映画の感想

    「リベリオン」見る

     ←Xのリハーサル →Yの悲喜劇
     今回のブログDEロードショーは「リベリオン」だった。なかなかレンタル屋に行く機会がないので今までずれ込んでしまったが、ようやく借りてきて、真剣に頭から終わりまで見てみた。感想だが、「ガン=カタ」のカッコよさ以外は、たしかに取り立てて評価するところもないような映画ではあった。

     一度テレビで冒頭シーンと後半部を見たことがある。そのときからずっと思っているのだが、脚本家と監督には悪いけど、今の人間世界を見ていると、あの薬は「必要」なんじゃないかと思えてならない。

     特に毎日毎日精神安定剤を欠かさず服用しなくてはならないわたしとしては、この映画は、「薬でなんとか滅亡しない目途が立った精神病的な世界でも、ちょっとでも薬をやめると、最後にはまたもとの精神病的世界になってしまいますよ」といっているようにしか思えないのだ。

     まあ作者が伝えたいのはそれとは正反対のメッセージだということもわかるが、「一時の快楽と、永続的なある程度の精神的な平静さ」のどちらかを選べといわれれば、「永続的なある程度の精神的な平静さ」のほうをわたしは選ぶと思う。しかも、薬という確実な手段があるのだ。修行して心頭を滅却する必要などないのだ。だったら積極的に薬を使うほうが理にかなっているだろう。

     現代のSF作家で唯一読む気になるテッド・チャンの短編に、この映画の元ネタの一部になったのだろうか、「造形的な美」というものを感じなくなる精神的処理が当たり前になった世界を肯定的に描いた未来社会ものがあるが、そう考える気持ちも今となってはよくわかる。

     まあなんというか、ガン=カタもそうであるが、SFとしてみれば、あまりにも穴がありすぎるのだこの脚本。まず、「反逆者は火刑」というシステムから理解しがたい。普通は治療のために薬を打つだろ、と思う。感情が抑制されれば、殺さなくても「理性的に考えて」仲間の所在やアジトの位置をぺらぺら語ってくれるかもしれないのだから。

     「犬まで火刑」だが、そんなことをする必要があるのか、である。感情を排してみれば、貴重な食糧源にもなる。しかも時代は核戦争後で、飯にも飢えているのだ。食わんでどうする! というか、こいつら日ごろ何食っているのだ。コーンフレークなんぞより、今ある蛋白源を有効活用すべきであろう。

     主人公の逆転劇であるが、あのう、この時代では、X線とかはもう死語になっておるですか。それに、感情を薬で抑制している人間が、自分に死刑を宣告されて、わめき暴れながら連行されるというのもなあ。感情を抑制されている人間が出世にこだわったりするのもなんだし。

     「ガン=カタ」の革新性はよく理解しているつもりだが、それでも「記念碑」になってしまった感は強い。特にアニメの「グレネーダー ほほえみの閃士」が強烈なまでのパロディというか進化形をやってしまった時点において、「ガン=カタ」は博物館入りしてしまったのであると思う。

     ここまで書いたけど、B級アクションものとしては傑作の部類に入るだろう。内なる暴力を開放したいときの代替物にはいいかもしれない。
    関連記事
    スポンサーサイト



    もくじ  3kaku_s_L.png 鋼鉄少女伝説
    総もくじ  3kaku_s_L.png ほら吹き大探偵の冒険(児童文学)
    総もくじ  3kaku_s_L.png 夢逐人(オリジナル長編小説)
    総もくじ  3kaku_s_L.png 残念な男(二次創作シリーズ)
    総もくじ  3kaku_s_L.png ショートショート
    総もくじ  3kaku_s_L.png 紅探偵事務所事件ファイル
    総もくじ  3kaku_s_L.png 銀河農耕伝説(リレー小説)
    もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
    もくじ  3kaku_s_L.png リンク先紹介
    もくじ  3kaku_s_L.png いただきもの
    もくじ  3kaku_s_L.png ささげもの
    もくじ  3kaku_s_L.png その他いろいろ
    もくじ  3kaku_s_L.png SF狂歌
    総もくじ  3kaku_s_L.png 剣と魔法の国の伝説
    もくじ  3kaku_s_L.png 映画の感想
    もくじ  3kaku_s_L.png 家(
    もくじ  3kaku_s_L.png 懇願
    もくじ  3kaku_s_L.png TRPG奮戦記
    【Xのリハーサル】へ  【Yの悲喜劇】へ

