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    映画の感想

    「イントレランス」見る

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     「イントレランス」見る。「映画の父」D・W・グリフィス監督の映画史上に残る、伝説の巨大予算を投じて作られた伝説の大コケ作品。その3時間もの上映時間のため、こんな機会でもなければおいそれと見る気にはなれない作品だが、もう一度見たかったので無理やり機会を作ってしまった。3時間道連れじゃわははは。

     見るのは二回目。実は少しばかり心配だった。最初に見たときは、手に汗握ってハラハラしながら見たのだが、もう一度見直したとき、そのハラハラドキドキ感は果たして再び味わえるのだろうかと。なにしろ筋は全部知っているし、伴奏なしバージョンであるし、実家のテレビはアパートのそれよりもかなり大きいし。幻滅するのではないだろうか。

     心配しなくてもよかった。伴奏なしのまったくの無音バージョンでも、手に汗握る面白さとスペクタクルとサスペンスは充分すぎるほど味わえたからである。むしろ、筋や内容をすべて知っていることにより、細かいところまでよく見えるようになったところもある。

     で、二度目に見て気がついたところであるが、

    「バカだろ! グリフィス監督、バカだろ!」

     ということである。予算総額190万ドルというのは伊達ではない。おそろしいほどに馬鹿でかいセットを山のようにこしらえているのがわかる。今のハリウッド映画が背景を緻密な絵で表現したり、CGを使ったりしているところで、グリフィス監督は生身の人間と巨大なセットで勝負しているのだ。いくらCGが使えないといっても、この規模は常軌を逸している。なにしろどのくらいの規模かといえば、あの「ロード・オブ・ザ・リング」の大決戦シーンを、生身の人間と巨大なセットのみで表現した、そんなようなものである。当時のアメリカ西海岸がいくらニュージーランド並みにへんぴな地だといっても、なんだこれは。スペクタクルファンにとっては、バビロン攻城戦シーンは必見である。

     そしてストーリーも面白い。「不寛容」となってはいるが、その不寛容さは、もっと突っ込むと「自分の崇高な考えに従わないものへの不寛容」である。まず基本となる現代のシーンでは、婦人の社会的地位を向上させよう、という行為が、めぐりめぐって、何万人もの解雇者を生み出し、挙げ句の果てにはひとりの青年を悪の道に導き、さらには無実の罪で死刑台にのぼらせてしまう。16世紀フランスパートでは、「支配階級の信ずるカトリックの教えに反する信仰を持つもの」に対しての不寛容が、エルサレムパートでは「支配階級の意に反するイエス」に対する不寛容が、紀元前のバビロンのパートでは、「新しい神イシュタルに対する不寛容」がそれぞれ描かれ、それぞれに悲惨な結末をもたらす。

     その結末とどう向き合うのか、それとも結末を乗り越えることができるのか、それが見ている人間にサスペンスをもたらす。間に挟まれる、人間社会を表すゆりかごを慈母のように見守る女神が、ちょうどいいアクセントになっている。

     第一次大戦中で、戦意高揚映画がヒットしまくっていた当時のアメリカでは記録的な興行的大惨敗に終わったそうだが、こんな面白い映画、どうやったら退屈できるのか想像もできない。

     監督はもともと八時間として作った作品を、映画会社に「興行的に無理だ」といわれて不本意ながら三時間に再編集したそうだが、八時間バージョンがもし現存していたら、監督は「歴史上もっとも偉大なバカ映画」を撮った監督としてその名を不滅のものとしただろう。それにしても八時間バージョン……「ロード・オブ・ザ・リング」並みに長く面白い作品になっただろうけど、監督、やっぱり、バカだよ。(^^;)

     非の打ちどころがない名画なのだが、文句をつけるところがひとつ。モーションプロ版を見たのだけれど、字幕翻訳者! もっときちんと仕事をしろ! お前は意訳というものを知らんのか、それとも日本語ができんのか! これのおかげである意味映画台無し。とほほほ。
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    ~ Comment ~

    NoTitle

    こんばんは!!
    やっと見る事が出来ました(笑)

    >なにしろ筋は全部知っているし、伴奏なしバージョンであるし、実家のテレビはアパートのそれよりもかなり大きいし。幻滅するのではないだろうか。

    伴奏なしバージョンがあるんですね??(汗)
    僕は伴奏なしだったら無理でした、、、寝落ちしては
    戻って見てましたので伴奏が頭に刷り込まれてます(笑)

