「夢逐人(オリジナル長編小説)」
    夢鬼人

    夢鬼人 ノゾミ 4-3

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     ぼくは歯を食いしばるようにして棒を拾い上げようとした。だが、手も腕もかちかちになっていてなかなか拾うことができない。足も悲鳴を上げており、しゃがんだところ立てなくなった。

     ぼくは道場の床を這いずるようにして起き上がった。どう身体を使ったかなんて覚えていない。ぼくは続きを振り始めた。

    「せんごひゃくに、せんごひゃくさん、せんごひゃくし、せんごひゃくご……」

     また、手から棒が落ちた。

    「やめ」

     ぼくの意識はもうろうとしていた。なにをいわれたのかもよくわからなかった。棒を取り上げて振ろうとしたとき、もう振らなくていいことをようやく理解した。

    「……あの……これ……その……」

    「きみの体力と持久力、それに動きを見た。体力的には、普通の文化系の高校生というところだな。そこを精神力というか、持久力でカバーしている。普通の高校生だったら、わけもわからないおやじに棒を千回も振れなどといわれたら途中でやめてしまうところだが、きみはよくやった」

    「……そ、そうですか……」

     息が上がってまともに答えられない。

    「動きについては、きみの動きには、鹿澄夢刀流の動きとは合わないところもあるが、きちんとぶれない動きをしている。千五百回も棒を振って、身体のバランスを失わない素人は、そうはいない」

    「……そ、そうですか……」

    「今の動きを見て、きみの身体のさばきかたをどうコントロールすればいいのかもわかった。認めたくないが、きみのバランス感覚はそうとうなものだ。それを生かした鍛錬を、今これからやっていくことになる」

    「は……はい、これから……」

     え?

    「『今』これから?」

     ぼくは悲鳴を上げていた。

     武博おじさんは、ぼくを不思議そうに見た。

    「なにかおかしなことをいったかな。きみには一刻も早く戦力になってもらわねばならん。そのためには、やれるかぎりのことはやらないとな」

     武博おじさんは部屋の隅に行き、置いてある木刀をいくつか手に持った。

    「きみには、これがいいだろう」

     戻ってきた武博おじさんから受け取った木刀は、想像していたよりもかなり短かかった。

    「長い刀を振り回すよりも、短い刀のほうが軽く、小回りがきく。きみのバランス感覚にはこちらのほうがいい」

    「ありがとうございます」

     ぼくは受け取った。受け取ってからあることに気づいた。

    「あのう……」
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    Re: 安田 勁さん

    安心してください。わたしは五十回で倒れる自信が(笑)

    このシーンは、昔少年サンデーでやっていた「DANDOH!」というゴルフマンガと、夢枕獏先生の格闘小説に出てくるサンボのトレーナーの話からでっち上げたものです。ほんとにこんな極端なことをしてるかどうかなんて知りません(^_^;) たぶん実際はもっと合理的な教授システムを使っていると思います(^_^;)

    小太刀なんかを武器にさせて、ノゾミちゃんをきちんとヒーローにできるかなわたし(^_^;)

    NoTitle

    素振りなんて、百回もやったら腕が死ぬ自信があります、はい。

    しかし武器が短い刀(木刀)だなんて、ますますノゾミちゃんがヒロインに見えてくる…
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