私家版オールタイム・裏ベスト(映画)

    邦画裏ベスト2「ガメラ対宇宙怪獣バイラス」

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     「ゴジラ対メガロ」と同様、この映画も放映権料がバカみたいに安かったのだろう、夏休みとなるといやというほどテレビにかかり、わたしは何度となく見た。

     この映画を撮る前に、監督の湯浅憲明氏は、「ガメラ対ギャオス」という、昭和ガメラシリーズ屈指の傑作映画を撮っている。映画は大当たりし、大映のガメラは、東宝のゴジラと並ぶ怪獣映画界のもう一匹の横綱となったといえよう。

     だがしかし、そんなガメラに対して世間の風は冷たかった。いや、世間の風は好意的だったが、大映の風は冷たかったのである。投資の失敗で業績が左前になっていた大映は、湯浅監督に、「ガメラ対ギャオス」の三分の一の予算で、ドラマパートからひっくるめて全部撮り、そして収益を上げろ、という無茶にもほどがある命令を下したのだ。

     そんなことはつゆ知らず、昔見た「ギャオス」の続編のガメラだ、楽しみだ! と思って、小学生だったわたしはテレビの前に座り込んだ。

     幸運なことに、湯浅監督は、のちにテレビドラマのほうへ活動の場を移してヒットを量産するのであるが、そのことからもわかるように、低予算で面白い映画を撮ることに対して超人的な才能の持ち主だった。

     小学生のわたしは、まさかこのどきどきして面白い怪獣映画が、そんな低予算で撮られているのだとは思いもしなかったのだから、スタッフ陣、よくがんばったものである。

     しょっぱなに登場するバイラス星人の円盤のかっこいいこと。あのデザインはなかなかできるものではない。

     バイラスのデザインもいい。ぶっちゃけ、ただのイカなのだが、その頭をバナナの皮のように裂くことで、あれほどまがまがしい怪獣になるとは誰が想像しただろうか。

     そしてなによりも、タイトルがどーん! と出てきたとたんに大音響で鳴り出すガメラ・マーチ! 気分は最高である。社長がいきおいで書いたあんなバカ歌詞があれほどノリノリな歌になるのだから、作曲家は讃えられてしかるべきであろう。しかも歌っているのは、スタッフが適当にかき集めてきたそこらへんの子供、というのだから徹底している。予算を湯水のように使えて「ゴジラ対メガロ」みたいな映画を撮ってしまう東宝の……いや、いうまい。

     とにかく、子供のうちに一度は体験しておくべき映画である。自分の中の子供が剥落していくたびに、この映画の輝きが薄れていくようで、悲しいのであるよ……。

     そういう意味で、今見たらフェイバリットにもならないだろうが、かつてのわたしを存分に楽しませてくれた、真の意味での子供だまし映画、後期昭和ガメラシリーズを代表して、「ガメラ対バイラス」を裏ベスト2位にしたいと思う。

     そしてこのときには、まさか長い時を超えて、ガメラに再び会える日が来るなどとは思っていなかった。平成ガメラが、昭和ガメラと同じく低予算ながら、誰も思っていなかったほどのヒットをたたき出すまでには、十年以上の時間が必要だったのである。

     ガーメラー! ガーメラー! 強いぞガメラ、強いぞガメラ、強いぞガーメーラー!
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    ~ Comment ~

    Re: しろくろShowさん

    この映画にしろ、ギロンにしろジャイガーにしろジグラにしろ、つかみは完璧ですよね。湯浅監督はがんばられたと思います。

    ガラシャープが幻になってしまったのは残念無念……(T_T)

    NoTitle

    連投スイマセン<(_ _)>

    たまたま機会があって7月に映画館で再見してきました。ものすごい久しぶりだったけど楽しかったですねー・・・

    オープニングタイトル終わるまではこの映画本気でカッコ良い!と思ってしまいましたよ(^_^;)

    ※そのときのエントリーをトラックバック打たせて頂きました。

    Re: レバニラさん

    まあとりあえずおだやかに行きましょう(わたしがいうか(^^;))

    この手の話はやはり酒を飲みながらああだこうだいうのが楽しいのですが、あいにくと酒が飲めない身体になっちまいましたからねえ……。

    いま食べている米を食べきったら、さっそく秋田農友会に注文したちょっと上等なあきたこまちにとりかかるつもりです。年明けには食べられるかな? どきどき(^^)

    NoTitle

    >しかし、平成ガメラを単純にオタに媚びた映画とするのはどうかと思います。平成ガメラ信者なもので……。

    じゃあ、この部分は撤回させて頂きます、特撮シーンの「見せ方」は確実に日本特撮の最高峰だと思いますし、
    「オタ媚び映画」ではなく「昭和ガメラや平成ゴジラを否定する材料として了見の狭い特オタに祭り上げられた映画」と言い直しましょう。