    >監督はもともと八時間として作った作品を、映画会社に「興行的に無理だ」といわれて不本意ながら三時間に再編集したそうだが

    フランスの虐殺の話など、だいぶカットされたんでしょうか?
    あの話が一番、分かりずらかったです。しかし8時間ですか・・
    正気じゃないですね(笑)

    何度も見たせい?結構、好きな映画になりました!
    リクエストが無ければ絶対に見てなかった映画ですので、
    感謝感謝です!!\(^o^)/


    管理人のみ閲覧できます

    このコメントは管理人のみ閲覧できます

    Re: (たぶん)宵乃さん

    伝記漫画の傑作「栄光なき天才たち」のグリフィス監督の回では、「きみはこの作品で『映画』というものを終わらせてしまうのか?」と登場人物にいわせておりますが、まさにその通りで、監督やりたい放題にやっています。

    恋愛映画も、社会派ドラマも、史劇も、ミステリも、スペクタクル映画も、結局はこの作品の焼き直しではないか、そうとすら思わされます。

    最初の三十分を起きていられたら、あとはもうグリフィス監督の目のくらむような映像のフルコースに、ただただ驚嘆するのみです。

    バビロン攻城戦のシーンなんて、凡百のスペクタクル映画などとは比べ物にならない迫力です。だからあのセットは「ムダ」ではありません。CGが使えたら、監督は喜んで使っていたでしょう。しかし1916年にはコンピュータの「コ」の字もなかったのです。そして監督の撮りたいシーンは、あのセットを使わなくては撮れなかったのです。

    だからといって、本気であんなセットをこしらえるのは、監督、やっぱり常軌を逸しています。本当の意味での「バカ」です。そしてわれわれが今「ロード・オブ・ザ・リング」などを楽しめるのは、ひとえにあの監督がすべての資金を投じて「バカ」をやってくれたからです。

    「映画バカ」に感謝!

    NoTitle

    こんにちは!
    いやぁ、ホント、ムダに豪華なセットでした。誰も監督を止められなかったんですね(笑)
    今回またも睡魔と闘ってしまってストーリーはいまいちわかりませんが、記憶に残っているところはなかなか引き込まれるものがありました。あの後、自白した奥さんはどうなったんでしょ?
    いつか気力のある時に見直したいです。

    リクエストありがとうございました!

    Re: バニーマンさん

    伴奏がついていたらさらに素晴らしいものになったでしょうが、わたしには伴奏なしでもじゅうぶんいけました。

    少なくともあのバビロンのセットを作ったのは、でかいことが大好きなアメリカ人の中でも特にいかれている「映画バカ」の面目躍如たるものがあるでしょう。

    ♪ え~い~がひと~す~じバカ~に~なり~

    ……映画バカ一代(^_^;)

    NoTitle

    こんばんは。

    そうですか、音楽無しでも面白いのですね。

    30年ぐらい前にオーケストラの生演奏付きで鑑賞しましたが、
    これは無音だったら絶対無理だなー!という感想しか記憶にありません。
    若すぎたのでしょうか・・・(^_^;)。

    こんなのよく作ったな~というのは、当時思いましたけど・・・。

    確かにバカじゃないかというは当然の感想ですよね(笑)。

    Re: ROUGEさん

    ほんといい映画ですよ。一見の価値はありますのでぜひ。

    カゼのほうは、医者からもらった総合感冒薬飲んでいたらだいぶましになりました。

    日ごろは効かないだのなんだのいっていても、やっぱり効きます現代医学。

    Re: LandMさん

    グリフィス監督、私財を全部投じた上にこの映画を撮るための会社まで作って190万ドルものお金を集め、ものの見事に回収できずに会社もつぶしてしまうという豪快なことをやっています。残ったのは借金の山と、十年経ってもまだ残骸が残っていたという巨大なセットだけ。その残骸は人呼んで「ハリウッド・バビロン」。

    この映画を撮るグリフィス監督たちを主人公にした「グッドモーニング・バビロン!」という映画がずっとのちに撮られてます。こちらも面白い映画だというのでレンタル店を探しているんですけれど見つかりません。とほほほ。

    NoTitle

    知らない映画だわ~
    それより風邪、お大事にね。

    NoTitle

    まあ、コケるなら壮大なほうがいい。
    ・・・と思いますが、それぐらいのスケールがアメリカなんでしょうね。
    まだ、映画見てないな~~~。
    ( 一一)
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