「夢逐人(オリジナル長編小説)」
    夢鬼人

    夢鬼人 ノゾミ 6-3

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     変化に気づいたのは、何回斬られ、首を取られたときだったろうか。

     ぼくは、恐ろしい相手の武士が、ぼくの動きをある一定の方向に動くよう誘導しているように感じた。

     斬られるのがいやだったらそう動くしかない、という方向へ、身体が動くようにさせられているのだ。

     その動きは……。

     ぼくになじみのある動きのようなのだが……。

     ぼくが動きやすい動き……。

     正体に気づいて、ぼくは拍子抜けする気がした。

     なんだ、ぼくが教え込まれた、時形流の日本舞踊の足の動きにそっくりじゃないか。

     ぼくは、ちょっとこんないいかたは変だけど、意識的に無意識に動いてみることにした。なにも考えず、身体が覚えている通りに動いてみるのだ。

     次の瞬間……。

     ぼくは刃をかわしていた。相手の胴ががら空きだ!

     ぼくはそこに一撃を加えようとして、くるりと振り向いた武士の斬撃を受けた。強烈な痛み。そしていつもの通りに、動けなくなったところを首を取られた。

     それくらいの思いつきでは許してもらえないらしい。また、さっきと同じように無傷で武士と向かい合ったぼくは、泣きたくなる思いで刀を構えた。

     たしか地獄にこういうのなかったっけ。修羅道だったか、永遠に殺し合いを続けさせられる罰。

     もしかして、相手を斬るまで延々とこれをやらせられ続けるのかな?

     泣きたくなる思いで、ぼくは腹を決めた。もうさっきの足と手の動きをスピードアップさせるしかない。

     やけくそで、ぼくは時形流の足の動きで相手にかかっていった。

     永遠と思えるような時間が経過したように感じた。

     なにもかもわからなくなったところで、何もかもわからなくなった。

     相手を斬ったのか斬っていないのかもわからない。

     気がついたら、道場の窓から見える空にはすでに朝日が昇っており、鳥がちゅんちゅん鳴いていた。ぼくはいまどき珍しいせんべいのような布団の中で、筋肉痛に苦しみながら汗だくになっていたのである。

     これが、迫水さんたちがいっていた、夢鬼の攻撃なのだろうか。そうだとしたら、夢鬼とはなんと恐ろしいものなのだろう。

     ぼくは暗澹としたが、すでに武博おじさんは仕事に出かけていた。

     それどころではなく、ぼくは自分がこのままでは遅刻寸前である、ということにも気づいたのであった。
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    ~ Comment ~

    Re: LandMさん

    まあここでいうのもなんですが、

    この夢は修羅道の夢ではありません(^^)

    安心してお読みください(^^)

    NoTitle

    修羅道か・・・・。
    夢でも見たくないものですね。
    罪悪感に苛むような気もします。

    Re: カテンベさん

    夢ですから。

    なんとなく、冷静に事態を眺めている自分、みたいな感覚もあるのでしょう。

    それにノゾミちゃんはまるごしで迫水家に乗り込んできた人間です。文句は多いけれど芯はかなり強いです(^^)

    首をはねられるたびに恐怖心が蓄積されていって、身体が動かなくなっていってもよさそうやけど
    そうならないで、ちゃんと分析していられる冷静さをキープしてるなんて

    そんなに精神的に強いとは思てへんかったわ〜
    怖いもんを知って立ち向かえる勇気あり、は、身の上からして必須のもんなんやろねぇ

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