偉大な男のものがたり(長編児童文学・完結)

    偉大な男のものがたり 10日目 3

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     副長が驚愕したものを、保も見た。

     ほんのわずかな一瞬、スクリーンが百万の太陽よりも眩しく輝き、そして次の瞬間真っ黒に変わった。

     保は目がちかちかし、涙があふれてなにも見えなくなった。

     腹の底に響くような、びいーん、びいーん、という音が船内に鳴り響いた。どうやら、警報らしい。

    「副長どの、あれが、シティですか……?」

    「断じて違う!」

     副長は怒鳴った。アストラル・ボディの触手同士が触れあっているせいか、副長の怒りの念までもが、保の心に伝わってきて、頭ががくがく揺さぶられるように思えた。

    「どうやったのか、なにをすればあんなことができるかわからんが……」

     副長は言葉を切り、冷静な、冷たいとまでいえる口調でいった。

    「タモツ実習生、きみにできることは今は何もない。船室へ戻り、そこで動かず、これからの一部始終をただ見て、記憶するのじゃ。行け」

     保は立ち上がりかけて、勇気を出して聞いてみた。

    「あのう……いったい何が起こったんですか?」

    「どこかの馬鹿者が、わしらの想像もつかんようななんらかの方法で、シティを木端微塵に吹き飛ばしたんじゃ! 早く船室へ戻らんか!」

     まだ目がじーんとし、ろくにものも見えないが、エイリアンたちがごった返す中、保はあたふた、よろよろと自分の船室へ戻った。

     柔らかいが、身体をしっかりと守ってくれるふわふわの寝椅子に身を横たえ、この十日間で覚えた操作法の通りに保は叫んだ。

    「船外情報! スクリーン投影!」

     二次元に圧縮された情報が、映像を通して保の頭の中に流れ込んでくる。まず、保はその『シティ』が、百五十三光年先の距離にあったことに驚き、そして、そこからの光も超える速度で進む精神的な衝撃波が、頑強なこの船のスクリーンと外部センサーを機能停止状態にまでしてしまったことに驚いた。

     半分うずまった状態で頭をひとつ振り、冷静になろうと努めた。自分から起こす運動については、この寝椅子は自由を束縛しないようになっているらしい。どういう原理でそうなっているのかはよくわからない。いずれにせよ、快適なのはありがたかった。過度ではない快適さは安心感を生み、そして冷静な判断力をサポートしてくれる。

    「船内情報」

     スクリーンに映った映像が変わった。

     停止していたのは一部の外部センサーだけではなかった。

    「精神波シールド破損……通信機器機能停止……外殻一部破損、蒸散……損害低減および修理のため、現在変形中……」


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