恩田博士と生まれ変わりの機械たち(児童読物・完結)

    恩田博士と生まれ変わりの機械たち 11

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     やぎすけと愛海ちゃんがいるはずのところへの入り口にぴったりのあなは、博士がケータイを改造して作ったレーダーでもなかなか発見することができなかった。

    『レーダーというものは、写真をとるためのものではないからな。だが、わしの発明した、ニュートリノを使ったかいせき機械だと、X線よりもよりかくじつに、地下にあるだろう空どうや物体を調べることができる』

    『すごいや! それがあれば、たからさがしなんか、百発百中ですね!』

    『たからさがしか。そうだな、これが発表できれば、金でも銀でも石油でも……いや、鈴木くん、きみのいいたいことはそういうことじゃないな。とく川ばくふのまいぞう金とか、なんぱした海ぞく船のたから物とかだろう。わしも年をとったものだ』

    『つかれたの、博士?』

    『つかれてなどいないぞ』

     博士はむねをはった。

    『ちょっと、くたびれただけだ』

    『同じですよ、博士! あっ、あのスクリーンを見て!』

     ポリゴンで描かれた、白と黒のえいぞうの中に、ひときわ大きなクレーターのようなものと、そのわきにある、なんだか……。

    『どう見てもあのでかいのは人工物のようだな。ということは、あのクレーターが、めい界への入り口というわけだ。……そうだ。ちょっと待て、スクリーンを変える』

     恩田博士はフロントガラスに手をふれた。とたんに、スクリーンはピンク色の光でいっぱいになった。

    『大当たりだな』

    『博士、これは? ああそうか!』

    『そうだ。ここは、地球を飛び立ったエネルギー体たちの行き着く場所なのだ。エネルギー体にはんのうするセンサーがここまでのデータを出しているということは、あのふたりもここにいると見てまちがいはあるまい。よし、強行ちゃくりくだ。しっかりつかまるのだよ、鈴木くん。下は一面、メタンの氷だ。大気はうすいとはいえ、ちょっと失敗したら、わしらはこのめい王星から帰れなくなってしまうからな』

     ぼくは、博士のハンドルさばきを、はらはらしながら見た。いくら博士が天才だからって、そうじゅうのうでまで天才であるとはかぎらない。しかも、これはちゃくりくなのだ。飛行機のそうじゅうで、いちばんむずかしいのはちゃくりくだと、このあいだテレビでパイロットの人がいっていた。しかも、きちんとしたかっ走路があって、地面のようすがよく見えて、かんせいとうから万一にそなえてのアドバイスがあっての話だ。これから恩田博士がやろうとしていることは、プロのパイロットでもためらってしまうようなむずかしさなんじゃないだろうか。

     博士は、そんなぼくのはらはらを、わずかひとことのせりふで打ち砕いた。

    『反重力力場てんかい』

    『え?』

     うちゅう船は、メタンの海に、ふわりとちゃくりくした。

    『どうしたんだ? そんな、なにかしんこくなインチキでも見たかのような顔をして』

    『なんでもありません!』

     ぼくはいった。

     恩田博士は、車内の照明を切った。とたんに、あたりは真っ暗になった。

    『さて、エアロックを開けよう。とびらのかぎを外してくれないかね』

    『どこですか? なにも見えないんですけど』

     恩田博士は、いいわすれていた、というように付け加えた。

    『きみ、ヘルメットの耳をおおう部分にとめ金がある。そこをひねるんだ』

    『ここですか』

     ぼくはひねった。すると、バイザーのから見える世界が、急に明るくなった。

    『これは?』

    『いっただろう。あんし鏡だよ、鈴木くん』

    『あんし鏡っていうから、アメリカ軍のとくしゅぶたいがつけている、そうがん鏡のお化けみたいなものをそうぞうしていました。でも、こっちのほうが見やすいですね』

    『うむ。息やガスでくもらないように工夫がしてあるからな。さて、エアロックのかぎを開けるんだ。ふつうの自動車のドアのかぎを開けるようりょうで、だいじょうぶ。エアロック・オープンだ』

     ぼくはうちゅう船のドアを開けた。ついに、めい王星に降り立ったのだ。


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