FC2ブログ

    「夢逐人(オリジナル長編小説)」
    夢逐人

    夢逐人 あとがき

     ←夢逐人 エピローグ 2 →だいきらい!
     2008年、この小説を書いたときは、完全に浮かれていた。数年ぶりに書いた長編二次創作「吸血鬼を吊るせ」「ナイトメア・ハンターの掟」を終わらせ、「自分にもまだ長編が書ける」ということを証明したのが自信につながったのだ。

     小説なら書けるから、どこかの賞に応募しよう、と思って公募を探すと、枚数的に書けそうな賞はライトノベルの賞しかなかった。自分の実力がどの程度なものだか知りたかったので、封筒を同封すると評価を送り返してくれるサービスのある賞を選んだ。

     ところで、わたしはナイトメア・ハンターというゲームが大好きだ。中学生以来、「他人の夢の中で戦う」というアイデアに魅せられたわたしが、自分なりの解釈で、自分なりの登場人物で、「夢の中で戦うヒーロー・ヒロイン」を書こうと考えたのは、当然の成り行きだった。

     当時から病気のため働ける状態では全くなかったわたしは、リハビリ施設のワープロと、自分のパソコンを併用しながら、牛が歩むようなスピードでちくちく書いた。ワープロ専用機である。若い人は覚えていないかもしれないが、文章を作るしか能のない機械である。今のように高機能なパソコンが誰の家にも一般的なものとして存在するようになる前、文章はたいていこれで書かれていた。その遺産みたいな……なにせ前世紀の機械なのだ……ワープロは、幸運なことにフロッピーディスクを介してパソコンとデータのやりとりをすることができた。今考えると奇跡である。

     草稿を書きあげるのに三ヶ月かかった。プリントアウトして友人たちにそれを配り、批評してもらい、推敲し、応募要項にのっとって原稿を綴じ、A4の封筒を買って切手を貼り、投函した。

     自信満々であったのはいうまでもない。アントニオ猪木がいうとおり、「戦う前から負けることを考えるバカがいるか」である。

     何か月もじりじり待ち、ようやく返事がきた。

     どきどきしながら封を開けると、最初に目に飛び込んできたのが、『小説になっていません』という文句だった。

     これはきいた。もっときいたのが、叙述トリックについて『物語とからんでいません』という評価だった。読んでいると思わず跳ね起きる小説を目指したのだが、編集者には「余計な小細工」と映ったらしい。

     とにかくキャラクターからなにから、すべての点で最低点のCクラス。三十路を超えて、人生の転機を本気で考えていた人間にとっては痛いにもほどがある笞である。

     わたしがブログを始める気になったのは、それから一年過ぎてからである。



     いちおうこの小説は、構想では全三巻の予定で書いた。いまだ書いていない第二巻では、もろもろの理由によって時形流の日本舞踊を学ぶことになってしまった迫水晶と、そこに迫る刺客との戦いをメインに、迫水老人に剣術でびしびししごかれる西連寺望ほか主要登場人物それぞれの探索が書かれ、それが第三巻でひとつに収斂する、というはずだったのだが、今となってはどう収斂させるつもりだったかすら片道14万8千光年の大マゼラン星雲のかなたである。もともとそこまで考えていなかったのかもしれないが。

     続きが読みたい、というかたが多かったら続編も書こうかな、という気持ちはあるが、六年前のあのエネルギーが今も残っているかどうかこころもとない。まあその前に書かねばならない原稿もあるし。しばらくわたしのぼんやり状態は続きそうである。わはは。
    関連記事
    スポンサーサイト






