偉大な男のものがたり(長編児童文学・完結)

    偉大な男のものがたり 1日目 3

     ←超難解衒学的長編観念探偵小説テロリズム殺人事件 →Xのリハーサル
     自分が、なにをどうされたのか、さっぱりわからなかった。

     保の頭は、自分がどういう状態になっているかを即座に判断するだけの能力を持っていなかった。

     周囲は思ったよりも明るかった。それなのに、周囲はまるで真夜中みたいに真っ黒になっている!

     保は自分が見ているものが信じられなかった。

     巨大な、果てしなく巨大な、そう……人間の作ったものとはとても思えないほどに巨大でありながら、それでいて人間が作ったとしか思えない、白く塗装された、猛烈な速度で動いていく、ひとことでいえば……。

    『宇宙船だ!』

     保は周囲に目を向けた。

     背後にはまぶしく輝く巨大な星があった。

    『太陽だ!』

     完全な無重力、というわけではなさそうだった。保は身体を自由に回転させることができたからだ。

     保はようやく事態を理解した。

    『ここは宇宙空間なんだ!』

     ……帰らなきゃ!

     保は身をよじり、もといた場所へ戻ろうとした。

     遅い。

     向きを変えるのは簡単なのに、一方向に進むのは、まるでカタツムリが這うかのように遅かった。

     保の視界が、いきなり広くなった。

     違う。

     広くなったんじゃない。

     あれはさっきまで自分が乗っていた、巨大宇宙船の尻尾の部分だ!

     あ……。

     遠くなっていく。

     みるみる遠くなっていく!

     助けて!

     助けて!

     誰か……助けて!

     保は叫んだ。答えはどこからも返ってこなかった。

     ひとり。たったひとり。

     助けてくれるものは誰もいない。

     そうだ。星。星に降りればなんとか……。

     保は太陽のほうへ向かってゆっくりと進み始めた。

     なんとなく、暖かくなってきた。そのぬくもりに、保はほっとしたものを感じた。

     もっとそばに寄ってみよう。

     暖かい。まるでお風呂に入っているかのようだ。それも熱いお湯の……。

     保は悲鳴を上げた。

     暖かくなっているんじゃない、自分が、太陽の放射する熱で、あぶられているんだ!

     身体が動かない。

     熱い。熱い。熱い!

     視界を何かが横ぎった。


    関連記事
    スポンサーサイト



    もくじ  3kaku_s_L.png 鋼鉄少女伝説
    総もくじ  3kaku_s_L.png ほら吹き大探偵の冒険(児童文学)
    総もくじ  3kaku_s_L.png 夢逐人(オリジナル長編小説)
    総もくじ  3kaku_s_L.png 残念な男(二次創作シリーズ)
    総もくじ  3kaku_s_L.png ショートショート
    総もくじ  3kaku_s_L.png 紅探偵事務所事件ファイル
    総もくじ  3kaku_s_L.png 銀河農耕伝説(リレー小説)
    もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
    もくじ  3kaku_s_L.png リンク先紹介
    もくじ  3kaku_s_L.png いただきもの
    もくじ  3kaku_s_L.png ささげもの
    もくじ  3kaku_s_L.png その他いろいろ
    もくじ  3kaku_s_L.png SF狂歌
    総もくじ  3kaku_s_L.png 剣と魔法の国の伝説
    もくじ  3kaku_s_L.png 映画の感想
    もくじ  3kaku_s_L.png 家(
    もくじ  3kaku_s_L.png 懇願
    もくじ  3kaku_s_L.png TRPG奮戦記
    【超難解衒学的長編観念探偵小説テロリズム殺人事件】へ  【Xのリハーサル】へ

    ~ Comment ~

    管理人のみ閲覧できます

    このコメントは管理人のみ閲覧できます
    管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

    ~ Trackback ~

    卜ラックバックURL


    この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

    • 【超難解衒学的長編観念探偵小説テロリズム殺人事件】へ
    • 【Xのリハーサル】へ