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    「ナイトメアハンター桐野(二次創作長編小説シリーズ)」
    2 闇は千の目をもつ(完結)

    闇は千の目をもつ 24-2

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     余目のパンチは、さすがにきいた。わたしは胃袋からせり上がってこようとする胃液と戦いながら、洞窟をのた打ち回った。
    「早く立て」余目は、わたしが落とした本とペンを拾い上げた。「立って、その除霊とやらをやるんだ。病気で死にたくなければな」
     のた打ち回る間に、わたしは正気を取り戻していった。そうだ、わたしはナイトメア・ハンターなんだ。
     膝をついて起き上がった。
    「余目さん」
     わたしは苦しい息の中からしゃべった。
    「その本をこちらに」
    「どうする」
    「本の夢に入ります。もっと正確にいえば、本に取り付いている過去の霊に同調するのですが」
    「できるの? 桐野先生」
    「やってみる」
     わたしは余目の手の中にある本に精神を集中し、頭の中で正六角形を回転させた……。

     夢の中。本の夢というべきだろうか。そこでわたしは、深い森の中で、鈴木道徳が変化していったであろうそのものと対峙していた。
     それは、巨大なネズミだった。
     わたしは精神を集中し、散弾銃を物象化させた。
     巨大ネズミはらんらんと光る目でわたしを睨みつけると、こちらに飛び掛ってきた。
     わたしは散弾銃の引き金を引いた。
     苦しい戦いだった。病気のうえにひとりだというハンディキャップが重かった。
     不死身かとまで思える巨大ネズミに、わたしは散弾銃を撃ち続けた。
     それでも、飛び道具の力のほうが勝っていたらしく、ネズミの動きはだんだんと弱くなってきた。
     あと一発でとどめだ……。
     わたしが銃を構えたときだった。
     ひとつの声が聞こえた。
    『殺すな……』
     声は、そう語っていた。

     わたしはゆっくりと目を覚ました。
    「桐野先生!」
     声を上げたのは島田春江だった。
    「目が覚めたか」
     余目は、手中の『闇は千の目をもつ』を握ったまま、わたしを見下ろした。
    「失敗したようだな。本を見ればわかる」
     うごめく本を示し、余目は吐き捨てた。
    「余目さん! なんてこというんですか!」
     島田春江が抗議した。
     わたしはそれを遮った。
    「余目さんのいうとおりだ。わたしはやつに深手を負わせた。だが、殺すことはできなかった」
    「なぜだ?」
     余目の強い言葉に、わたしは口ごもった。
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    ~ Comment ~

    >ネミエルさん

    前作にも書きましたが、桐野くんの愛銃は、ヘッケラー&コッホ社のHK502です。書いてからよくよく調べてみたらセミオートのこの銃、公的機関用で民生用じゃなかった(笑)。もちろん彼は、大学の射撃部に所属していたときには単発銃に改造されたバージョンを使用していたのでしょう。

    スラッグ弾は、散弾銃に散弾ではなくライフルのように一発の弾を込めるものですから、ここまで至近距離になるとかえって当たりにくい、という側面があります。桐野くんはナイトメア・ハンターの夢の中の武器という特性をフルに生かして、命中率の高い散弾と、破壊力の大きなスラッグを自在に使い分けて戦っていたのでしょうね。

    ちなみに散弾銃を武器にしたのは、現代日本で合法的に撃てる銃で一番手に入れやすいのが散弾銃であるためです。拳銃はほぼ違法ですし、ライフルの免許は取りにくいですし。
    で、この設定をして小説を書き上げた後で起こったのが例の佐世保の乱射事件。せめて犯人違う武器使えよ、と思いましたねえ。

    散弾銃といえば、やっぱりあれですか?

    ベレッタ SO5シリーズですか!?

    いや~、あれはすばらしいですね~w

    もちろん使っている弾はスラッグ弾ですよね!?

    うは~さすがですね!!

    桐野先生かっこいいです!!

    尊敬します!!

    P.S
    あれ、スラッグ弾であってたか?
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