     関連もくじ一覧 ▼ 
    総もくじ 3kaku_s_L.png ほら吹き大探偵の冒険(児童文学)
    総もくじ 3kaku_s_L.png 夢逐人(オリジナル長編小説)
    総もくじ 3kaku_s_L.png 残念な男(二次創作シリーズ)
    総もくじ 3kaku_s_L.png ショートショート
    総もくじ 3kaku_s_L.png 紅探偵事務所事件ファイル
    総もくじ 3kaku_s_L.png 銀河農耕伝説(リレー小説)
    総もくじ 3kaku_s_L.png 剣と魔法の国の伝説
    もくじ  3kaku_s_L.png 風渡涼一退魔行
    もくじ  3kaku_s_L.png 鋼鉄少女伝説
    総もくじ  3kaku_s_L.png ほら吹き大探偵の冒険(児童文学)
    総もくじ  3kaku_s_L.png 夢逐人(オリジナル長編小説)
    総もくじ  3kaku_s_L.png 残念な男(二次創作シリーズ)
    総もくじ  3kaku_s_L.png ショートショート
    総もくじ  3kaku_s_L.png 紅探偵事務所事件ファイル
    総もくじ  3kaku_s_L.png 銀河農耕伝説(リレー小説)
    もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
    もくじ  3kaku_s_L.png リンク先紹介
    もくじ  3kaku_s_L.png いただきもの
    もくじ  3kaku_s_L.png ささげもの
    もくじ  3kaku_s_L.png その他いろいろ
    もくじ  3kaku_s_L.png SF狂歌
    総もくじ  3kaku_s_L.png 剣と魔法の国の伝説
    もくじ  3kaku_s_L.png 映画の感想
    もくじ  3kaku_s_L.png 家(
    もくじ  3kaku_s_L.png 懇願
    もくじ  3kaku_s_L.png TRPG奮戦記
    もくじ  3kaku_s_L.png 焼肉屋ジョニィ
    もくじ  3kaku_s_L.png ご意見など
    もくじ  3kaku_s_L.png おすすめ小説
    もくじ  3kaku_s_L.png X氏の日常
    【夢逐人 エピローグ 2】へ  【だいきらい!】へ

    ~ Comment ~

    Re: 椿さん

    ありがとうございます。

    まあ、今から考えれば、酷評されてもしかたないっちゃしかたない作品でもありますが、続きに含みを持たせよう、などとよけいなことを考えたのがいけなかった(^_^;)

    世の中は甘くないってことを思い知らされました。

    でもいまに見てろφ(炎_炎)

    NoTitle

    世の中は厳しいですね;;

    私も高校時代に一回、十二年前くらいに一回、ラノベ系の賞に応募してどちらも一次で撃沈;;いたしました。
    自分ではそれなりに自信作でしたから、結構ショックも大きかったのですが。

    こんなに面白い「夢逐人」が「小説になってない」と言われてしまうなら……そりゃ私の話とか落ちるわ。もはや資源の無駄レベルでしょう。
    なんかものすごく納得がいきスッキリしました。

    それでも書きたいからまた書き続けるんですけどね。

    晶ちゃん、沙矢香ちゃん、望ちゃん。それぞれが話者になって丁寧に内面が書かれたので私は三人とも好きになりました。
    お話の展開も、特に沙矢香ちゃんがさらわれてからのパートは続きが気になってたまらず、一気に読み進んでしまいました。

    一番印象的だったのは、やはり晶ちゃんパート最後の「クラップスの夢」です。アレは気持ち悪くて(いい意味で)、夢らしくて良かったです。

    まとまりのないコメントでスミマセン(笑)
    それでは続編の方へ行ってまいります。

    Re: 青井るいさん

    やっぱりこの手の小説は若いうちに書いて若いうちにデビューしておくものなのだ、と今になって痛感しています。今読んでも、「ギャグが古い」もんなあ。立ち直ったらまた書きますので、どうか今はこらえてつかあさい(汗)

    NoTitle

    夢逐人読み終わりました。

    かなり前に書かれたとの事ですが、ポールさんらしさの文体は良い意味で変わってないと思います。所々、不意に笑わせる才はこの頃からあったんだな、と。

    小説になって無いとの事でしたが、登場人物の入れ替えは気にしないで良いと思います。完全に終わってない、って点でしょう。

    不満と言うか、欲求を上げるとするならば、(僕が言ってもおこがましいですが)夢の世界の想像力は度肝を抜かれました(特にスープの始まりが素晴らしい)。だからこそ、もっと夢の中の幻想を見たかったです。あと、夢鬼のフリとか祖父同士のやり取りに至る伏線があったら、良い所まで行ったんじゃないでしょうか。

    まあ、若い頃に指摘しても仕方が無いです。

    今にして思えば、自分の中で完成させるって事の難しさは永遠つきまとうでしょう。

    多分、成功と失敗って運というタイミングとどれだけ他人に恵まれるかだと思います。それを掴むのはやっぱり続けられる人なんでしょう。

    ノゾミのキャラが個人的にツボ。良いもの書いてるじゃないですか。

    影切(だったかな?)で後悔と下落する精神状態をご自身で断ち切って下さい。

    続編と次回作、楽しみにしてます。

    Re: 安田 勁さん

    あれをもらったときには存在自体を全否定されたかのような思いでした。

    ショックに打ち勝つため、それからすぐに次の応募作品を書き始めたのがよかったのかもしれません。

    今でもこうしてでかい面してブログをやっていられるわけですから……。

    NoTitle

    脱稿お疲れ様です。
    私は、アキラ君が女の子だってわかった瞬間テンション上がりましたが、感想は人それぞれなんですね。
    「小説になっていません」か…きついなあ。

