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    私家版オールタイム・裏ベスト(映画)

    邦画裏ベスト4「ルパン三世(ルパン対複製人間)」

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     考えてみれば不幸な作品である。宮崎駿監督が「ルパン三世 カリオストロの城」を撮りさえしなければ、この映画はここまで日陰に追い込まれはしなかったろうに。

     劇場公開時の興行収入で勝ち、テレビ版第一シリーズの正当なる後継者であるにもかかわらず、いまルパン三世の映画といったら、十人中十人が「カリオストロの城」と答えるだろう。

     そういう意味で、この映画ははっきりと「裏」である。裏ベストになるために生まれてきたような映画である。

     どうしてこの映画がこんな道を歩くことになったかを考えると、まず第一に、この映画が、「本格的なSF映画」として作られてしまったことが挙げられるだろう。娯楽作品として何も考えずに楽しむには、この映画はSFすぎるのである。サイエンスではなくてスペキュレイティヴな意味でのSF。フィリップ・K・ディックのごとき悪夢世界を、ルパン三世というフォーマットでやってしまったのが本作であり、なんであれ最終的にそういう作品は、「マニア向け」の烙印を押されてしまうのである。実際に、マニアの中ではこの映画の評価は非常に高い。それなのに常に「カリ城」の影が立ちふさがるのである。

     「まったく、この映画はこんなにも面白いのに、テレビで放映されるのは『カリ城』『カリ城』『カリ城』『カリ城』、もうちょっとバランスを考えろよ! もういい、レンタル屋へ行く!」とレンタル屋へ行きこの映画のDVDを借りてひとり見ると、「やっぱりカリ城にしておくべきだったなあ……」というのが最初の感想だったりする時点で、実に救われないというか不幸な星というか。

     もうひとつ、この映画にとって不幸だったのは、時代が映画に追いついてしまい、「クローン」という技術そのものが当たり前になってしまった、少なくともエンターテインメント作品としては「クローン人間」が当たり前になってしまった、ということにあるだろう。改題されたタイトルにも、堂々と「複製人間」と書いてあるし。描かれていたテクノロジーが中途半端に時代遅れになってしまったSF映画、それを見るのはある意味実につらい。

     それでも、「神」に対して戦いを挑むためのルパンの最大の武器が、銃でもなく、体術でもなく、徹底した無神論に基づく合理主義だというのは、実にかっこいいと思うのだが。少なくとも、しごく簡単に「魔法」や「超能力」を持ち出すよりは、何倍もかっこいいと思う。ある意味、もっとも哲学的なヒーローではないのだろうか。

     結末のどう考えてもデッドエンドに見えるシーンにかぶさる能天気な「ルパン音頭」もすばらしい。三波先生、やってくれます。

     こうして書いていると、やっぱりこの映画は傑作中の傑作だ! どうしてマイベストに入れなかったんだ! これは選択ミス以外の何物でもないのではないか?

     ……と思ってレンタル屋に行ってこの映画を借りてきて見ると、最初に出てくる言葉が「やっぱりカリオストロの城にしておくんだった」ということになるのだ。個人的にはマイフェイバリットの一作なのだが、やはりこの映画は裏ベスト以外のどこにも持って行きようがないのだ。とほほ。

     ルパン、すまん。
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    ~ Comment ~

    Re: kozixさん

    コメントありがとうございます。

    そうかもう40年になるのか。一気に齢をとった気分(^_^;)

    レーザー光線を斬鉄剣のかけらではね返すルパンはかっこよかったなあ!

    どう考えてもデッドエンドの結末も衝撃的でありました。子供のころは怖くて怖くて(^_^)

    NoTitle

    こんばんは!
    カリ城、好きですがルパンらしくないんですね。そもそも服の色が違う(笑)。僕は先に見たのが「くたばれ!ノストラダムス」だったので、SFも銃撃もないから違和感が大きいです。
    「ルパン対複製人間」といったら、でっかい脳みそとラストの銭形と二人三脚で逃走するとこですね。あれが40年ほど前のものなのが信じられません!