    ~ Comment ~

    Re: LandMさん

    身体にひと射ちしただけで、修行を積んだ禅僧と同様の悟りの境地に達することができる麻薬、というものが目の前にあったら、好奇心を自制心で押さえきれるかどうか自身がありません(^^;)

    同様の麻薬でもっとすごいのは、身体にひと射ちしただけで頭が数倍よくなり、難解な哲学書も物理学の本もすらすら楽しく読めるようになるという、バリントン・J・ベイリーがSFに登場させた麻薬です。これもまた、現物があったら好奇心を自制できるかどうか(^^;)

    精神的依存を伴う禁止薬物は絶対にやめようね!(笑)

    NoTitle

    確かに迷いどころですね。
    違法ドラッグとも関連しそうですが。
    身体にあまり悪くない快楽のある薬が開発されたとして、それで楽しめるか。。。という命題もありそうですね。
    それともお酒や煙草と同じかな。

    それれでも心の安寧は欲しいですね。

    Re: かえるママ21さん

    先々週の震度5弱でびっくりしてしまったせいか、今朝の震度3は感じることもせずにぐーすか寝ていたであります(^^;)

    「生物」の観点から見れば、いずれが「適者生存」にかなうのか、かなうとしたら、その時その生物は人間といえるのか……という難題にぶち当たりますからねえ。もしかしたら人間はあまりにも増え急いだ三葉虫みたいなものかもしれません。三葉虫は数億年前からいまだに子孫を残していますが、人類は……。

    NoTitle

    こんにちは。
    地震は大丈夫でしたか?結構揺れたみたいですね。

    ポールさんの視点で、村上春樹さんの「ノルウエィの森」を思い出しました。
    この世が「精神病的世界」と仰る世界観が。

    反逆者を処刑とか、全く同感でした。
    薬でなんとかすればいいのに。

    あまたあるマトリックスのパクリの中で最も全体を通してのメッセージは(ほかでも書いたけど。)
    モーフィアスの台詞
    「You are the prisnor of your mind」
    「Free your mind」
    に集約されてると思います。

    感情を抑制して、飼い犬になるか、自由を手に入れ野良犬となるか....

    Re: 宵乃さん

    人間には「鎮静剤」が必要なんじゃないか、とあっちでもこっちでも膨らんでいる破裂の瀬戸際にある戦争の風船の話を聞くたびに思います。イスラム国がらみの一連の紛争なんて、派手に破裂してしまったからなあ。

    戦争で人口が抑制できるとかというひともいますが、あの熾烈を極めた第二次世界大戦でも、死んだ日本人は300万人。1億を豪語する日本において300万人です。抑制効果なんぞありません。もし抑制ができるとしたら、それこそ全面核戦争で人類を滅亡させるくらいしかないでしょう。だったらそのぶんの時間とエネルギーを、全人類が感情を抑制して理性のみにより動く15年にしたほうがよほどマシかと思えてならんのですがサヨク的な発想でしょうか。

    ちなみにアニメ「グレネーダー ほほえみの閃士」で出てきた、ある意味マトリックスや「ガン=カタ」を凌駕する、日本人でしか発想できない、海外のアニメファンを呆然とさせたガンアクションが動画サイトにまとまってました。

    精神に余裕があるときにご覧ください。

    https://www.youtube.com/watch?v=6cgEZ4ZlL3E

    逃げろっ(ピュー)

    NoTitle

    >今の人間世界を見ていると、あの薬は「必要」なんじゃないか

    私的には、感情を抑えて戦争がなくなっても、生存本能とかも鈍って滅亡するんじゃないかなぁと思ったり。本能と感情は違うものだけど、決して切り離せないものだとも思うので、何らかの影響があるんじゃないかなぁ。
    あの薬が使われ始めてそう長くない気がしますし、本当に安全かどうかもわからないかと。

    >SFとしてみれば、あまりにも穴がありすぎるのだこの脚本。

    ここは全面的に同感です(笑)
    ホント、ツッコミが追いつかないくらい雑で、笑うしかないですよね~。
    とくに、お前ら本当は薬飲んでないだろ!って奴が多すぎて…。

    >「グレネーダー ほほえみの閃士」

    そちらは未見ですが、「リベリオン」が「マトリックス」のパクリだと言われるように、「マトリックス」も日本のアニメや漫画のパクリの集大成で、この業界はパクられてなんぼという感じですね。
    これからも、それらの後に続く作品を楽しんでいきましょう♪
    今回もご参加ありがとうございました!
    管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

    ~ Trackback ~

    卜ラックバックURL


    この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

    • 【Xのリハーサル】へ
    • 【Yの悲喜劇】へ