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    「ショートショート」
    SF

    最終兵器

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    「これだけは使いたくなかった」
     将軍は、卓上のボタンを眺めた。
    「これを使うのは、人間性というものに関する挑戦だ。そうではないか?」
    「はっ」
     副官は答えた。そうとしか答えようがなかったからだ。
     目の前にあるボタン。それは「スイーパー」と呼ばれる新兵器の起動スイッチだった。
     「スイーパー」は、まさに最終兵器と呼ばれてしかるべきものだった。そして、この人類をはじめとする全知的生命が二派に分かれて戦っている超宇宙間の大戦争を終わらせる、たったひとつの手段だった。
    「これを使えば、敵は全宇宙、全時空、全パラレルワールド、とにかくありとあらゆる存在表面から駆逐される。文字通り、完全に消去されるのだ。その暁には、われわれには、彼らの記憶さえ残っていまい……」
    「しかしやらなくては」
     副官は、いわずもがななことをいった。
    「わかっている。気の迷いだ……やるぞ」
     将軍はボタンを押した。巨大な機械がうなりを上げ、見えもなにもしないが、語ることすらできないほど強大な破壊力を持つ衝撃波が、宇宙に浸透していった。
     だが、それと時を同じくして、相手の側からも、それと破壊力において遜色ない破壊力の衝撃波が発せられていたのである。
     衝撃波はたがいに浸透、それぞれの側を構成する全ての存在を完全無比に消去しながら、全宇宙、全時空、全パラレルワールドを駆け抜けていった。
     全てが終わったとき、全宇宙、全時空、全パラレルワールド、ありとあらゆる存在表面は、完全な無と静寂の世界と化していた……。

     だからどうしたというのか?
     そう聞きたい気持ちはわかるが、そう焦ることはない。まだ話は終わっていないのだ。
     そう。終わっていない。終わってくれたらよかったのだが、世の中はそんなに甘くない。
     全宇宙、全時空、全パラレルワールド、ありとあらゆる存在表面以外の世界で、それがどんなものだかはわからないがとにかくそれ以外の世界で、彼らの起こした戦争と破壊は果てしなく果てしなく果てしなく果てしなく永遠に続いたのであった。
     まったくこれだから知的生命というものは……。
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    ~ Comment ~

    おはようございます^^

    どこに行っても、どの世界でも好戦的な生命体。。。

    知的生命体とは名ばかりの蛮族的生命体ですねぇ・・・

    滅ぼさなければ終わらないどころか
    滅ぼすことすらできないとは(汗)

    >ネミエルさん

    いえいえ、十五であれだけの小説を書ければすごいですよ。わたしが十五のころは、ショートショートを書くだけで精一杯でしたから。

    すべてをベルカ帝国の力だというだけで説明するというのは楽ですが、ある意味思考停止です。
    妙なところを妙な視点から考えてみることで、まったく新しいものの見方ができるかもしれません。ツッコミは一種のブレーンストーミングです。たとえば、先ほどのネミエルさんへのツッコミをもとにして、ベルカ帝国の安定した動力源の設定に応用するとか、滅亡の原因のひとつにあてはめるとか、あの技術を連合郡や帝国郡がやっきになって探しているベルカ帝国の重要な遺産にするとか。

    要するに、ネミエルさんもわたしみたいなロートルSFファンの妙なツッコミには苦笑するか聞き流してくださいっていうことで……。

    わたしのことでしたらどう呼んでもらってもかまわないですよ(^^) あからさまな罵詈雑言だったら困りますけど(^^)

    P.S
    ポールさんと尊敬をこめてよばせていただいてもよろしいでしょうか?ww

    現実性のあるお話に毎回はっとさせられます。
    なるほど、最終兵器ですか・・・
    確かに人間性に挑戦するものですねw

    十五歳の僕は想像で物語をつくるのに対し、ポールブリッツさんはこういう現実性のあるお話を作るのが得意ですよね!!
    すごいです!!
    毎回、僕の小説に突っ込みをいれてくれてサンクスです!!!(意味わかりませんねw)

    正直、もうベルカ帝国の力だからってことで全部説明できる世界ですのでww
    突っ込まないでくださいよ~www
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