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    「エドさんとふしぎな毎日(童話)」
    エドさんと君のための冒険(児童文学・特別長編・完結)

    エドさんと君のための冒険 1-1

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    第一章 海の冒険 1

     エドさんは、ひとりでぽつんと果てしなく広がる海を眺めていました。それも当然でした。眺めるものはといえば、海のほかには、やしの木が一本と、砂くらいしかなかったのです。そこは、絵に描いたような無人島でした。

    「のどが渇いたなあ……」

     エドさんは、ぽつりとつぶやきました。やしの木からもわかるとおり、この島は、どうやら熱帯地方にあるようでした。太陽は、ぎらぎらとまぶしく照り付けてきます。猫の額ほどの広さしかない島は、まるでフライパンの上かなにかのようです。日差しをさえぎるものは、件のやしの木しかありませんが、それだけでは、とても流れる汗を止めることはできません。吹いてくるわずかな風がなかったら、きっと倒れていたことでしょう。

     エドさんは、もうろうとした頭でやしの木を眺めました。残念なことに、やしの木にはひとつも実がなっていませんでした。これでは、のどを潤すこともできません。

    「困ったなあ……」

     気がついてからいく度目になるかわからないぼやきをしてから、エドさんは砂地に大の字に寝転びました。

     着ていた服はといえば、ぼろぼろのシャツとズボンでした。古いものらしく、ボタンは木で作られていて、糸でとめられていました。針になるものがありさえすれば、シャツやズボンの糸をほどいて、釣りの真似事もできたかもしれませんが、これではとうてい、無理です。海に潜ってなにかをひろう、ということも考えましたが、エドさんには、火を使わずに食べられる貝の見分けかたもわからなければ、泳いでいるだろう魚を素手で捕まえるだけの反射神経もないことがわかっていました。

     結局、無駄な動きは自分の体力をいたずらに使ってしまうだけで、かえって命を縮めるだけだという結論に達して、この砂地でぼんやりとしているわけですが、このままではほんとうにからからの日干しエドさんになってしまいます。干しイチジクみたいに、どこかの店で一山いくらで売られるのかな、そんな思いが頭をよぎり、ふっと苦い笑いがこぼれました。

     それにしても暑い。エドさんは、自分がどれだけの間ここにいるのかがよくわからなくなっていました。時計はどこにもありませんでした。太陽の動きから、時間を計ろうと考えても見ましたが、時間の感覚が鈍ってしまったのか、太陽はいつまでたっても頭の上にあるような気がします。

     いつまでたっても……。

     エドさんはがばっと跳ね起きました。

     どうしていつまでたっても太陽が動かないんだ?

     その疑問をきっかけに、エドさんの頭脳がようやく回転を始めました。

     動くはずの太陽が動かない。時間の感覚もない。いったいここは、ほんとうに地球の上のどこかなのか?

     いや……そもそも。

    「わたしはどうしてここにいるんだ?」

     エドさんはそう口にしました。口にして、考えました。しかし、どうしたことか、まとまったことはなにも思い出せません。ただ、なにか、ひどく重要ななにかをしなければならないという焦りにも似た思いが、頭の中にありました。

     エドさんは、どこかそら恐ろしくなって、四方の海を眺めました。

    「わたしはエド。エド……なんだっけ。とにかく、エドだ。そしてわたしは、探偵……」

     ほんとうに探偵なのか、ほかに何か仕事があるのではないか、という疑いが、エドさんの心をすっとよぎりましたが、エドさんは首を振ってその疑問を振り払いました。それほどまでに、探偵、という仕事は自分にぴったりな気持ちがしたからです。

     探偵ならば、どうするべきか。エドさんは頭を抱えて考え始めました。考えてすぐに、探偵としての知識や技術は、この状況ではなんの役にも立たないことに気づきました。

     結局、エドさんはまたも砂地に大の字になって、まぶしい太陽を見上げていることになるのでした。だってそうでしょう。四方はどこまでも続く海原。そんな中に、動くものがあるはずがありません。動くものが……。

     エドさんは、視界の隅に点のような動くものがあることに気づきました。こんな海原で動くものがあるとすれば……。

     船です!

     エドさんは先にもましてがばっと跳ね起きると、シャツを脱いで振り回し、大声を上げました。

    「おーい! おーい! 助けてくれーっ!」

     エドさんは力いっぱい叫びました。


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    ~ Comment ~

    Re: ぴゆうさん

    この話はかなりの自信を持って書きました。

    面白い話になっていると思います。

    長編でしかできないことをやったつもりです。

    どうかお楽しみください(^_^)/

    NoTitle

    エドさんシリーズの長編ですね。
    軽快でさらっとして気持ちのよい物語として
    ワタシ的には理解しています。
    今回は長編ということ、楽しみだい。
    絶海の孤島なのかもわからないけど
    始まりがいいね。
    何気に物語が始まるのがいい。
    この世には現代人が上陸すらできない島があるそうで
    北センチネル島、名前だけでやばそうな
    原住民が槍持って、上陸しようとする者を拒むという漫画のような世界。
    エドさん、これからどうするの?

