名探偵・深見剛助(冗談謎解きミステリ掌編シリーズ)

    深見剛助の退場

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    「さてと」

     わたしはスマートホンからブログの編集画面を開いた。

     タイトルはすでに決まっていた。これまでさんざんバカをやってきた責任もとる意味で、

    『深見剛助の退場』

    とするつもりだったのである。

     退場させるだけだから簡単だ、と思ったが、意外とこれが難物だった。

     いちばん楽なのは殺してしまうことである。それを実行したのが、かのドイルであり、クリスティだ。

     だが、とわたしは思った。殺してしまってほんとうにいいのだろうか。例えば、ドイルは読者からのブーイングを受け、結局は名探偵を復活させている。クリスティ先生は、自分の死期を悟っていたのと、生来の反骨精神から名探偵を殺したが、その結果として西村京太郎先生を苦労させることになった。

     複雑系関連でよく出てくる思考実験に、バタフライ・エフェクトというものがある。ごくわずかの刺激によって、系全体に影響が派生、まったく別の結果が起きるというものだ。アマゾンで蝶が一度羽ばたきをしたかしないかで、日本に台風が上陸するかしないかまでもが決まってしまうのではないか、そう思考実験は示唆している。

     自作の名探偵を殺すかどうかで、友人たちのブログが面白くなったり、より面白くなったりしたら癪だ。あまり強烈な刺激は与えないことにしよう。

     となると、「行方不明」というのがいいかもしれない。横溝正史が取った手段だ。しかしこれだと、深見剛助に解決させたい事件が急に持ち上がったとき、行方不明から急に帰って来ました、となったら格好がつかない。

     結局、わたしは深見剛助を手駒として持ち続けていたいのか。

     しかし、何かの形で結末はつけねばなるまい。この掌編集が発行されたとき、なにか読者の度肝を抜くようなエンディングがなければ、読者のほうも不完全燃焼だろう。

     そういえば、深見剛助シリーズの第一話は、「深見剛助、最後の事件」だったな。結末で、第一話に続く、という遊び心を見せれば……って、それってなんていう浦沢先生のマンガ?

     前例があったらまずいだろう。少なくとも作者のわたしが初めて使うオチ、じゃないと、書いている意味がない。

     わたしは考え、考え疲れた。

     もういい。眠ってしまえ。深見剛助は退場したのだ。それだけをわたしが知っていれば、もうそれでいいじゃないか。

     かくて原稿はシンプルイズザベストの形を取ることに。



    「深見剛助の退場」

     本文なし。

     -完-







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    ~ Comment ~

    Re: 椿さん

    読み返して思ったのですが、

    自分でも、

    「よくこんなバカなことを毎日毎日……」

    またバカなことが浮かんだらやると思いますが、他に書きたいものも。うーむ(^^;)

    NoTitle

    最後まで楽しませていただきました!
    またいつの日か、復活を楽しみにしております。

    連日コメント爆撃失礼いたしました!

    Re: いもかるびさん

    作者が思うより愛されていたんだな深見剛助探偵(^_^;)

    彼が戻ってくるのに必要なものはただひとつ。

    「ネタ」……(笑)

    Re: マウントエレファントさん

    なにせ「探偵が実は犯人だった」という最強の退場法すら、前例がくさるほどあって、「またそれか」ですからねえ。

    ここで目の覚めるような変化球が投げられたらな、と思うのですが、なにを投げても予想の範囲、じゃ、めげてもきますよ、特にワンアイデアショートショートでは。

    うむむ。

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    NoTitle

    まぁ夏ですし。
    海でリフレッシュしつつ
    ハンモック探偵とかでリハビリしながら
    時期をみて「再入場」とかで。

    そういえばツイッターされたんですね。
    自分の場合4~5行書くのにたっぷり2時間とかかかりますし
    それで自分の独り言しかのってない状態とか想像すると・・・。
    怖くて手をだせません。

    まぁ人の書いてるのを読むのは結構かなりすきなんですが。

    NoTitle

    まぁ夏ですし。南国でリフレッシュしつつ
    ハンモック探偵とかでリハビリしながら
    時期を見計らって「再入場」をはたすとかで。

    そういえばツイッターされたんですね。
    自分の場合4~5行書くのにたっぷり2時間とかかかりますし
    それで自分の独り言しかのっかってない状態とか想像すると・・・。
    怖くて手をだせません。

    まぁ人の書いてるのを読むのは結構かなりすきなんですが。

    NoTitle

    誰もかいていない退場のさせ方を考えるというのは、結構大変ですよね。
    ちょっとバカンスにでもいって、また事件が起きたら戻ってきて下さい。

    Re: LandMさん

    好評だったら「深見剛助の復活」を書くから
    大丈夫です(笑)

    しかし、これはどう考えても深見剛助の解決する事件じゃなくて紅恵美の解決すべき事件だろう、というものも混ぜてしまったのが残念(汗)

    NoTitle

    マジかああああ!!!
    (*_*;

    ・・・という率直な感想ですいません。
    これはこれで芸術なのでしょう。。。

    ・・・と言いつつ、案外楽しく読んでいたので
    ちょっと残念な気も。

    Re: ダメ子さん

    やだよこんな執事(笑)

    けっこうムツリくんなんか執事に向いてませんか? 静かで落ち着いていて、そのくせ女性にはけっこうウケがいい。執事ってそういうものではないかと……。

    NoTitle

    ミステリは特にネタが出尽くした感があって大変ですね
    今の流行なら執事にジョブチェンジするとか?
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