ウォーゲーム歴史秘話

    激闘ポーランド

     ←抜粋・ある辛口ミステリ評論家の毒舌 →イギリス薬瓶の謎
    1939年9月1日。わたし、ハインツ・グーデリアンは得意の絶頂にあった。総統から抜擢されたわたしは、ポーランド侵攻作戦「白の場合」の総司令官に任命されたからだ。いまだに歩兵の足と騎馬に頼っている旧態依然としたポーランド軍を、戦車と機械化歩兵からなる機甲師団をもって圧倒し粉砕するという、電撃戦理論を実践するまたとないチャンスなのだ。

     ……「これがその、第二次世界大戦を地球規模で、複数のプレイヤーで再現するっていう、ワールド・イン・フレームズってゲーム? わたしルール知らないんだけど」

     ……「大丈夫。ルールを把握するためにポーランド侵攻のシナリオがあるから。そこでドイツ軍やれば、このゲームでどう戦えばいいのか、だいたいのことはわかるよ」


    1939年9月15日。戦争は思うように進んでいない。ポーランド軍の抵抗は激しく、わが軍の部隊は、思うように敵を退却させることができないのだ。まあ、だが、来月頭にはワルシャワを陥落させられるはずだ。

     ……「なんでこんなにドイツ軍に損害が出るんだよ」

     ……「おかしいな。もっとスムーズにいくはずなんだけどな」


    1939年10月1日。ポーランド軍の見事なまでの遅滞戦術の前に、わが機甲師団はカタツムリのようにしか前進できないでいる。でもまあ、来月にはワルシャワへ入城し、ポーランドを降伏させられるはずだ。

     ……「史実ではこのときにはすでにワルシャワ陥落していなかったっけ」

     ……「まあ、このゲームは運もあるから」


    1939年11月1日。ワルシャワまでの距離が無限に遠く感じる。せっかく部隊を自動車と戦車で編成したというのに、まるで歩兵のようにしか前進できないでいる。ブラウヒッチュの野郎が陰でわたしを笑っているらしいが……。

     ……「おい、またドイツ軍の行動手番が途中でストップしたぞ。この、部隊を行動させるたびに手番終了のチェックするシステム、どこかおかしいんじゃないのか」

     ……「お前のサイコロ悪すぎ。こっちのサイコロと取り換えてみろよ」


    1939年12月1日。ワルシャワまで行く間に何度わが軍の進撃が止まっただろうか、考えたくもない。大量の戦車を持っていて、空軍が雨あられと敵を爆撃していて、しかも歩兵ひとりに至るまでよく訓練されているというのに、どうして敵を撃破できないのだ。攻撃しても攻撃しても逃げられる。

     ……「サイコロ変えてもちっとも好転しないぞ」

     ……「とりあえず、まあ落ち着いて盤面を見よう。ここからこういうふうに移動すれば、勝てる戦力比が立つんじゃないか」


    1940年1月1日。とうとう年が明けてしまった。敵の抵抗は激しいが、わが軍はじりじりと前進しつつある。このペースでいけば、今月中にはワルシャワにたどり着けるはずだ。たどり着けないと責任問題だ。

     ……「またなにもしていないうちに手番が終わったぞ」

     ……「ほんとサイコロ運悪いな。こんな展開見たことないぞ」


    1940年2月1日。ポーランド軍の部隊を撃破して前進し、ようやくワルシャワを攻撃できる状態になった。とにかくここを陥落させないと更迭されてしまう。わが機甲師団はワルシャワ前面に集結、三方から一斉攻撃を行った。

     ……「全滅させるのに失敗したぞ。しかも手番が終わった。もう半年になるのにこの体たらくじゃ、西部戦線のほうでフランス軍とイギリス軍がドイツ弱しと見て侵攻してくるんじゃないのか」

     ……「お前このゲーム弱すぎ。というか、このゲーム向いてない」


    1940年3月1日。わたしは総司令官を罷免させられ、その足でベルリンの精神病院の閉鎖病棟に入院させられた。わたしが悪いのか悪いのか悪いのかのかのかのかのか。まあそのせいで、怒り狂った民衆によりドイツ国内に吹き荒れた反ヒトラー暴動と政権転覆から命を守ることができたのは儲けものだったかもしれない。もしかしたら、わたしは歴史に偉大な貢献をしたのかもかもかもかもかもかも。

     ……「今度コミケで出す同人誌のペンネーム決めた」

     ……「どんなの?」

     ……「ポーランド電撃男」


     ポール・ブリッツの誕生である(笑)

     今を去ること20年前の話。
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    ~ Comment ~

    Re: miss.keyさん

    ポッキーもプリッツも好きです。

    トッポも好きです φ(^^)ポリポリ

    ポッキー、プリッツ

     ほら、プリッツってポールみたいに長いし立てとくじゃないですか。
     あ、いえ、ただそれだけです。

    Re: 椿さん

    このころには第二次大戦の東部戦線のゲームで、指揮する無敵のドイツ中央軍集団を、1月にスモレンスク(史実では夏ごろにドイツ軍が通過した都市)近辺で全滅させてみたり、といろいろとバカなことをやったりしています(^^;)

    ルールを四分の一くらいしか読まないでゲームに飛び込むんだから怖いもの知らずというかもの知らずというか……(^^;)

    でも好き(^^)

    Re: 宵乃さん

    「リベリオン」は、後半部分だけテレビ放映を見たことがあります。

    「ガン=カタ」については、当時のショックを体験していないうちにありとあらゆるかたちでエピゴーネンが氾濫してしまい、挙句の果てにはとんでもないアニメまで作られて、「だいたいこんなもの」と刷り込まれてしまったのを今でも悔しく思っています。

    とほほ。

    ひさしぶりにDVD借りてみてみよう! 近所のゲオになかったらあきらめるしかない情けない男でありますが……(^^;)

    NoTitle

    ポールさんのお名前には、そんな涙なしでは語れない秘話があったのですね! 
    しかし、愛国的ワルシャワ市民がこのゲーム結果を見たら歓呼の声で迎えてくれるかもしれません。歴史if 万歳!

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    このコメントは管理人のみ閲覧できます

    NoTitle

    これがあって今のポールさんがあるわけですね(笑)
    しかし、そんなにサイコロの目が悪かったんですか~。それでも続けたってことは、本当にゲームがお好きなんですね。

    ところで、今月もブログDEロードショーを開催します。
    作品は「リベリオン」で、匿名の方からリクエスト頂きました。
    ひたすらカッコいい(だけの)”ガン=カタ”アクションを楽しんでほしいとのことです。
    開催期間は5月29日(金)~31日(日)。
    よかったら今月もみなさんと一緒に映画を楽しみましょう♪

    Re: カテンベさん

    ゲームについてはこの20年「下手の横好き」で通しています(笑)

    ゲームは好きだけど仲間内では一番弱いんじゃないかなあ(^^;)

    ペンネームは変えませんよいまは。なんたってこれで20年やってきたわけだし(^^;)

    好きと得意は違うのよ、なお話かと思いきや
    ポールさん、命名秘話でしたか
    まさか、今はスキル向上したのでそぐわないし、名前変わります、とかいう前フリなのかしらん?
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