったが、師匠にはかわいがられたらしく、「ちょっとした小技」を得意とするようになる。ただし、正面からの正々堂々とした対決では、いいところ柔道や空手の黒帯と同レベル。
ふたたび同族の庇護を受けるようになってからの設定はなにも決めていません。穏健派かどうかすら決めてない(笑) いいのかこんなことで。卯月朔さんから三くだり半を突きつけられるのはいつのことだ!(笑)
おまけFAQ
Q:この前から気になっていたんですが、古武術の「ちょっとした小技」って、どんなものなんですか?
A:だから、卑怯な技ですよ。実戦的ではありますけど。
Q:説明してくれませんか?
A:かまいませんが……ちょっと説明しにくいな。そこの冷蔵庫に、缶コーラがありますから、ちょっと取ってきてくれませんか。そう。それがあるとわかりやすいんですよ。こっちに渡して……と、無警戒に手を伸ばしてきたところをこう捕まえてこう折る。
Q:!
A:いや、誰もあなたの手を折ったりしませんって。
Q:でも痛かったですよ!
A:すみません。紙コップ……と。ああ、わたしが取りますから。こっちにあるラム酒といっしょにして、ラム・コークといきましょう。キューバ・リブレともいいますけどね。これを飲んでさっきのことは忘れてください……と、無警戒に手を伸ばしてきたところをこう捕まえてこう折る。
Q:いたたっ!
A:まあ、ここでは折ったりしませんけれど、実戦では、即座に手首なり指なりをへし折って、相手が苦しんで戦闘不能になっているうちに逃げるなりなんなりするんです。
Q:最低……。
A:わたしもそう思います。
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~ Comment ~
え、ヒロインが死ななかっただなんて、そんな∑(゚□゚;)←
いやー、残念さん、かっこよくも残念ですねー。
出自不明で特に後ろ盾があるわけでもない特殊能力持ちって、各方面からは随分と便利に使われそうです。
なんとなーく想像するのは「マスターキートン」なんですけれど、あんなにカッコよくはないか、そうか、残念だ(^_^;)
でも彼みたいに「会社」とは名ばかりの小さな事務所を構えていて、そこに電話番兼経理兼雑用係りとしてロビンくん/ちゃんがいるといいかな。仕事を受けてくるのは上司で、その上司に非常にこき使われている、とか。どうでしょうか。
特にどこ配下というわけでもなく、半分はぐれものみたいなポジションで誰かの配下だと動きにくい仕事=危なくてやっかいで面倒な仕事を引き受けている感じ、でしょうか。
……残念さん、まかり間違ったらハードボイルド路線まっしぐらなんですけどねー。
ポールさん、早くネタ切れになってまた残念さん書いてくださらないかなー?←不吉なことを(^_^;)
いやー、残念さん、かっこよくも残念ですねー。
出自不明で特に後ろ盾があるわけでもない特殊能力持ちって、各方面からは随分と便利に使われそうです。
なんとなーく想像するのは「マスターキートン」なんですけれど、あんなにカッコよくはないか、そうか、残念だ(^_^;)
でも彼みたいに「会社」とは名ばかりの小さな事務所を構えていて、そこに電話番兼経理兼雑用係りとしてロビンくん/ちゃんがいるといいかな。仕事を受けてくるのは上司で、その上司に非常にこき使われている、とか。どうでしょうか。
特にどこ配下というわけでもなく、半分はぐれものみたいなポジションで誰かの配下だと動きにくい仕事=危なくてやっかいで面倒な仕事を引き受けている感じ、でしょうか。
……残念さん、まかり間違ったらハードボイルド路線まっしぐらなんですけどねー。
ポールさん、早くネタ切れになってまた残念さん書いてくださらないかなー?←不吉なことを(^_^;)
- #10594 ミズマ。
- URL
- 2013.05/30 22:56
- ▲EntryTop
Re: 矢端想さん
「現実世界で女に縁のない期間=実年齢」のわたしにはなんと返答していいかわからなかった(^_^;)
Re: 卯月朔さん
カッコよく思っていただいてありがとうございます。もっとハードに徹したほうがカッコいいのでしょうが、そうすると話が終わってしまいかねない(^_^;)
書いているうちに天羅も地祇もよくなってきてしまいました。グローバルな社会ではきれいごとだけじゃ物事は動いていかないものなのです。(^_^;)
そんな中で組織の思惑に反してもあえてひとりの女の命を救う、という決意がわたしはツボなんですが。
あまり残念な男ばかり書いているとほかのキャラクターがなんだかんだいうので、当分封印することにしたいと思います。ネタ切れになったらまた出てきますが。
古武術ネタもいつか使いたいしなあ。
書いているうちに天羅も地祇もよくなってきてしまいました。グローバルな社会ではきれいごとだけじゃ物事は動いていかないものなのです。(^_^;)
そんな中で組織の思惑に反してもあえてひとりの女の命を救う、という決意がわたしはツボなんですが。
あまり残念な男ばかり書いているとほかのキャラクターがなんだかんだいうので、当分封印することにしたいと思います。ネタ切れになったらまた出てきますが。
古武術ネタもいつか使いたいしなあ。
なになに、ジョージ・レーゼンビーを残念にしたような?(違)
> いまだに人生の伴侶になってくれる女と縁がないまま
・・・それはオレのことを言ってるのかーっ!
