映画の感想
野村芳太郎監督作品「張込み」見た
面白そうだから参加してみた「秋の夜長のミステリー映画大会」、けっこう悩んだ末に野村芳太郎監督の「張込み」にした。1958年度作品である。モノクロキネマスコープ作品。原作が松本清張である以上、ミステリーじゃないなんていわせないもんね。
本来ならば野村芳太郎監督でも「事件」にする予定で、DVDもすでに借りていたのだが、もろもろの都合で、8日に合わせて見ることができなかった。なぜなら、辛抱たまらず、先月のうちに見てしまったのである。いやー、人間なにがあるかわからないものである。ついでにいえば、昨日7日ももう一度「事件」を見てしまったのだが、実に面白い作品だった。感想記事はすでに書いたので、そちらについては後でUPする。
さて、なぜ「張込み」にしたのかというと、近所のレンタル屋でDVDを漁ってみたのだが、スリラー系やサスペンス系はけっこうあるのだが、わたしの好きなタイプのミステリ映画は、ほとんど壊滅していたのである。ショッキングシーンやゴアシーンなどを見るとひきつけを起こすたちなので、ほんと、探すのにひと苦労である。ようやくのことに松竹の「松本清張シリーズ」と野村芳太郎監督の名前を見つけ出したときにはまさに地獄に仏であった。
「事件」並みの壮絶な人間ドラマがあるんだろうなあ。あまり重苦しいのはイヤだなあ、と思いつつ見始めたのだが、この映画……もしかしてコメディじゃないのか?
冒頭の満員の急行列車で東京から佐賀県まで真夏の中を20時間かけて移動する長旅の様子からして、吹き出しこそしないもののにやにやさせるシーンがかなりある。当時は冷房なんかあるわけがない。リアリズム追求のせいだろうが、暑さにもう嫌になって背広ネクタイはおろかワイシャツまで脱いで、上半身下着姿で、息もたえだえの状態で列車に揺られていく刑事が気の毒である。
拳銃を持った逃亡中の犯人が、かつての女と接触するかもしれない目的の家を監視するのにまさに「おあつらえむきの」宿屋があったり、宿屋の宿賃を、身分を隠しているとはいえ刑事たるものが値切ったり、脚本の橋本忍氏、リアリズム追求の御旗のもと、完全に楽しんでるな。
そこまで延々とどこかのんきに捜査をしていたのが、主人公の柚木刑事の「張込みだ」というセリフとともにシリアスなテーマ曲が流れ、荒々しいタイトルが出てきて急に緊迫感のただ中に放り込まれるところは、さすが野村芳太郎監督である。
そこからのストーリーはあえて書かないが、松本清張の原作短編には絶対にないだろ、とツッコみたくなる唐突なギャグなんかがあったりして、かなり面白く見入ってしまった。
もちろん、そういったところを抜きにしても、スリリングなシーンやサスペンスフルなシーンもしっかりあり、見ごたえある作品であることは保証する。
しかし、宮口精二演ずる、勤続二十年になる仕事の虫のような、口が達者な刑事から、あの「七人の侍」の寡黙な剣豪を思い出すのは難しいよなあ。
でも「張込み」ってこんな話だったっけ。読み直してみようっと。その前に「事件」を読まなければならないのだか。
本来ならば野村芳太郎監督でも「事件」にする予定で、DVDもすでに借りていたのだが、もろもろの都合で、8日に合わせて見ることができなかった。なぜなら、辛抱たまらず、先月のうちに見てしまったのである。いやー、人間なにがあるかわからないものである。ついでにいえば、昨日7日ももう一度「事件」を見てしまったのだが、実に面白い作品だった。感想記事はすでに書いたので、そちらについては後でUPする。
さて、なぜ「張込み」にしたのかというと、近所のレンタル屋でDVDを漁ってみたのだが、スリラー系やサスペンス系はけっこうあるのだが、わたしの好きなタイプのミステリ映画は、ほとんど壊滅していたのである。ショッキングシーンやゴアシーンなどを見るとひきつけを起こすたちなので、ほんと、探すのにひと苦労である。ようやくのことに松竹の「松本清張シリーズ」と野村芳太郎監督の名前を見つけ出したときにはまさに地獄に仏であった。
「事件」並みの壮絶な人間ドラマがあるんだろうなあ。あまり重苦しいのはイヤだなあ、と思いつつ見始めたのだが、この映画……もしかしてコメディじゃないのか?