    小さき勇者たち~までdisりやがった時点で奴らのオタとしての底の浅さってもんが分かったってな物ですよ、ケケケ・・・

    Re: レバニラさん

    たしかに昭和ガメラに出てくる怪獣のデザインのあのシュールさ手前のバカバカしさはすばらしかったですね。ギロンはわたしも大好きです。

    しかし、平成ガメラを単純にオタに媚びた映画とするのはどうかと思います。平成ガメラ信者なもので……。

    「沈黙の艦隊」の影響がまだ大きかった平成ガメラ上映当時、バイラスとガメラと海上自衛隊の潜水艦の三つどもえの水中戦を書こうかと本気で考えましたが、知識のあまりの不足と、水中戦ならジグラじゃない? という思いの前にやめました。とほほ。

    NoTitle

    正直言って、小賢しいオタ媚び映画に成り下がった平成ガメラなんかよりよっぽど面白いですよ>昭和ガメラ

    バルゴンを見れば、まるで愛らしい少女と出会ったかのような胸のときめきを覚えるし、
    ギロンなんか見た瞬間、本気で小躍りしたくなるくらい、昭和ガメラの怪獣って馬鹿馬鹿しさスレスレのセンスオブワンダーな世界が広がっていて、
    きっと人が死んだ後に行く天国って、昭和ガメラみたいな世界ですよ。

    バイラスなんて特に機能的な体の作りしてますよね、
    歩くのにも泳ぐのにも、格闘戦にもオールマイティに使える6本の触手に加えて、頭の槍は普段は柔らかく、いざとなれば固くもなるという、まさに“男の武器”と言うに相応しい代物で、
    一見しただけで分かる強さと、それでいて生物的なリアリティーを持ったバイラスという怪獣を考え付いた昭和ガメラのスタッフって本気で天才だと思いましたね。

    Re: 矢端想さん

    成田先生という芸術家が円谷プロに協力してくれたことはなによりの幸運でした。

    成田先生が去った後のウルトラ怪獣は……いや、いいますまい。とほほ。

    NoTitle

    円谷では既存動物フォルムの呪縛から自由だった所が魅力ですね。グリーンモンスとか(これはただ植物をでっかくしただけなんでしょうけど)。成田先生とかの才能のおかげかな。

    Re: 矢端想さん

    ウルトラシリーズでいちばんショッキングなデザインの怪獣は、「ブルトン」で、次点が「プリズマ」と「バルンガ」かな。

    どれも好きです(^_^)

    ウルトラセブンは、ボディスーツ型の宇宙人のほうに魅力があったから、シュールな怪獣が少なかったのが残念ですね。もっとも、話自体のぶっ飛びかげんでは他をはるかに圧倒していますが。

    でもゴジラでの「ファイアードラゴン」だけは許せないぞ(笑)

    NoTitle

    > 真の意味での子供だまし映画
    子供心にそう思いましたねえ。怪獣が子供の友だち?なんじゃその恥ずかしい映画・・・と子供心に思ってました。「バイラス」も小学生(自分)が適当に考えたようなベタな怪獣の名前っぽくて恥ずかしい。「ギャオス」などはセンスの良い名前なのだが。
    でも「怪獣=恐竜型」から逃れられない思考を面白くないと思っていた僕は、ゴジラよりガメラが好きでしたし、このショッキングなバイラスのデザインにもわりと狂喜していました。恐竜型でないという意味で、デザインではヘドラなんかも好きでしたし、ビオランテも好きです。

    Re: miss.keyさん

    この映画では、予算削減のために、ボーイスカウトとタイアップしていたそうであります。苦肉の策ですな(^^;)

    とにかく、この映画は子供心にどきどきしました。バイラス星人が合体するシーンなんか、ほんとぞくぞくしましたからねえ。

    ガメラがお好きでしたら、唐沢俊一「ガメラを創った男―評伝 映画監督・湯浅憲明」 (アスペクトセレクション)という本がおすすめです。とにかく湯浅監督の語る当時の話が面白くてたまりません(^^)

    ティム・バートンにつきましては、「バットマン・フォーエヴァー」が好きですので、「マーズ・アタック!」もいつか見ようと思っているのですが、なんとなく手が出ない(^^;)

    ハハハ、ギャオスの肉、臭くて食えねえや

     ギロンはギャオスの肉を食べようとしてポイ。それを見ていた子供のセリフでした(合ってる?)。子役の棒読みセリフの酷さに辟易していた当時の私でありますが、予算不足でその辺の子供を引っ張ってきてたんですな。笑って逃げる群衆と言い、言われてみれば成程納得。でも何でだろう。当時の主要な子役はほぼ必ずと言って良い程短パンにジャケット(と言うか背広の上)にネクタイを付けていたイメージがあります。
     で、バイアスですが、宇宙人の首が飛んで合体する様はちょっとびっくり。あの宇宙船のカビの生えた効果音と言い、馬鹿みてーとか突っ込みいれながらも、夢中になって見ていましたよ。
     何にせよ、これが楽しめるのであれば、ティム・バートンのマーズアタックもお奨めですぜぇ。
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