    ラノベ以外の、一般小説や児童文学みたいな賞に送ってたら結果は変わってたりしたのかなあ。

    Re: かえるママ21さん

    いや、「ブログ書籍化!」というものは怖いですよ。

    アルファポリスみたいに、売れる作品を見込んで、会社が印刷代をもって出版してくれるなら、それはいいのですが、

    たいていの「ブログ書籍化!」って、作者がウン十万の金を払って本を作り、それで売れたら会社が利益をごっそりもらい、売れなかったら在庫を押し付けられるという……要するに自費出版なわけですな。それだったら同人誌を作ってコミケで売ったほうがよっぽどマシです。リアル隣人に『日○文芸社』みたいな会社の甘言にのせられて自分の自伝を本にしたやつが……おっとっと。


    ハイレベルというより、「自分の作品は面白いんだ」という強固な信念を持ち続けられるかどうかですね。それと、一に体力、二に根性……(^^;)

    Re: 矢端想さん

    いちおう続きを書けといわれても大丈夫なように書いたのですが、

    よく考えたらそれって、手塚治虫先生が漫画を人に見せる際にやってはいけないことの筆頭に挙げていた、

    「『つづく』で終わらせないこと」

    にもろに抵触していましたな。

    それでははじめから通るわけがなかったですな。「小説になってない」といわれても当たり前ですな。うむむ(^^;)

    NoTitle

    小説の公募というのは、難しいのですね。
    FC2だと「 ブログ書籍化!」とか、ブログの管理画面に出て来ますけど、ブログから、出版への道はどうなんでしょう?
    自分らしい作品のまま、出版できたらいいですよね。
    応援してます!

    かえるままも、友人におだてられ、一度「小説」に挑戦してみようかと思って、書いてみたことありますが、冷静になって読み返すと、顔から火が出るほど恥ずかしいものでした。
    封印して、葬り去りましたが。
    だから、いつも思いますよ。
    小説ブロガーさん達って、ハイレベルだな〜って。


    NoTitle

    お疲れ様です。
    「エピローグ」ときて、「あれっもう終わり?」と思ってしまいました。この小説自体がもっと大きなストーリーのプロローグみたいな印象です。全三巻ときいて納得。三巻あってようやく小説の体を為すってことなのでしょうか。なんとなく勿体ない。
    まあ、書いて無駄なものはひとつもなく、練習のつもりじゃなくその都度本気で書くから、次にステップアップできるのだと思います。

    そういえば、僕も初めて漫画の賞に応募したのがちょうど6年前だったような。もちろん自信満々でした。回を追うごとに限界が見えてきて、最近じゃ本気で賞を狙うというより、ストーリー漫画を描く区切りとしてのモチベーションという感じです。立場的にハングリーじゃなく「道楽」だという後ろめたさもあります。

    Re: ダメ子さん

    もっとあざといキャラ設定をするべきでしたか。

    そういやあインパクトの点で弱いかな。いろいろと考えたんですけれど……。



    叙述トリックは、キャラ萌え全盛の時代でしたから、「人と同じことをしていては負ける」と思い、「イラスト化することが非常に困難なラノベ」を書こうとしてやった部分もあります。

    よく考えたらわたしはなんでそんなことをしたんだろう。デメリットでしかないのに(^^;)

    NoTitle

    夢の怪しい雰囲気がたまらなかったです
    夢の中に助けに来るっていいですね
    なぜか私の夢の中にはまだやって来てないみたいですがw
    そしておじいちゃんがかっこいいw
    全体的にノベルゲームのような雰囲気を感じました

    ただラノベとしてはちょっとキャラが薄い気がしました
    もっとあざといぐらいでもいいと思いましたです
    叙述トリックもすっかりだまされて面白かったけれど
    キャラのイメージを作り直さなきゃいけないので
    キャラ萌えにはマイナスのような気もしましたです

    Re: マウントエレファントさん

    病気で中退し失意にあったわたしに、大学の恩師がかけてくれた言葉ですが、

    「いつまでもあると思うな親と金、ないと思うな運と災難」

    至言だと思ってがんばってます。

    Re: カテンベさん

    今投稿用に救いがなくてひたすら陰惨なサイコホラーミステリを書いているので、そちらの第一稿を上げるまでは、ショートショートか小咄かになってしまいますねえ。

    とりあえず、精神のバランスを取るために明るい小品を書こうとは思っていますが、うーん、なかなかもやもやした想念がまとまらん(^^;)

