FC2ブログ

    「剣と魔法の国の伝説」
    剣と魔法の国の伝説 プロローグ

    剣と魔法の国の伝説 プロローグ・その4

     ←剣と魔法の国の伝説 プロローグ・その3 →剣と魔法の国の伝説 第1章・その1
     わたしは自分がタカをくくっていたことに気づいた。

     ふつう、ボードゲームは、ざっと「プレイの手順」を流し読みし、コマを動かしていれば、なんとなくだが感覚がつかめてくるものだ。あとは常識を働かせれば、なんとかなる。

     しかしこのゲームは……。

     難物中の難物だった。難易度レベル9に嘘はなかった。

     わたしはルールを読んでいるうちに、どこがどのようにわからないのかすらもわからなくなっていた。

     ステップアップの第一段階のところを遊ぶまでに、まあ一か月もあればなんとかなるかな、と思っていたが、とんでもなかった。ルールの迷宮に入っていくばかりだった。

     これは、愚直なまでに「全訳」をしなければプレイできないゲームだったのだ。要点をちょいちょいとつまみ読みするだけでは歯が立たないゲームだったのだ。

     大学生活の余暇のすべてをこのゲームに捧げてしまうことはできなかった。それにはやりたいことが多すぎた。

     読みたい本、見たいアニメ、書きたい小説、ほかのやりたいゲーム、ハマりつつあった麻雀……山積する一方の家事と炊事。そしてもちろん勉強。

     このゲームはそれらを片付ける間ちょっと横に置いておくつもりが、いつの間にかほったらかしになっていた。

     在学期間はあっという間に過ぎて行った。哲学の研究者になるために、大学院を目指していたわたしだったが、そのころには自分が学者には向いていないということもわかり始めてきた。

     わかったときには遅すぎた。

     気がついたときにはわたしは精神を病み、大学の授業にも出なくなっていた。

     そのころは、ひとりゴミ屋敷同然のアパートで、昼間に眠り、宵闇が落ちてから這い出して、夜中の街をふらふら歩き、日の出るころにアパートに帰る、という生活をしていた。

     自分でもこれはヤバいと思っていたのだが、生活は乱れる一方だった。

     なにせ授業に出るのが怖くてたまらないというのだからしかたがない。望んで入った学部ではあったのだが。

     やがてにっちもさっちもいかなくなったわたしは、大学を中退し、実家に戻って療養生活を送ることになった。

     帰郷の際、「MAGIC REALM」はAに返した。

     インターネットを覚えて、ようやく趣味活動レベルなら人並みくらいにできるようになる日が来るなどとはそのときのわたしは考えることもできなかった。

     それには十年近くの時間が必要だったから、考えることができなくて当たり前といえば当たり前だったのだが。
    関連記事
    スポンサーサイト






     関連もくじ一覧 ▼ 
    総もくじ 3kaku_s_L.png ほら吹き大探偵の冒険(児童文学)
    総もくじ 3kaku_s_L.png 夢逐人(オリジナル長編小説)
    総もくじ 3kaku_s_L.png 残念な男(二次創作シリーズ)
    総もくじ 3kaku_s_L.png ショートショート
    総もくじ 3kaku_s_L.png 紅探偵事務所事件ファイル
    総もくじ 3kaku_s_L.png 銀河農耕伝説(リレー小説)
    総もくじ 3kaku_s_L.png 剣と魔法の国の伝説
    もくじ  3kaku_s_L.png 風渡涼一退魔行
    もくじ  3kaku_s_L.png 鋼鉄少女伝説
    総もくじ  3kaku_s_L.png ほら吹き大探偵の冒険(児童文学)
    総もくじ  3kaku_s_L.png 夢逐人(オリジナル長編小説)
    総もくじ  3kaku_s_L.png 残念な男(二次創作シリーズ)
    総もくじ  3kaku_s_L.png ショートショート
    総もくじ  3kaku_s_L.png 紅探偵事務所事件ファイル
    総もくじ  3kaku_s_L.png 銀河農耕伝説(リレー小説)
    もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
    もくじ  3kaku_s_L.png リンク先紹介
    もくじ  3kaku_s_L.png いただきもの
    もくじ  3kaku_s_L.png ささげもの
    もくじ  3kaku_s_L.png その他いろいろ
    もくじ  3kaku_s_L.png SF狂歌
    総もくじ  3kaku_s_L.png 剣と魔法の国の伝説
    もくじ  3kaku_s_L.png 映画の感想
    もくじ  3kaku_s_L.png 家(
    もくじ  3kaku_s_L.png 懇願
    もくじ  3kaku_s_L.png TRPG奮戦記
    もくじ  3kaku_s_L.png 焼肉屋ジョニィ
    もくじ  3kaku_s_L.png ご意見など
    もくじ  3kaku_s_L.png おすすめ小説
    【剣と魔法の国の伝説 プロローグ・その3】へ  【剣と魔法の国の伝説 第1章・その1】へ

    ~ Comment ~

    Re: LandMさん

    書いていて、この小説をどう着地させるかについて悩んでいます。

    いちおう、「ファンタジー小説として着地させる」結末と、

    「私小説として着地させる」結末と、

    「ゲーム紹介記事として着地させる」結末の三つを考えて、同時並行的に進めていますが、どうもつれるのかわかっていません。

    どこかで交錯することは決まっているのですが、さて、どこで、となると、うーむ、というか。

    まあゆっくりとご覧になってください。和訳も進んでないし……。

    NoTitle

    なるほど。確かにふっとびましたね。。。
    この展開は。
    まあ、この辺はありと言えばありですからね。
    それでも読み続けますが。

    今年一年ご愛読ありがとうございました。
    来年もまたよろしくお願いします。
    管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

    ~ Trackback ~

    卜ラックバックURL


    この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

    • 【剣と魔法の国の伝説 プロローグ・その3】へ
    • 【剣と魔法の国の伝説 第1章・その1】へ