「夢逐人(オリジナル長編小説)」
夢鬼人
夢鬼人 ノゾミ 22-1
22 ノゾミ
「鹿島神宮……」
ぼくはつぶやいた。
「武甕槌神を祀っていたはずですね」
「少年、よく知っておるな。その通りじゃ。同じく武門の神であるフツヌシを祀る千葉県の香取神宮と並んで、古来より武家の信仰が篤い」
「方角は合ってるの? 香取神宮のある千葉県も、うちから見れば東だし、鹿島神宮と香取神宮は、直線距離で二十キロくらいしか離れてないよ」
迫水さんが地図を見ていった。才蔵おじいさんはふん、と鼻を鳴らした。
「たしかに角度が一秒違えばまったく違ってくるが、式板のコンパスからすると、『影縫』が指しているのは鹿島神宮である可能性が高いようにわしには見える。もちろん、ほんのわずかの違いにすぎんことは承知じゃ」
「でも、それだけじゃ、迫水さんのいっている通り、鹿島神宮だと断定するわけにはいかないんじゃないですか?」
ぼくは首をかしげざるを得なかった。
「少年、それももっともじゃ。しかし、第二の傍証というべきものもある」
「それは、どこに?」
「お前じゃよ、少年」
迫水さんもぼくも、口をあんぐりと開けた。なんだって?
「ぼくがなんでまた」
才蔵おじいさんは噛んで含めるようにいった。
「少年、お前の夢に出てきたのはいったいなんだ」
「武甕槌神ですが……」
ぼくははっとした。
「つまり、こういいたいんですか? 時形流の家に、時形流の人間として生まれてきたぼくが、武甕槌神の夢を見たということは、ぼくにも武甕槌神と通ずるなにかがあるということで……時形流も鹿澄夢刀流も、そのもとは同じ武甕槌神で、同じ神の陰と陽なのではないか、と?」
「よくわかったな、感心じゃ」
迫水さんが頭を抱えていった。
「ぼくが時形流の舞いを舞えたのも……」
「それが武甕槌神の動きと同様なものであったからじゃ」
頭がついていかない。
「あの、こういってはなんですけど、武甕槌神って、ほんとに神様として実在するんでしょうか」
「神社の家にいてなにをぬかしておる、この罰当たりめ」
「はあ……」
「少年、お主が神を信じられんのであれば、受け継がれてきたミームでもかまわん。そのミームにおいて、『武甕槌神』ととらえられたなにか、それを調べに行かねばならん」
「鹿島神宮……」
ぼくはつぶやいた。
「武甕槌神を祀っていたはずですね」
「少年、よく知っておるな。その通りじゃ。同じく武門の神であるフツヌシを祀る千葉県の香取神宮と並んで、古来より武家の信仰が篤い」
「方角は合ってるの? 香取神宮のある千葉県も、うちから見れば東だし、鹿島神宮と香取神宮は、直線距離で二十キロくらいしか離れてないよ」
迫水さんが地図を見ていった。才蔵おじいさんはふん、と鼻を鳴らした。
「たしかに角度が一秒違えばまったく違ってくるが、式板のコンパスからすると、『影縫』が指しているのは鹿島神宮である可能性が高いようにわしには見える。もちろん、ほんのわずかの違いにすぎんことは承知じゃ」
「でも、それだけじゃ、迫水さんのいっている通り、鹿島神宮だと断定するわけにはいかないんじゃないですか?」
ぼくは首をかしげざるを得なかった。
「少年、それももっともじゃ。しかし、第二の傍証というべきものもある」
「それは、どこに?」
「お前じゃよ、少年」
迫水さんもぼくも、口をあんぐりと開けた。なんだって?
「ぼくがなんでまた」
才蔵おじいさんは噛んで含めるようにいった。
「少年、お前の夢に出てきたのはいったいなんだ」
「武甕槌神ですが……」
ぼくははっとした。
「つまり、こういいたいんですか? 時形流の家に、時形流の人間として生まれてきたぼくが、武甕槌神の夢を見たということは、ぼくにも武甕槌神と通ずるなにかがあるということで……時形流も鹿澄夢刀流も、そのもとは同じ武甕槌神で、同じ神の陰と陽なのではないか、と?」
「よくわかったな、感心じゃ」
迫水さんが頭を抱えていった。
「ぼくが時形流の舞いを舞えたのも……」
「それが武甕槌神の動きと同様なものであったからじゃ」
頭がついていかない。
「あの、こういってはなんですけど、武甕槌神って、ほんとに神様として実在するんでしょうか」
「神社の家にいてなにをぬかしておる、この罰当たりめ」
「はあ……」
「少年、お主が神を信じられんのであれば、受け継がれてきたミームでもかまわん。そのミームにおいて、『武甕槌神』ととらえられたなにか、それを調べに行かねばならん」
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NoTitle
神が実在するか・・・。
というのは難しい質問ですね。
神主にそれを問うと、どういう答えが返ってくるのですかね。
・・・その神主によって違う答えがやってくるか。。。
というのは難しい質問ですね。
神主にそれを問うと、どういう答えが返ってくるのですかね。
・・・その神主によって違う答えがやってくるか。。。
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Re: LandMさん
「適当に」
書いていることをここでお断りしておきます(笑)