    Re: blackoutさん

    インパクトでは「複製人間」だけど娯楽作品としては「カリ城」なんですよね。

    それは第一シーズンのルパンと第二シーズンのルパンとの視聴率の差ともつながってくるのですが。

    Re: 面白半分さん

    そこからあんな思弁的な悪夢世界が始まるとは、でありますな。

    わたしは次元がルパンの合理精神の前にキレてしまうところが好きです。あそこは人間の本質をとらえた名シーンだと思います。(^_^)

    NoTitle

    これ、両方とも観ました

    個人的にはどっちもありですね

    インパクトで言えば、やはり複製人間ですね

    色々と刺激的なシーンが多いですからねw

    NoTitle

    「いやあ、それがなぁ。処刑された俺ってのはどうもホンモノらしいんだとぉ。」
    「いただけねえ話だなぁ。まったく。」
    ってところが好き

    Re: えむさん

    この作品も名作なんですよほんと。「カリオストロの城」が出てこないで、こちらの路線でアダルティなルパン映画が作られ続けていたら、深夜アニメのような大人向けのアニメ作品が出てくるのは五年くらい前倒しされていたんじゃないか、と思うことがあります。

    アイソン彗星は残念でした……双眼鏡持ってわたしも早起きしようか、と思っていたクチですから(^^;)

    前世紀のハレー彗星のころも残念だったなあ。日本からはまるで見えなくて(^^;)

    Re: レルバルさん

    この微妙な悲しさですよね。

    「あ、コーラ? ぼくにも一杯飲ませてよ」

    といわれて、注いでいたのがドクターペッパーだったときのような居心地の悪さというか(笑)

    NoTitle

    こんばんは^^

    ルパン....カリオストロの城しか記憶にない私...
    こういう話もあったんですね。逆にすごく見たいです。

    星ね〜...
    アイソン 蒸発しちゃいましたよ...涙
    実はすごく撮る気満々でして、結構 ショックです〜。

    NoTitle

    分かりすぎて辛いです。
    これは名作。

    Re: limeさん

    表ベストでも書きましたが、普通の人間には「カリ城」以上に「ただ純粋に面白いだけ」の映画を撮ることは無理です(^^;)

    そんな相手と戦うのですから、いかに第一作といっても分が悪かったというか。

    それ以上に、「カリ城」は、文部省推薦といわれても納得できる内容ですので、アダルトな「複製人間」は、上映後は表面に出てくるチャンスも少なかったんでしょうな。

    でも発表の順番が逆だったら、ここまでルパンの映画やテレビスペシャルが出てくることもなかったでしょうし。

    世の中難しいものであります。

    Re: 宵乃さん

    「カリ城」は冒険活劇映画として最高なんですよ。

    個人的に「カリ城」「複製人間」の次に印象に残っているのは「バビロンの黄金伝説」ですね。

    ラストのトリックの単純明快さと意外性がなんとも。

    でもあれもくせがある作品だったからなあ(^^;)

    Re: カテンベさん

    第一期は、ファンがことあるごとに「原点に帰れ!」と叫ぶ対象として存在するのですが、第二期があまりにも視聴率的に成功してしまったので……。

    こないだ深夜アニメでやっていた「峰不二子という女」なんか、まさに搦め手から第一期を目指した感がありますね。評価はまっぷたつみたいですけど。

    NoTitle

    ああ、なんだか記憶の片隅にあります。SF色の強い、あれですね。
    SFの辛いところは、時代がそれに追いついて、なんだかちょっと古臭く思われてしまうところかも・・・。

    カリオストロの城は、ほかの作品を日陰に追いやってしまう弊害をもたらしたのですね。
    でもやっぱり、あれを超えるルパンは、記憶にないですね^^;

    NoTitle

    マモーとかいうのが出てくるやつですよね?
    あの人のインパクトはすごかったです(笑)

    >宮崎駿監督が「ルパン三世 カリオストロの城」を撮りさえしなければ、この映画はここまで日陰に追い込まれはしなかったろうに。

    確かにそうですよね~。わたしも「カリ城」を再見するまでは、ルパン映画といえばこれが真っ先に思い浮かんでたのに、再見後はやっぱり「カリ城」です。
    まあ、シリーズ全部は見てないんですけど…。

    あと印象に残ってるのは、「風魔一族の陰謀」かな。五右衛門の結婚っていうのが衝撃的で(笑)
    明らかに五右衛門が主役っていうタイトルがふたつもあるのが、次元ファンとしては歯がゆいです!

    TVスペシャルのルパンて第二期の赤ジャケルパンのイメージのばっかりになっていて、第一期は置き忘れられたものになってるのと同じようなもんなんでしょうか?
    ルパン三世の人気が保たれているけど、それは別のルパンだったりするからこそ発生する残念感でもあるんでしょうね
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