「エドさんとふしぎな毎日(童話)」
    エドさんと君のための冒険(児童文学・特別長編・完結)

    エドさんと君のための冒険 1-7

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    第一章 海の冒険 7

     どんどん大きくなってくる島影を望遠鏡で眺めていた熊ひげ船長は、ごわごわしたほおひげをなでると、口笛を吹きました。

    「誰が住んでいるのか知らないが、すごい島だ。ジャングルの木々がどれもこれもみんな、たわわに実をつけている。ココナツ、マンゴー、見たこともないような果物まで。よだれが出てきそうだ」

    「でも、ボートで降りられる人間には限りがありますぜ、船長」

    「いわれなくてもわかっているさ。必要最低限の人数で行く。人選だが、魔法使いには敬意を払わなくちゃならんからおれが行く。それから……」

     そこまでいったとき、船長の口が大きく開きました。

    「煙の形が変わった!」

     エドさんは文章を読みました。

    「『船長ト探偵以外ノ上陸ヲ禁ズ』?」

    「そういうことらしいな。探偵、お前さんも呼ばれているようだぜ」

     エドさんは、堅い表情でうなずきました。

    「わたしも呼ばれているなら、行きましょう。船長をひとりで危険にさらせません」

    「よくいった。ボート用意! いつでも下ろせるようにしておけ! 果物を山ほどみやげに持って帰るから、楽しみにしてろよ!」

     船は、謎の島の近くで錨を下ろしました。

     エドさんと熊ひげ船長を乗せたボートが、滑車とロープでするすると降ろされていきます。エドさんと船長はオールを握りました。

    「探偵、ボートをこいだことは?」

    「昔、どこかでこいだことがあるような気もしますが、思い出せません」

    「しかたない。おれが見本を見せるから、お前さんもそれに合わせてオールをこげ。せいの、いちに、いちに、の呼吸だ」

    「いちに、いちに、ですね」

     うまくこげる自信はありませんでしたが、人生何事も経験です。エドさんは深呼吸すると、ふたりには大きすぎるボートを船長とともに操り始めました。

    「いちに、いちに! 筋がいいぞ、探偵!」

    「ありがとうございます、船長。しかし重いものですね、オールって」

     ふたりが力を合わせてこぐと、ボートはゆっくりと前進し、砂浜に乗り上げて止まりました。

    「陸はひさしぶりだな」

     先に下りた熊ひげ船長は、そういうと足を踏み鳴らしました。

    「安心しろ、きちんと堅い地面だぞ」

     エドさんもボートを降りました。

    「いったい、招待主はどこに住んでいるんでしょう?」

     エドさんはきょろきょろとあたりを見回しました。すると、ジャングルの木々が、急に動き、トンネルのような一本の道ができたではありませんか。

    「歓迎してくれるみたいですね」

     エドさんは、勇気を出してトンネルに足を踏み入れました。熊ひげ船長も後に続きます。ふたりは足元に気をつけながら進んでいきました。

     トンネルは、一本の大木のところで終わっていました。しかし道は終わりではありませんでした。木の上から、縄ばしごが垂れ下がっていたからです。

    「先に登ります」

     エドさんは、切れないことを確かめるように、一歩一歩縄ばしごを登っていきました。

     それにしても、やけに長いはしごです。この木って、こんなに高かったのだろうか、そう思って周りを見たとき、エドさんはびっくりして縄ばしごから手を離しそうになりました。いつの間にか、周囲はのどかな田園の風景に変わっていたからです。足元は田舎道に変わっていました。縄ばしごから足を下ろすと、しっかりとした堅い地面の感触がありました。エドさんは縄ばしごを登るのをやめ、道をたどることにしました。なぜなら、その道の先に、ひとり住まいにぴったりな、小さな家があったからです。招いてくれたのが誰であれ、そこに住んでいるものと考えるべきでしょう。

     歩き出したエドさんの後ろで、わっ、と叫ぶ声がしました。熊ひげ船長もはしごを登ってきたのです。

    「魔法か!」

    「そうみたいですね」

     道を進み、ふたりはその小さな家の扉の前に立ちました。

     エドさんは恐る恐るノックをしました。

    「お入り」

     老婆の声がしました。どこかで聞き覚えがある声だと思いつつ、エドさんはいわれるがままに扉を開け、中をのぞきこみました。

    「あっ! あなたは!」


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    Re: ぴゆうさん

    物語の構成上、あまり美人を出すわけには(笑)

    それに、魔女の年齢や正体は、容易にはつかめないものです。化粧を落として背筋を伸ばせば……いや女性は怖い(笑)

    ちなみにこのお婆さんも「探偵エドさん」に出てきています。「バッジを見つけろ」の回ね(^_^)

    NoTitle

    老婆だった・・・
    きっとステロタイプの鼻曲がりのお婆ちゃんでしょうか。
    しかし、魔女って昔は老婆が多かったけど
    今は妖艶なタイプが多く見受けられるようになったよね。
    それも時代の流れなのでしょうか
    魔女も見た目重視になってきているのかね。
    ここでは懐かしいようなタイプのようで
    ある意味、安心して見守れるような
    ぷぷ
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