    Re: 小説と軽小説の人さん

    前二作で出てきた登場人物が多数出てくるので、そちらを読んでおいたほうがより楽しめる……かもしれません。

    これだけ読んでも楽しいようには書いているつもりですが。


    「なにか更新し続けないと友達がみんないなくなってしまうんじゃないか恐怖症」みたいなものにかかっているので、どうしても……(^^;) ネット依存か?(^^;)

    この話から見ても大丈夫でしょうか?
    ポールさんの執筆ペース早過ぎです(笑)
    • #10813 小説と軽小説の人 
    • URL 
    • 2013.07/06 18:53 
    •  ▲EntryTop 

    Re: 矢端想さん

    あまり無茶な徹夜作業を続けると身体壊しそうだなあ……。

    一に体力、二に根性……。

    Re: YUKAさん

    はい半年ぶりです(^_^)

    あと四年待たなくてはならない桐野くんに比べたら恵まれてるなあエドさん(^_^;)

    2ヶ月間、がんばって更新するぞ! えいえいおー!

    > 友成純一先生
    ・・・私はよく存じませんが、おっしゃることは確かに説得力があります。その通りだと思います。

    ところで、締め切り当日に書きだしても、入稿リミットの正午に完璧な原稿ができていればいいと思いますよ。
    普段どうしてようが二か月前に依頼された原稿が締切日まで手付かずだろうが、納期にはちゃんと辻褄合わせて間に合わすのがプロなんだと思います。

    スケジュール管理もくそもなく、とりあえず納期さえ守ればいいのです。大人の世界は。

    こんばんは――♪

    おお!久々のエドさんですね!!
    わぁ~~待ってました♪
    っていうか、来ると思っていたわけではないんですが
    告知で期待しておりました(笑)

    続きが非常に愉しみです^^

    Re: 矢端想さん

    いや、プロのライターがそんなことをしていたら間違いなく干されてしまうんじゃないかと思います。

    スケジュールを組んでどんなときでも納期を守る勤勉そのもののやつが、真のライターではないかなあ。

    わたしはアマチュアなのでよくわかりませんが、作家の友成純一先生は、作家に求められる条件として、「一に体力、二に根性、三、四がなくて五にようやく何でも書ける痴性」と喝破しておられました。すごい説得力でした。

    > 見切り発車の自転車操業です

    ははは、世の中には切羽詰まらないと書けず、常に切羽詰まった状況でこそ本領を発揮する作家はたくさんいるものです。そしてたいてい天才肌。
    僕も仕事の締め切りについて「締め切り日の午前0時を回ってから原稿書き出すのがプロのライターだっ」とよく言ってますw

    ・・・でもそういう天才肌は寿命を縮めそうなのでご注意。

    Re: 山西 サキさん

    まあバレバレでしたけどね(^_^)

    今の段階で、なにがあってこうなったかを書くと、話がぶちこわしになるので、とりあえずエドさんと右往左往していてください(^_^;)

    必ずや納得できる結末を用意してみせますのでおたちあい。

    あったりぃ~~!
    やっぱりエドさんだ~~。
    何があったのかさっぱりわかりませんが、
    待っていましたよ。

    Re: 矢端想さん

    待っていてくださってありがとうございます(^_^)/

    いつものようにショートショートで語るよりも、長編で語るべき内容にしようと目論んでます。

    ほんとうは、先月休んでいる間に猛烈な勢いで書き進めてやろうと思っていたのですが、ちっとも筆が進まず……いつも通りに見切り発車の自転車操業です。とほほ(^_^;)

    エドさんキターーーーーー!! よっ、待ってました!

    今回の趣向、面白そうです。毎日の楽しみがまたできました。

    ウチも「三題噺」であの人が帰ってきます!
    ・・・いえ、なんのかんのとちょくちょく登場しますな。やっぱりオモチャか。

    Re: limeさん

    さあて、どうなんでしょうねえ~(^_^)

    ふっふっふっ(^_^)

    などとわたしが余裕を見せていられるのも今のうちだけかもしれん……(^_^;)

    久々のエドさんですね。
    やっぱりシリーズ物は、安心感があります。
    このエドさんは、前回のエドさんのつづきと思っていいのですか?
    それとも、昔の探偵エドさん?

    え、それも謎?

    Re: カテンベさん

    長編ですので、どうか2ヶ月ほどおつきあい願います(^_^)

    構想としては前からあったのですが、なかなか書き出せなくて……。

    無事結末にたどり着くようがんばるぞー!

    こんにちは

    無い無い尽くしの中、灼熱の太陽の下だと、激しい日焼けで火傷状態になって、足も倍ほどに腫れ上がって何もできずに果てる、みたいな、やるせないオチなのかと思たら続きものなんですね。
    続きを楽しみにしてます(o^^o)

    Re: 黄輪さん

    待っていてくださってありがとうございます(^_^)/

    この長編は、「どうしてこんなことになったのか」をエドさんが探す旅ですから、どうかゆるりとお待ちくださいね~!!(^_^)

    このシリーズ、待ってました!

    いきなりピンチですね。
    一体どうしてこうなったのか……。
    今後の展開が楽しみです。
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