    まあぼちぼちと……。

    NoTitle

    小説を書いてまだ日の浅い私から見れば、ポールさんの作品はかなり達者にみえます。
    でも、プロの世界は、さらなる実力を要求されるんでしょうね。
    諦めず書き続けることで、実力が養われ、チャンスも巡ってくるのだと信じて、これからも楽しい作品作りを続けて下さい。

    続きも気になるし、新しいのも読みたいけど、じゃあ二本立てで、てのは無茶なんやろねぇ
    なんにしても、毎日楽しみに読ませてもらってます^ ^
    次のはどんなんでしょ?
    予告編みたいなん、みたいわぁ

    Re: limeさん

    元気が出てきました。がんばります(^^)

    これを書いたときは、自分で自分の小説を組み上げる楽しさに酔っていた感もあるからなあ。

    あれから6年……今でもそういうところがあったりします。

    やる気を注入するためにハチャプリを見てがんばろう!

    Re: miss.keyさん

    やっぱり出てきますよね悪いところ(^^;)

    夜に書くとたいてい失敗作になることもわかっているんですが、夜にならないと、こんなたいへんで孤独な作業、できるもんじゃないというのがまた事実(^^;)

    昼間に推敲すればいいだけの話なんですけど、推敲も孤独でたいへんな作業だからなあ。

    ちなみにこの小説はまっぴるま、昼休みにワープロで書いて第一稿を上げました(笑) いつ書いても自我の肥大は免れないようで……(^^;)

    NoTitle

    時間が取れなくてこの作品は全部読めていないんですが、ポールさんのエネルギーはとても伝わってきます。
    なによりラノベの公募だから、ラノベを書きあげようという器用さは、プロになるならば必須な要素ですよね。
    私はその器用さと融通がないので、プロを目指すことも公募に出したこともないんですが。

    編集者の目って、厳しいのでしょうね。向こうも「売れる」ものを選ばないと死活問題ですし。
    いい作品と売れる作品は重力と質量ほど比例な関係ではないのでしょうが、ついついそう感じてしまいますものね。

    とにかく、今必要な事は書くエネルギーです。自分が楽しいと思える作品を書くエネルギーがあるかどうか。そこに、世間が求める「面白さ」が重なった時、光が射すのでしょう。
    応援していますよ!

    Re: LandMさん

    なぐさめのおことばありがとうございます。

    まあ明日という日は明るい日と書くものですから、根性で爪を使って花崗岩に穴を開けるつもりでがんばります(^_^)

    ごーいんぐまいうえい

     こんにちは。
     折角書いた作品が酷評されるのは辛いですね。勿論、自分では一応それなりに出来ていると思えばこそ完成とする訳ですが、それを否定されると実にへこみます。
     私も一度短編を応募したことがありますが、さっぱりでした。でも後で読み返すと、色々出て来るんですよね。悪いところが。
     特に夜に完成したものはダメです。テンションが上がってますので大抵「傑作」になります。どーだって感じ(笑い。しかし朝になると魔法は解けて世紀の「傑作」はどーしょうもない「駄作」になってたりします。あの傑作は一体何処へ行ったーー!!
     仕方がないのでまた推敲です。そして全く別物になります。当初の構想は何処へやら。そして平凡な・・・平凡にも達しない作品はお蔵入り。
     ですがね、世の中にはどーしようもない作品があふれています。昔流行った【自主規制】なんて、相当な駄作でした。当時、それを目にする度、あれでも売れるんだから私でも行けるんじゃないかなと思っていましたよ。あれが悪いんですよね。勘違いの元です。
     今はそういう野心も消え果て、好きな事を好きな様に書いてます。向上心はありますよ。でも人の評価は参考にはしますが、それで作品を曲げる事はしなくなりました。ヘソだけはしっかり曲がってるんですがね。
     

    NoTitle

    ・・・確かに小説としては微妙なラインですからね。。。。
    この手の作品は。
    まあ、ブログなど見せ方によって面白くなるんでしょうけど、
    それが小説と適応しているかは全く別問題なんですよね。
    私の場合はゲームシナリオとしては向いていたという話になるのですが。だから、ブログもそれなりにあれなんですけど。
    向き不向きはあるもんですね。

    執筆お疲れ様でした(*^-^*)
    管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

    ~ Trackback ~

    卜ラックバックURL


    この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

    • 【夢逐人 エピローグ 2】へ
    • 【だいきらい!】へ