これでも世間に対していろんな罪悪感は持ってるんですよ・・・。
> いまだに人生の伴侶になってくれる女と縁がないまま
・・・それはオレのことを言ってるのかーっ!
これでも世間に対していろんな罪悪感は持ってるんですよ・・・。
卯月は最後まで「カッコイイ! カッコイイー!」とテンション高く読ませていただきましたー! カッコイイよう残念なひと! でもお嫁さんは来なかったね! 残念!(笑)
そしてカッコイイと思えば思うほど「なぶるのに登場してほしいけどコレ卯月書ける? 書けないよね? 本当にただの残念な人になるよね……!(涙声)」みたいなorz
「貿易商社の下請けの~」てことは、天羅サイドのひとかな? でも手先に使ってた人間を切っちゃうあたり地祇っぽいし、しかし彼女の生還を望むひとがいるあたりやっぱり天羅かなあまあ天羅も穏健派とかいっても清廉潔白なだけの集団ではないし――とか、いろいろ考えてキャッキャキャッキャさせていただきました(*ノД`)ノ
イクヤさんは残念なひとのこと、個人的に便利屋の仕事関係とかで知ってそうだなあw ぬああ絡ませてみたいけどこの「頼もしいのか頼りないのかしっかりしてるのかマヌケなのか」絶妙すぎてむつかしいのでもっと書いていただけるとうれしいな!すみません自重しますすみません壁|)≡サッ!!
>……と、無警戒に手を伸ばしてきたところをこう捕まえてこう折る。
この件がとっても好きです、折るwww
そしてカッコイイと思えば思うほど「なぶるのに登場してほしいけどコレ卯月書ける? 書けないよね? 本当にただの残念な人になるよね……!(涙声)」みたいなorz
「貿易商社の下請けの~」てことは、天羅サイドのひとかな? でも手先に使ってた人間を切っちゃうあたり地祇っぽいし、しかし彼女の生還を望むひとがいるあたりやっぱり天羅かなあまあ天羅も穏健派とかいっても清廉潔白なだけの集団ではないし――とか、いろいろ考えてキャッキャキャッキャさせていただきました(*ノД`)ノ
イクヤさんは残念なひとのこと、個人的に便利屋の仕事関係とかで知ってそうだなあw ぬああ絡ませてみたいけどこの「頼もしいのか頼りないのかしっかりしてるのかマヌケなのか」絶妙すぎてむつかしいので
>……と、無警戒に手を伸ばしてきたところをこう捕まえてこう折る。
この件がとっても好きです、折るwww
Re: 山西 サキさん
「残念な男」シリーズは、「狙っている」部分と「狙っていない」部分があります。
今回は、作者としては「普通にカッコいい話」にしようと思っていましたが、ちょっとかなり外してしまったかも(^_^;)
カッコ悪かったら作者のせいでございます。志水辰夫先生への道は遠い(^_^;)
今回は、作者としては「普通にカッコいい話」にしようと思っていましたが、ちょっとかなり外してしまったかも(^_^;)
カッコ悪かったら作者のせいでございます。志水辰夫先生への道は遠い(^_^;)
始まり、ハードボイルド系で本当に格好いいです。
苦しそうな女の様子から、どんなふうに展開するのかワクワクしたんですが……。
残念な男シリーズ、本当に残念になってしまうんですね。
狙ってらっしゃるのかな?
勝手なことばかり言ってすみません。
苦しそうな女の様子から、どんなふうに展開するのかワクワクしたんですが……。
残念な男シリーズ、本当に残念になってしまうんですね。
狙ってらっしゃるのかな?
勝手なことばかり言ってすみません。
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Re: ミズマ。さん
ちなみに愛銃のH&K VP70という代物は、一見普通の9ミリ拳銃ですが、ストックをつけてレバーを切り替えると機関銃に早変わりする物騒な銃です(誰も聞いてない)
ネタがなくなってほしいとは……なんと不吉な……。(^_^;)