冒頭の満員の急行列車で東京から佐賀県まで真夏の中を20時間かけて移動する長旅の様子からして、吹き出しこそしないもののにやにやさせるシーンがかなりある。当時は冷房なんかあるわけがない。リアリズム追求のせいだろうが、暑さにもう嫌になって背広ネクタイはおろかワイシャツまで脱いで、上半身下着姿で、息もたえだえの状態で列車に揺られていく刑事が気の毒である。
拳銃を持った逃亡中の犯人が、かつての女と接触するかもしれない目的の家を監視するのにまさに「おあつらえむきの」宿屋があったり、宿屋の宿賃を、身分を隠しているとはいえ刑事たるものが値切ったり、脚本の橋本忍氏、リアリズム追求の御旗のもと、完全に楽しんでるな。
そこまで延々とどこかのんきに捜査をしていたのが、主人公の柚木刑事の「張込みだ」というセリフとともにシリアスなテーマ曲が流れ、荒々しいタイトルが出てきて急に緊迫感のただ中に放り込まれるところは、さすが野村芳太郎監督である。
そこからのストーリーはあえて書かないが、松本清張の原作短編には絶対にないだろ、とツッコみたくなる唐突なギャグなんかがあったりして、かなり面白く見入ってしまった。
もちろん、そういったところを抜きにしても、スリリングなシーンやサスペンスフルなシーンもしっかりあり、見ごたえある作品であることは保証する。
しかし、宮口精二演ずる、勤続二十年になる仕事の虫のような、口が達者な刑事から、あの「七人の侍」の寡黙な剣豪を思い出すのは難しいよなあ。
でも「張込み」ってこんな話だったっけ。読み直してみようっと。その前に「事件」を読まなければならないのだか。
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~ Comment ~
Re: 宵乃さん
主演は大木実氏です。でも助演の宮口精二氏のほうが存在感あったな(^_^)
ヒロインは高峰秀子さんで、難しい役を見事な演技で演じております。
普通の目で普通に見れば、濃密な人間ドラマの刑事ものなんですけど、今の目で見れば、昔はよかったな、と(^_^)
ヒロインは高峰秀子さんで、難しい役を見事な演技で演じております。
普通の目で普通に見れば、濃密な人間ドラマの刑事ものなんですけど、今の目で見れば、昔はよかったな、と(^_^)
NoTitle
松本清張原作の映画といえば、かえるまま的には「砂の器」が、ダントツなんですが、かなり重いものがありますね。
「張り込み」は面白そうです。見たことないので是非みてみたいです。
かえるままは、ポールさんおすすめの「情婦」見ましたよ。
本当に面白かったです。
久々に、う〜んと唸らせる映画に出会えました。ご紹介ありがとうございます。
「張り込み」は面白そうです。見たことないので是非みてみたいです。
かえるままは、ポールさんおすすめの「情婦」見ましたよ。
本当に面白かったです。
久々に、う〜んと唸らせる映画に出会えました。ご紹介ありがとうございます。
NoTitle
初のご参加ありがとうございます!
「事件」の方は辛抱たまらん!でしたか~(笑)
そんなに面白い作品なら、いつかぜひ観てみたいです。感想記事も後で読ませていただきますね。
こちらは意外にも笑える作品だったのですね。
松本清張さんの本は読んだ事がありませんが、原作のエッセンスを大事にしながら、監督が上手く料理したという感じでしょうか?
>宮口精二演ずる、勤続二十年になる仕事の虫のような、口が達者な刑事から、あの「七人の侍」の寡黙な剣豪を思い出すのは難しいよなあ。
お~、主演は久蔵の方ですか!!
随分とイメージの違う役をこなしてらっしゃるようで、観てみたいような、久蔵のイメージが壊れそうでちょっと怖いような(笑)
一生懸命DVDを探してのご参加、本当にありがとうございました♪
これからもお誘いにうかがいますので(必要ない場合は仰って下さい)、お時間があれば、また一緒に映画を楽しみましょう。
では、これからもどうぞよろしくお願いします。
「事件」の方は辛抱たまらん!でしたか~(笑)
そんなに面白い作品なら、いつかぜひ観てみたいです。感想記事も後で読ませていただきますね。
こちらは意外にも笑える作品だったのですね。
松本清張さんの本は読んだ事がありませんが、原作のエッセンスを大事にしながら、監督が上手く料理したという感じでしょうか?
>宮口精二演ずる、勤続二十年になる仕事の虫のような、口が達者な刑事から、あの「七人の侍」の寡黙な剣豪を思い出すのは難しいよなあ。
お~、主演は久蔵の方ですか!!
随分とイメージの違う役をこなしてらっしゃるようで、観てみたいような、久蔵のイメージが壊れそうでちょっと怖いような(笑)
一生懸命DVDを探してのご参加、本当にありがとうございました♪
これからもお誘いにうかがいますので(必要ない場合は仰って下さい)、お時間があれば、また一緒に映画を楽しみましょう。
では、これからもどうぞよろしくお願いします。
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Re: かえるママ21さん
人気があるんでしょうね「砂の器」……まあドラマで何度となくやっているので筋は知っていたつもりですが、松本清張先生の原作を読んで腰を抜かしました。あれ、映画のシナリオがよくできていたからスタンダードナンバーになりましたが、原作の長編は、清張先生の作品のなかでも一二を争うトンデモ作品です(^_^;)
「張込み」はこないだ図書館に行ったら本があったので読んでみましたが、こちらも映画のほうが面白かったな。原作短編は、ひたすら地味で硬質な話でした。「顔」や「一年半待て」などと比べると、小学生が読んでもわかるわけない作品であります。